爆笑オンエアバトルのすごいネタ
今日は僕がお笑いファンになるきっかけとなったNHKの深夜番組「爆笑オンエアバトル」で印象に残っているネタを挙げてみたいと思います。
爆笑オンエアバトルは、スタジオ観覧の100名の得票の多かった上位5組のみがオンエアされるシステムで人気を博しました。僕が特に熱心に見ていたのは2000年から2005年くらいの間でそう長くありませんが、何本かのネタはいまだに脳裏にひどく焼き付いています。
底ぬけAIR-LINE「あてぶりショー」
底ぬけAIR-LINEのボケの古坂さんはのちにピコ太郎として日の目を見ることになりますが、元々コンビ時代には音楽を志向したネタを披露していました。コンビ時代の代表的なネタとして、矢継ぎ早にショートネタを繰り出す「超音速スポットフラッシュ」やこの「あてぶりショー」がありました。
あてぶりの仕組みを説明するのは野暮なので割愛しますが、走らせた伏線を回収する手口が強引かつ鮮やかです。シベリア少女鉄道の演劇にもちょっと似たところがあるかも知れません。また伏線パートの芝居がいい意味で上手ではなくちょうど良い引っ掛かりがあるため後のパートでセリフがうまい具合に想起されます。
アンタッチャブル「新しいスタイル」
最初の山崎さんの「今日はひとりでやろうと思ったの」から激しく分断の予感が漂います。漫才のお決まりを音を使って破っていく展開からの、柴田さんの乗っかりかたがダイナミックで見応えがあります。
ラーメンズ「たかしと父さん」
片桐さんがハイテンションで縦横無尽にはしゃぎ回るネタ。ラーメンズをこのネタで知りました。「息子のたかしにかまってもらう」というただひとつの目標に向かって否応なしにテンションが上がっていく父さん・片桐さんと、微動だにしない小林さんの高低差に脳が揺さぶられます。紹介時、森下アナウンサーのコメントが「小林さん、今日は何しにきたの?」と無駄に辛辣で面白かったです。
キングオブコメディ「天気予報」
キングオブコメディ初オンエアのネタです。今野さんのやや掴みどころのないボケをひとつひとつ丁寧にもぎ取って収穫する高橋さんが見所です。キャスター役という設定上高橋さんは進行と訂正を担うのですが、その言葉の選び方には1回転半くらいのひねりがあるため高橋さんがコメントするごとに徐々に歪な世界に引き込まれていきます。明転してすぐに「以上、人殺しのニュースでした」と言い放つ不穏すぎる幕開けにも痺れます。
バナナマン「スライドボーイズ」
寄席が染み付いたような雰囲気の2人がチャンピオン大会という大きな会場でもいつものネタであろう「小芝居と歌の楽しいショー」を披露するところになんというか少し物悲しさも感じられて、そういうシチュエーションも込みですごく好きです。この頃のバナナマンの才気ほとばしる感じは凄いです。
ビーム「ゲーム」
買ってきたゲームの主人公がゲームのジャンル問わず何かにつけてすぐ死んじゃうというシンプルなコントなのですが、余計な味をつけず重ねたりずらしたりするその加減が絶妙でした。ゲームの主人公を演じる吉野さんの無機質な感じに対してプレイヤー役の今仁さんはハライチの澤部さんのような味のある困惑の仕方をしていて、良いコントラストになっています。
以上です。今やテレビで活躍する人もいればお笑い界から様々な形で去った人もいますが、輝かしいネタの数々は僕のはじまりの場所として息づいています。