【産業保健】情報機器作業〜デスクワークの作業を楽にするために〜
男性産業保健師の鳩ぽっぽです。
産業保健について自分が学んだことを書いていく学習帳になります。
今回のテーマは情報機器作業。デスクワーク業務をしている人が行なっている作業です。
情報機器作業とは
情報機器作業とは、ディスプレイを使用する作業全般のことをいいます。要はPCやスマホ・タブレットを使った仕事のことです。2019年まではVDT作業と呼ばれており、そちらの方が知っている人も多いと思います。
デスクワーク系の仕事に多く、事務職や開発職、編集職、プログラマーやイラストレーターなど様々な業種で見られる作業です。
更に、新型コロナ感染症の関係で推進されているテレワークでも、PCやスマホは不可欠な存在であり、情報機器作業に関する環境が変化しているとも言えます。
そんな情報機器作業ですが、有害作業起因の健康障害を見つけ出す特殊健診の対象にもなっており、身体に与える影響の大きい作業のひとつになっています。
情報機器作業の特徴・健康障害
情報機器作業の特徴は「拘束性」です。
具体的には、画面を注視することによる頭や眼の位置の固定、キーボード入力のための手の位置の固定などによる身体の動きが制限されることが挙げられます。ここに決められた時間内に処理しなければならないという時間のプレッシャーなどの精神負荷が加わることで、拘束性を高めてしまうことが言えます。
情報機器作業による健康障害は以下の通りです。
眼疲労、首・肩の凝りや痛み、腰痛、ストレス症状、不眠etc.
皆さんがPC作業やスマホをいじっているときによく感じる症状が多いですね。
つまり、情報機器作業は身近にあって、健康障害を引き起こしやすいことがわかると思います。
デスクワークを楽にするために
では、情報機器作業の健康障害を予防する、つまり、デスクワークを楽にするにはどんな方法があるでしょうか。
◯作業環境を整える
まずは環境整備です。代表的なものは以下の通りです。
・室内の照明はまぶしさを感じすぎない、全体が明るすぎず暗すぎずの適度な照度。(普通の蛍光灯300ルクス程度を普通につけていればOK)
・ディスプレイに当たる照度は500ルクス以下(普通の蛍光灯レベルの明るさならOK)、ギラギラしたまぶしさ(グレア)を感じないくらいにする。
・ディスプレイはデスクトップ型が画面が大きく、拘束性が比較的低いためおすすめ。入力機器に関しても1番操作しやすいものを使う(マウス、キーボード、スティック、タッチパネル、パッドetc.)
・ノートPCの場合は携帯性重視のため長時間の使用は不向き。入力機器を活用して利便性を上げる。
・PCの設置位置はPC画面上端と眼の高さが同じくらいになるよう調整し、画面より40㎝以上離すとよいです。ノートPCなどの場合は高さが低いため、別モニターを買うか、本などを積み上げて別キーボードで入力できるようにするか、PCスタンドを使用するか、など対策をした方がいいです。
・椅子は安定していて簡単に移動でき、高さ調整が容易なものがよい。傾き調整ができる背もたれや肘掛けがあるとなおよし。床に両足がつくような高さに調整する。(目安は37〜43㎝の高さ)無理なら足置き用の台を足元に設置する。
・机は自分の体型に合った高さのものor高さの調整が可能なものを選ぶ。(目安は床から65〜70㎝程度の高さ)高さ調整が可能なものは椅子の高さを調整後に机の高さを調整する。
・腰痛持ちの場合、スタンディングデスク(立位)の導入も検討する。(座位の方が腰にかかる負担が大きいため)
◯適切な作業姿勢を意識する
・椅子に深く腰掛け、背もたれに十分背を立てて、足裏全体が床に接した姿勢を基本とします。この状態で作業ができるのが理想的な姿勢です。
・極端な前傾姿勢、後傾姿勢、ねじれ姿勢にならないよう、一時休憩の時間は一度立ったり姿勢を変える。
◯休憩を適度に入れる
・1時間に1回小休憩(10〜15分)の時間を設ける。
・休憩とは別に小休止を入れる(1〜2分程度、伸びをしたりする時間)。
・休憩時はストレッチや肩を回すことで同一姿勢による疲労感を解消する。
その他にもありますが、ひとまずここまで。
まとめたものが下の画像になるので、ぜひ参考にしてみてください。
↑厚生労働省より参照
まとめ
デスクワークを楽にする方法が少しでも分かったでしょうか?
導入しやすいものもあれば難しいものもあったと思います。
情報機器作業における健康障害は些細なものと思う人もいるかもしれませんが、特殊健診の対象だったり、厚生労働省がガイドラインを出していたり、と重大性の高いものになります。
テレワークが普及してきた今だからこそ、少しでも快適で楽な作業を目指していきましょう!
参考引用文献
Q&Aでわかる産業看護実践基礎から応用まで
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