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「今の石川県で原発災害が起きたら避難できない」 それでも災害指針を見直さない、楽観論の背景にあるもの

2024年2月6日 12時00分  東京新聞

物議を醸す原子力災害対策指針。その軸となる住民避難や屋内退避を巡り、自治体からは今回の地震後、現実に即した見直しが必要とする声が出始めている。

北陸電力志賀原発が立地する石川県志賀町の稲岡健太郎町長は本紙の取材に、県などによる避難訓練に言及。「海にも空にも逃げられない」と述べた。

東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県の花角英世知事も1月24日の会見で家屋の倒壊を踏まえ、「物理的に屋内退避できない」と発言。「現実的な避難」に向けた議論を求めた。

◆国への追従姿勢が目立つ石川県

原発被災を研究テーマとする茨城大の蓮井誠一郎教授(国際政治学)は「道路は寸断し、待機する自宅も放射能を防げるだけの気密性はない。今回の地震で安全な避難が成り立たないことが明らかになる中で、立地自治体が地域で得た知見を基に声を上げることは大切だ」と受け止める。

指針の問題を可視化する自治体の声。国を動かす力にもなり得る。より重みを持つのが石川県の対応だ。志賀町同様、被災した原発立地自治体。注目度は高く、影響力も少なくない。

22年の石川県知事選で初当選した馳浩氏も今のところ、原発の安全対策への言及は乏しい。県危機対策課の担当者は「災害対応を優先しており、知事が今後の原発災害や避難のあり方について、国に要請しようという動きにはなっていない」と説明する。

とはいえ先の蓮井氏は「自治体は住民の生命財産を守る窓口」と述べ、代弁者として耳を傾け、国に働きかける重責があると説く。(抜粋おわり)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/307567

福島第一原発事故後、原子力規制庁が設立された。規制庁は原子力推進庁ではなく、どこまでも二度とあのような事故を起こすまいという意図から設立されたと思っていた。しかし、いつの間に原子力ムラにとりこまれ、本来のどこまでも安全性に配慮してという規制庁の基本が、どことなくずれてきているような気がする。

原子力は一度事故を起こしたら、環境的にも空気も水もすべて汚染され、生涯国民はそのことで苦しむ。現に、福島原発事故の後遺症は、この国全体を暗雲が覆っている。ある意味、日本国中どこに住んでいてもその影響は受けざるを得ないだろう。雨が降っても、風が吹いても放射性物質は運ばれ、私たちの意識の中で、その残影は脅迫している。

もう一度、原発事故を起こしたら、もう日本の土地も水も汚染され、それは少しづつ、私たちの命を蝕んでいくだろう。原子力の安全性を軸にしてつかさどる庁が、国民の方を向かずに存在している意義など何もないに等しいではないか。