見出し画像

聖エリザベス教会

ミュンヘン郊外にある、1972に完成したカトリック教会。

先代の教会の後地に建てられた鉄筋コンクリート構造で、かつての教会の塔が残されていなかったら教会とは気づかないくらい、シンプルな外観です。

画像2

打ちっぱなしコンクリートに、代々伝わる聖人像を適宜に配置しただけの内部です。このような例は普通、“儀式から気を削がれないようにあらゆる装飾を排除し”とか、“禁欲的教義の表現”、と描写されるのですが、見渡せる大きさのホールは明るく、入り口を入るとすぐに自分もその場の一員になれるような、フレンドリーな空間になっています。

画像1

実際、祭壇はホールの中央に設置され、正面、左右には勿論、背後の壁にそってもベンチが置かれ、祭壇をぐるりと囲んでミサに参列するできるようになっています。

巨大なカテドラルの空間のように、前方で執り行われる儀式を信者が正面からのみ見守って、途中の柱にさえぎられたり、後ろの席ではもはや祭壇で行われている秘跡が見えなかったりというのとは全く違った経験です。

祭壇の上部にずいぶん大きな円筒形の採光が設けられています。なんだか、一昔前の市民会館っぽい、懐かしい感じがします。なんて大きな電灯なんだろうと思ったのですが、実は天井に穿たれて半球状の擦りガラスをセットした採光口なのです。

画像3

四方の壁には窓が無く、コンクリートの壁と天井が接する部分に細長く採光部が設けられています。これだけでもずいぶん光は入ってくるもので、この採光方式は、コンクリート構造の教会建築に多く取り入れられていますが、バジリカ様式建築にみられる高窓の変形といってもいいでしょう。