80歳のセンパイと暮らす。(8)
センパイは、ネイル命である。
私の記憶にある限り、爪には相当の自信を持ってきた。
「私の良いところが似てないなんて、あなたって本当に可哀想だわ」
良いところとは、爪の形の美しさとグラマーであることを指す。この40数年、何度言われたかしれない。いやぁ、私だってわりとすらっとしてるって言われる方なんですけど、バッサリ。
センパイの爪は大きくて、真ん中が高く盛り上がっている。付け爪ではないが、付け爪かと思うほど長い。センパイの爪が短かったことも、記憶にない。子どもの頃は正直怖くて嫌だった。いかにも長い爪が嫌いそうな父にも「それってどうなの?」(切れ!とか言わないところがセンパイの夫としてホントに正しい)と言われたことがあるらしいが、笑って流してきたとか。恐るべし。
確かに80歳には見えない爪である。
私が毎月のようにネイルサロンに通っていた時は、センパイも競って通っていた。爪が薄くなりすぎて、私がジェルネイルをやめた頃、センパイもやめた。今でも週に2回くらいのペースで、自分で塗り直している。歳をとって、爪の地色が汚くなってきたのが許せないらしく、ベースコート、トップコートと合わせて、しっかり塗る。
「ネイル、素敵ですね!」
と言われるのが何より好きらしい。どこで、誰に褒められたか、嬉しそうな報告が今でもよくある。
いくつになっても自分で塗っててほしいけど、いつまで塗れるのかなぁ。この先もし自分で塗れなくなったとしても、必ず私が塗ってあげるよ。確実に、ネイルはセンパイのパワーの源の一つだからね。
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