80歳のセンパイと暮らす。(7)
センパイと今年の初お出かけ。いつも前日にどこに行くか相談するが、今年は去年と同じところに行って、同じことをすることにした。通常、同じことをするのが苦手だが、1年前と同じことができるかどうかはセンパイとの暮らしにおいて、大事なことな気がした。
駅伝を見てから、電車に乗って、日帰り温泉へ。去年は電車に乗る前に地元の神社に初詣に行ったが、今年は行けなかった。ま、今年はルートが違ったしね。混んでる電車に乗ると、さささと席を見つけ、万全なセンパイ。さすがである。
目当ての温泉までは駅からまぁまぁ歩く。ランチするところを探しながら、ゆっくりぶらぶら。今年はしっかり腕をつかまれているのが去年とはちょっと違う。
商店街から一歩入った小さなイタリアンできのこのリゾットとアラビアータ。2日ぶりに美味しいコーヒーが飲みたい!とのリクエストにはぴったりだった。
食べるちょっと前にセンパイから思わぬ告白が。
「昨日、結婚する夢見ちゃった。おめでたいわよねぇ。笑って起きたもん」
「80歳の初夢が結婚⁈ す、すごいね。誰とだったの?」
「顔はボンヤリしてたんだけど、私が何だかモジモジしてたら、従姉妹が『いいから行くのよ!』って背中を押したの。で、結婚する気になったところで目が覚めた」
「へぇ、そういうこと、昔あったとか?」
「いや〜、ないと思うけど。なんでそんな夢を見たんだかわからないわねぇ。でもなんかおめでたいでしょ(と、ちょっと嬉しそう)」
ちなみに私はへびに襲われて戦い続ける怖い初夢を見た。なんて違い!笑。
なんだか今年も楽しく過ごせそうだね、センパイ。
温泉後、去年は歩いて行った神社に今年は行けなかった。きつい坂を歩くのが無理だと言う。初めから無理とは言わず、坂を見てから諦めたのがセンパイらしい。無理はしない方がいいから、初詣はやめた。出来ないことが増えてきていることが、やっぱりちょっと寂しかったけど。
出来ないことを受け入れつつも、出来ることの伸びしろをのばしていくような(センパイも独身なんで、もちろん結婚の可能性もあるしね)、そんな暮らしを今年もゆっくり続けていこう。