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韓流歴史ドラマのヒロインのアイディンティティ

正祖(イ・サン)は死後に 自分の愛した女性宛の手紙を綴ったという。どこまで史実かはわからないが。非常にその女性を敬愛していたことがわかる内容で、知識も豊富で 周囲への気遣いも 謙虚な心を持ち、全てに控えめで 賢い女性だったと書かれていて 驚いた。これまでの韓流の歴史ドラマの王妃や側室は 王宮の中で(日本でも同じかもしれないが)王に従属的に生きた存在で 王に愛されてはいるが 逆らうことはできない 自分の身分を自分で決めるなどとは決して言わない、アイディンティティの弱い存在として描かれてきた。
今回放映されている「赤い袖先」はイ・サンではなく、側室になった女性をヒロインに脚本が作られたドラマである。「トンイ」も賎民から側室になった(史実)が、王に望まれ、受け入れ、チャンヒビンとの確執はあったものの、息子英祖は王となり(イ・サンの祖父)側室としても栄誉で、讃えられた女性ではあったが、側室としてのアイデンティティはどうだったろうか。
「赤い袖先」のヒロインは 側室となることを拒み続ける。自分の一生は自分で決める、自分は没落した武士の家柄だが 王となる人の王妃や側室は名家が多い。そういう人たちと競い合う気はないが 決して幸せではないだろう・・宮女としての配属先がたまたま世孫の世話係だったからそばに仕えている、この仕事に徹したい、王を命懸けで守る仕事として考えている、でも宮女であれば 友人と楽しく気楽に過ごすこともできる、たまには街に出て自由を楽しめる 側室になったらそう簡単には外に出られない からと主張している。しかし、正祖は半ば強引に側室にしてしまった(このドラマはそうなっている)が、側室となってもその気持ちはずっと持ち続けていた。ただ病で急死してしまう。正祖は心から慈しんで愛した宮女であった女性に死後、かなり立ってから手紙を書いたようである。大方作り話が多いので 史実はわからないが 韓流ドラマの女性の描き方が少し変化してきたのかもしれない。

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