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歌舞伎町シャーロックのモリアーティ

ご本人も転機として語っているすばらしい役を演じた歌舞伎町シャーロックの山下誠一郎について。

【未視聴向け】モリアーティはこんな役どころ

高校生(若い)/飄々としてる/仲間想い/賢い/兄(妹の兄)/不穏/境遇重め/山下誠一郎さんと同じAB型だね〜

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テレビシリーズ視聴後の感想ツイート↓

公式サイトのキャラクター紹介はこちら。

各種視聴方法

現時点での私の場合です。

テレビシリーズ 1〜24話:Amazon Prime Video(2021年1月現在)

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07YYRK9JX/ref=atv_dp_share_cu_r

OVA:Amazon

スピンオフ小説『歌舞伎町シャーロック 囚人モリアーティ 解放のXデー』:Kindle


【ネタバレあり】感想

ここからはネタバレありで書いていきますので注意。

オマージュ元となっているシャーロック・ホームズシリーズについては、ルパンの『奇巌城』を読んだのと、ベネディクト・カンバーバッチの『SHERLOCK』を見た程度、落語に関してはからっきしだったが、ポップながら人間の感情の機微を描いた群像劇でめちゃ満足だった…! 人間そのものを描くには生死、性や仄暗い感情も描く必要があるのでエログロも美味しく摂取させてもらいました。

各探偵の掘り下げ・変化がもう少しあっても面白かったかなと思うけど、モリアーティとのあれこれを描き切るにはこの塩梅でちょうどよかったのではないかと思う。

ちなみに解放のXデーではオマージュ元の落語がわかりやすく言及されているのでそこからテレビシリーズの沼の事件の経緯、シャーロックの興味を引く事件ってどんなものかがわかるなどした。

山下誠一郎さん目当てで見たので山下さんの役の話をしていくが、ラストの描き方では「モリアーティの生死はわからない」としてあるものの、彼が生きている可能性は極めて低そう。

続編が作られることがあれば生きていた!であって欲しいな。彼の人生はあまりに短すぎるので…。

アレク、シャーロックは彼にとって大切な人だけどそれと同じくらい、もしかしてそれ以上の存在に出会えるとも限らないし…!と夢を見てしまう。

モリアーティはサイコパスなのか?

俗に言う”サイコパス”なんだろうけど、サイコパスという言葉で片付けたくないよあたしゃ…!と、ぐるぐる考えていたことを書こうと思う。

山下さんも「(根が悪人ではなく、)不安定すぎて埋めるものが必要なだけ」と評していたし…!

アレクへの感情

双子の妹がいたことがないので想像するしかないのだけど、男女の双子は同性の双子よりも「同じだけど違う、違うけど同じ」の感覚が他人より強化される環境なんじゃないかと思う。

モリアーティ自身もおそらくアレクと比べて自分の精神が「おかしい」と評価するに至っている可能性が高い。

同じように生まれ同じような体験をしているけどアレクの体が病弱であったこと。そこから歪みは始まったのではないか。

アレクは学校にも通えず、おそらく(教育・世間知らずの意味で)頭が良くなく、同じ年代の友達もおらず、唯一双子の兄だけが「友達」だったのだろう。

アレクから見たらモリアーティはなんでも持っている。世界を見て回れる丈夫な体を持っていて頭もいいし、アレクの助言に従ってイーストに出入りするようになってからは友達もできた。

終盤、アレクはモリアーティを元気付けること(そこにはマウンティングの意味も含まれている)だけが生きがいとなっていたことが明らかになった。

モリアーティにとってアレクは世界の光・天使のような存在、かつこの手で仕留めてやりたい獲物と語っている人であるが、アレクが天使ではなかったのを知った時、彼の中のアレクへの憧憬はどう変わったのだろうか。それとも変わらなかったのだろうか。

もしもアレクが切り裂きジャックに殺されなかったら、モリアーティはアレクを殺すことがあったのだろうか。

私はモリアーティはアレクを手にかけることはなかったんじゃないかと思うのだ。

アレクが病気に負けてしまう未来はあったかもしれないけど、モリアーティがアレクを母のようにしてしまうことはなかったんじゃないかと。

蝶と母さまを素敵にしてあげた

子供のモリアーティが生きている蝶をバラバラにする描写は何度か出てくる。

しかしモリアーティは「命が散ること」を素敵と感じていたわけではなかった

「殺害衝動」があるわけではないのだ。

母の殺害も「殺したかったわけではなく、ただどんな風になるのか見てみたかった」から始まっていた。雷雨の中見た雷で感電死した池の鯉が彼には素敵に感じて、母に花飾りをかける子供のように、コンセントにつながったドライヤーを母の入った浴槽へ投げた。

「自分の好きな人間が自分の思う素敵になって欲しい」って感情は誰でも抱く普通の感情なんじゃないか。

切り裂きジャックに煽られ喉を切り裂いてしまってから狂っていくモリアーティは、自分の現状を肯定し続けないと正気を保っていられなかったんじゃないかと思う。

1人殺したことを肯定するために、育んできた倫理観を捨て、殺すことが良いこと、それは解放なのだと刷り込んでいく。

でもそれはもう解放とは真逆の袋小路に進んでいくだけだよね…。

そしてそんな状態には誰しもがなる可能性があると思う。

ので、これからもモリアーティを表現するときにはあんまり「サイコパス」を使わないでみたいと思います。自分の謎のこだわりなので他の人が使ってるのはなんら問題なく「うんうんサイコパスだよね〜」とか言いますが!

モリアーティから見たシャーロック

頭が良すぎて人の心がわからない同類、だけど人の心が知りたいと思って努力している面白い人。って感じだろうか。

シャーロックはええとこの男兄弟の弟でかなり兄や周りと比べられて育ったと思われるが、社会的な成功に興味がない。けど人間の心にすごく興味がある。

それって唯一わからないことだから気になり続けるし、一生わからないだろうから一生楽しめる趣味でもあるだろう。モリアーティには趣味がない。

そう、モリアーティって一生を捧げられる趣味に出逢ってないんですよ!!!!

落語や音楽の知識はあっても周りに合わせて聞いているだけだったりして、カタバミ集めもそれを楽しんで活力を得ているとは言い難いし、シャーロックと謎解き合戦をするのを望むのだってシャーロックが謎解きが好きだから合わせているとも考えられる。それもやっぱり、言い方が悪いけどアレクに構わなくちゃいけなくてなのかな。それこそもっと時間があれば、円満にアレク離れできる時が来ていたら、モリアーティは何にハマっていたんだろうね…。

シャーロックは一生を捧げられる趣味もあってワトソンのようなパートナーもいて人に恵まれて、まさに光と影の二人だね…。

モリアーティベストシーン

最後に私的モリアーティベストシーンを発表して終わりたいと思う。

21話「絶入」爆破失敗からの渇いた笑い、もう殺すことを止められない胸の内の吐露。

いや対面してからずっと最高の芝居なんですけど、予想外のことが起きた直後なのもあってここだけは「こう言ったらシャーロックはこう思うはずだ」とかの打算が全くない純粋な気持ちが表れている気がしてとても好きです。

それでは、またモリアーティに会えますように。

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