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XSR900 乗車5000kmインプレション
5000kmインプレッション
とは言ったものの…5,000kmどころか既に15,000km走ってしまった。このXSRというバイクは楽しいバイク故に思うところが多々増えてきている。
酸いも甘いも経験したため、納車当時には見えていなかったもの等を追加で語らせていただけたらと思うばかりです。
①劣悪な取り回し状況
このバイクを語るうえで欠かせない事項がある。それはハト胸フレームと倒立フォークによるハンドル切れ角の無さから発生する劣悪な取り回し状況。
大げさかもしれないが、あえて「劣悪」と表現したい。
この車両、ファーストインプレッションでも書いた通り、本当にハンドルが切れない。
広い車庫入れ、取り回し空間が提供されているような場所では全く問題ない。
しかし、バイク用のコインパーキングや、平場のバイク置き場なんかでは、切り返しの数が必然的にとても多くなる。装備重量196kgなのでまあ許せないわけでもないが、取り回しに関しては結構大変な部類だと思う。もともとSS等でハンドル切れないバイクを乗っていた方からすれば、まったくと言っていいほど問題にならないのだが、一般的なバイクからコイツに切りかえた人なら、苦悶するほどに取り回しが大変になる事だろう。
慣れと愛着があれば気にならなくなるのだが、それでも友人とツーリングにいって、高速のバイク駐車場からバイクを出そうものなら遅れをとる始末。
バイクの停め方から考えねばならない。そして僕は、可能なら週末の登り足柄インターのバイクスペースは使いたくない。
出すのに難儀してきたので、次からは小型車両で一番遠いところにしようかな…
ただ褒めるべき点としては、バイク自体はかなり軽い部類であるため、取り回しの作業にかかる「力」という部分ではさほど苦にならない。中型バイクと変わらないくらいなので軽々取り回し作業はできる。なので、慣れてしまえばお手物ではある。
どっちだよ!とツッコミが入るのだが、とりあえず慣れるか諦めが入るまでは本当に苦労するのだ。
…まぁ、ゴールドウィングやVマックスみたいなデカイバイクよりはマシかもしれない。
②賛否両論、バーエンドミラー
これは発売当初から本当にいろんな人が話をしていたバーエンドミラー。
結果的に言えばこれも慣れ。確かに視線移動量が多いものの、自分の速度と周りの車両を見渡しつつ、後方もしっかり見て取れるので個人的はものすごくアリなのです。後方視野がものすごく広くとれるので、こと高速道路での車線変更では2車線分見渡せるので非常に便利。
「視線の移動量が多いので、高速走行でかなり気になる。」という記事が多々あるのだが、そんなものはイチャモンつける為の手段ぐらいのもので、充分に車間とって、常に周囲に配慮できるバイク乗りの諸兄からしたら完全に些末事ではなかろうか。
どのみち車線変更の際には後ろを確認するであろうグッドマナーな先輩諸兄ならば何ら問題がないはず。ミラーを一瞥、後ろを振り向くまでの視線の動線上にあるので結果的にはそんなに気にならないと思う。
更にはバーエンドになることで前方視界がかなり開けるので、前方の視認性はかなり広がっている。
前方の視認性が広がることで、前が見やすい…のもあるのだが、操作のフィーリングと視界に余分な情報が入ってこないこともあり、運転に没入することができる。
あまり主観的な話はしないようにしたいのだが、ハンドル位置に置き直すようなカスタム、自分はしたくないなと思ってしまった。ストリートファイタースタイルなので、ブリッジの上はなるべく低くシンプルする。となれば、触覚が生えるのはなんとも耐え難いのが自分の主観。ただ、すり抜け等の狭所を通り抜ける場合に関してはこの出っ張ったミラーのおかげで結構難しかったりする。しかもちょうど一般的な乗用車のサイドミラーとバッティングする高さにあるので、すり抜けはかなり気を揉むかもしれない。
