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韓流歴史ドラマ・ヒロインのアイディンティティその2

イ・ビョンフン監督の「イ・サン」では ヒロインはソン・ソンヨンという名で、図書(ト・ファソ)の下働き(絵を描くのは男性しか認められていなかった)という設定だが、本作では王族の寝殿付きの至密尚宮(チミルサングン)という設定で、女官としてのくらいは高い方で、提調尚宮・副提調尚宮の次に地位が高い女官として王の寵愛を受けたことになっている。こちらの設定の方が史実に近い。この至密尚宮は女官の中でも幼い頃から徹底して女官の仕事を叩き込まれ、有能なものが選ばれたという。セソンはドギム(本名)が母の侍女をしていた頃に知り合い、見初めていた。その後宮女になったドギムと出会い、正室を迎えていたが側室として迎えようと何度かドギムに求めていた。この記録は残っているらしい。この史実をこのドラマでは強調してシナリオを作り、脚色を加えたものと思われる。宮女のままの身分で、子どもを身籠り 宜嬪成氏 となった。

世孫時代から思いを持ち続けて 王になってドギムを側室として迎えたかったが、3年後に念願が叶い、子をもうけ、ウイビンソン氏になった。その子が亡くなり、後を追うようにウイビンソン氏も亡くなり、正祖は痛く悲しんだという。
しかし、このドラマで 影の立役者は 正祖の正室である。10歳で正室、その後子どもを持つことができず、生涯を終えた。謙虚で優しい性格で 正祖を見守り、多大な政務をこなすことができたのは この王妃の存在無くしてはなし得なかった。王妃ばかりでなく、自分の母である恵慶宮洪氏(ヘギョングンホン氏)も、夫を陰謀によって殺されながら、息子を王にするまでとホン氏一族が処刑されてしまう状況の中、生き延びた人。この恵慶宮も世子の妃として10歳で嫁ぎ、老論派の陰謀に貶められた夫、思悼世子の撹乱で万丈波乱の人生そのものだった。


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