黄昏
Facebookを通じて数十年ぶりに再会した高校の同級生と先日食事して思い出話に花が咲いた。その中で、授業中にお喋りをしていたクラスメートに教師が激昂し、怒鳴りつけ座らせて頭を床に押さえつけて土下座されるという事件が起こった。今なら大問題になりかねないが当時はそんなこともなく、でも腹を据えかねた僕が地方新聞にそのことを投書して掲載されたということがあった。張本人である僕でさえ完全に記憶から消えていたのに彼は憶えていた。我ながら臆病な正義感を持っていたようだ。
今年で55歳になる。僕が勤める会社は一旦55歳で役職定年となるが部長職に限っては取締役会の承認が得られれば2年間の延長となるのだが、その辞令は年度末にならないと発せられないらしいから、承認されなければ「貴方は来月から平社員になります」ということになる。昨年度から会社の体制が変わり、これまで僕が信頼する上司は一掃され、親会社からの使者たちが会社を仕切るようになりこれまでの文化がなくなってしまい全くの別会社となってしまった。部長といっても全く権限がなく、何かにつけて社外のコンサルタントに戦略を依頼する。それを受けて活動するのは我々であり成果の可否は我々次第という責任だけ押し付けられるのだ。全くもって憤りを容易く感じさせてくれる会社に成長してしまった。だから当然、理不尽なことが起こると、冒頭の通り、中途半端な正義感をもっているが故についつい経営陣に反発してしまうから年度末に「はい、サヨナラ」っていうことも十分にあり得ることだと思っている。これまで会社と仕事が好きで長い間、辛いことはありつつもモチベーションを高く持ってこられたが今はそれを維持することが辛くなってきている。かといって、この年齢での転職が容易いことではないことは承知しているし、今のところは辞めようとも思っていないがもしも良いお話があればやぶさかではないとさえ思えるようになってきているのもまた事実である。だから今の仕事に対するモチベーションはこれまで僕が培ったノウハウやネットワークを後輩たちに引き継ぐことだけである。
先日の旧友との食事の中で、彼は金融関係で、今は取引先に役員として出向している。そして55歳で同じく役職定年を迎えるそうだがこのまま出向先に転籍することも可能らしい。だが、そうすると立場だけが今のままで給与は減額となるので、銀行に戻り、平社員の立場に戻りのんびりするのだそうだ。僕はこれまで特に趣味を持つこともなく仕事しかしてこなかったのでのんびりできる自信はない。だからそろそろ余生を過ごす為のモチベーションを探さねば。