基本はすり抜けしないくらいのつもりで居てもいいかも。技量に自信がある先輩諸兄は多分問題ないだろう。自分は行ける確信持てない場合はどうしても躊躇してしまう。
③走行モードと燃費
走行モードは1.2.3.4とあり1がスポーティ、2が標準、3が抑え気味、4が最高出力を抑えたモード。と公式ではうたっているものの、個人の解釈としては、1が「このバイクにとっての標準」だと思った。
・モード1
溢れんばかりの野太いトルクで大地をけり出すパワーマシン。CP3の素のポテンシャルをとても感じるモード。
このモードで走って感じ取れるのは、出力に合わせてちゃんとシャシを作ってしっかり作りこんでいるようでバランスとれているなぁと。
前の型のモード1はどうしても、シャシに対してパワーの出力のされ方が大雑把というか、大味すぎるというか、ちょっとこれは…と思うような形であった為、封印された方もいれば、ECU書き換えた方もいらっしゃったと思う。
ただ今回は、確実にモード1でしっかりスポーツさせてくれるようなセッティングになっており、気持ちよくアクセルを開けていける。シャシの剛性もあり、トルクもしっかり路面に伝わるので開けて楽しいモードになっているように感じた。
スポーツモードという事になっているが、標準モードに下駄をはかせてパワーモリモリにしたというより、このモード1がこのバイクのモードセッティングのベースであり原点になっていると思う。
モードの中では一番パワフルで、楽しく開けてしまう為、自分の手計算になってしまうがこのモードでは燃費5回計測で「17.1」「17.2」「16.9」「17.5」「16.8」、平均して17.3となっている。
・モード2
公式では標準モードということになってはいるが、モード1にある程度のフィルターをかけ、街中で扱いやすいようにしたモードになっているというのが自分の印象。
最高出力が出る時間を延ばしたようなレスポンスにはなっているが、必要充分なパワーを出してくれるのでストレスは感じない。とはいえモードを落としただけで、完全にひねり切ってしまえば最高出力は出せるよう担保されているようで、ツーリング時、追い越しや上り坂で力が足りないなんてことはない。
あくまでこのバイクでツーリングや街乗りを楽しむ為に最適なモードだと思っている。
このモードでは5回の燃費計算をしたが「19,1」×3、「19.4」×2ということで平均をとり「19.22」となっている
・モード3
モード2にさらにフィルターをかけ、出力の出方を抑えたモード。
これは完全に首都圏の街の中を駆ける為の比較的穏やかなモードだと思う。
アクセルを開ければ比較的穏やかなパワーを出してくれる為操作もしやすく、明らかにパワーを押さえ込んでいる。フラットな街を軽快に走るには必要充分だと思う。ただ、このモードしか使わないというのであれば、わざわざこのバイクを選ぶ必要性を感じないように思ってしまうほど物静かなバイクになってしまう。
ステップアップでこのバイクに乗る上で様子見するのであればモード3から入っていいかもしれない。
あくまで個人的な意見だが、このバイクを完全に楽な移動手段にするのであればモード3でいいかも。
燃費に関しては、モード3でワインディングを走りまわった日もあったためかなりばらつきがあるが、「20.0」「19.7」「18.8」「19.8」「20.1」、平均「19.68」となった。
・モード4
YSPスタッフからも「いわゆるレインモード」と説明されるほどでパワーをかなり落としてあるモード。静止時に発進の為に半クラをつなげるにあたり、モード2のつもりでクラッチをあてるとエンストしてしまう。ベースの出力ごと落としているようで、ひねっても加速しない。
加速しないは言い過ぎたかもしれないが、90年代の400ccのように、車体が大きい割にはトルクが薄い感じに見え、ある程度慎重な操作が必要な時に、ちょうどいい塩梅でパワーを出してくれる。
ピークパワーも抑え気味なの、ひねっても思い切り加速はしない。本当に400ccくらいのバイクにのっているような感覚になる。全体的に「加速力を抑える」ようなセッティングなっているようで、すべてにおいてマイルドな操作性になると思う。
