好きだからこそ気になる「歌詞の表記」
平田義久氏の「日本の夏」
私が最近ハマっている曲に、平田義久氏による「日本の夏」がある。
モダンで妖艶な雰囲気の一曲。
通勤・帰路・空き時間でループ再生するほど気に入っている曲であるが、好きだからこそ気になってしまう点がある。
歌詞の「歴史的仮名遣い」が気になって仕方がない。けれど、動画のコメント欄などにありそうな “ご指摘コメント” も無い。
今回は個人的に「こうではないか?」と思う表記に直して、以下にまとめていく。
尚、私はただの「言葉が好きな人」であって専門家ではないので、浅学のままこの記事を書いていることをご了承頂きたい。
①もふ狂つちやひそう
これは「もう」「狂つちやいさう」だと思う。
「まう」「たまふ」という書き方は見かけたが、「もふ」を見たことは無い。
「もふ」については違和感を感じつつ自信がないので、これを有識者がお読みであればご教示頂きたいところである。「狂つちやひ」の「ひ」も何となく違和感があるが、ウの音で終わっているので、もしかすると合っているのかも知れない。
ただ、「そう」を「さう」と表記できることは自信を持って言える。
②色めひて
これは「色めいて」だと思う。
ア行の音をした字を、ハ行で書く時は「言う」「歌う」など「う」で終わるものだからである。
動詞は「色めく」であって「色めう」では無いので、ハ行が来ることに違和感を覚えた。
③お美しひ
これは「お美しい」だと思う。
たしかに「うつくしう」という表現が古典で登場するが、その「しう」は元来「しく」であり、ウで終わる言葉でないから、ハ行では表記しないと思う。
④ふさひだ
これも「ふさいだ」で良いと思う。
「色めひて」同様、動詞は「塞ぐ」であって「塞う」ではないので、ハ行にはならないと思った。
⑤燃へあがる
これはこの表記で実例がある。
が、「燃ゆ」という動詞で終わりの文字がヤ行であるので、ハ行ではなくア行で「燃えあがる」でも良いのではないだろうか。
⑥もふ待てなひの
「もふ」は「もう」で「待てなひ」は「待てない」だと思う。
「待てない」の「ない」は「無い」、つまり「無し・無き・無く……」であり、「無う」とは書かない。
これもハ行になるのは違う気がする。
⑦乗じたひ
「乗じたい」で良いと思う。
確かに「乗じ “とう” ございます……」という使いも出来ると思うが、もともと「乗じたく」であり、これもウの音で終わらない。
よって、ハ行では表記しないと思われる。
⑧背ひて
「背いて」で良いと思う。
「背負う」なら「負う」が「負ふ」になるが、この動詞は「背く」であるため。
⑨云う
これは今までとは逆に、ハ行にしないのか……と思った部分である。徹底的に歴史的仮名遣いにするなら、此処こそ「云ふ」だと思う。
⑩向かう
此処も、「向かふ」と表記できる。
歴史的仮名遣いは楽しくて難しい
今回、こんな部分に拘ってしまったのは、私も歴史的仮名遣いで創作をしているからである。
歴史的仮名遣いを使うからには、正しい言葉遣いをしたいと思っている。
なので今回も「推している楽曲にこそ、綺麗であってほしい、スッキリした状態であってほしい」とお節介を焼いてしまった。
不快に思われた方がいらっしゃったら、大変申し訳無く思う。
しかし自分で「ここは、どのような表記になるか」を責任をもって考えることは、たまらなく楽しい。
これからも知っていきたい、拘っていきたい。
もし記事や作品がお気に召しましたら、サポートして頂けると大変励みになります。 頂いたサポートは創作者としての活動に充てさせていただきます!