CP3の強烈なパワーがあるわけでもないので、パンチもなければキックもない、かなり抑え込んだモードに仕上がっている
燃費は驚異の平均21.4(計算元の数字紛失しました…)、高速道路を燃費走行したときの限定的な燃費はまさかの23kmだった。まぁ、燃料カットしてればそれだけパワー減るよなと思う実験であった。
・燃費と給油
実燃費の数字だけでいうなら計算上19.6km/L
実際に走って給油すればわかるのだが、給油ランプがついてから満タンまでガソリンを足すと、毎回10.x リットルを給油している。諸元表を見てもらえばわかるのだが、このバイクの燃料タンクは14Lになっている。
つまり給油ランプがつくのが残り4Lを切ったあたりで設定されているようだ。基本的に、バイクや車は給油ランプがついてから60~80kmは走れるように設計されている。この距離は高速道路で給油可能なSAがその程度の距離にあることを前提。
言ってしまえばXSR900は10Lガスを使ったら(賞味200km前後走ったら)フューエルランプつくので、道端に止めてスタンドを探すのも良し、計画的なツーリングであれば200km毎のスタンドを事前に選定しておくのもいいと思う。
ちなみに都内に住んでいる方で東名高速道路を使用する場合は新東名E1Aの静岡SAや東名E1富士SAがちょうど200km前後のSAとなるため(※東京料金所乗り入れ)、お世話になることは多くなってくると思う。
何にしても、基本的にはツーリングの行程を考えるにあたり、200km前後での給油箇所の確認はしておいて損はないと思うし、人によっては携行缶の携帯を視野に入れてもいいかもしれない。燃費を悪目に見積もっても15kmは走るため、2Lでもあればある程度の山越えなんかは無難にできると考えている。
④維持費周辺
皆さん気になるのが維持費。久しぶりの大型の人もトータルいくらかかるのか知りたい方は多いはず。
自分も1.5万キロを走ってきてこのバイクにかけた項目としては
・オイル交換5,000km毎(YSP工場入れ) ¥14,000 ×3
・タイヤ交換 11,000km時(YSP工場入れ)BS社 S23 計¥84,000
・Fブレーキパット交換(YSP)工場入れ ¥12,000
・1年点検 14,000円 ×2回
総額160,000円+日々のガソリン代。
日々のガソリン代…ハイオクを190円としてほぼ200km毎に10.xLの給油をしていたので11Lと仮定して…
15000÷200で単純に75回このバイクに給油したことになる。
そんでもって、毎回11Lと仮定したので
11L×190円×75回=156,750円
目安なのでかなりおおざっぱな計算にはなるが…
2年1.5万キロで、合計316,750円をバイクの基本的な維持費に充てたことになる。あくまで目安ですけれども。
結局のところガス代は別としても維持に困らない金額ではないかとは思う。最新のマシンなので下手なカスタムとかしない限りはトラブルらしいトラブルは発生していない。
このあと20,000km時にチェーン交換を行う予定があるが、スプロケは純正とし、チェーンはRKの少し軽めのアルマイト系を使うのでトータル5万円くらい。
1度目の車検は2025年9月を予定しており
・水換え、ホース替え
・オイル、フィルター
・ブレーキオイルの交換
・リアブレーキパットの交換
このあたりが必須になってきそうなので、YSPさんと相談しているが今のところ15万ぐらいにはなりそう。このあたりはちょっとずつ交換していってドカンとお金が飛び出ないように管理すればそんなに大きな出費にならないのではと思っている。
2度の越冬をしたあたりに水は変えたいと思っているので、春先から少しずつメンテ項目を消化していきたい。
ガソリン代は多少前後するのであくまで目安として考えてもらえるとありがたい。2年1.5万キロで32万、年間16万、その時々で出幅が変わるので均していい数字ではないと思うのだが、新車乗り出しの最初の2年ではこの金額である。最終的に3年たった25年9月の時点では3年60万前後という維持費になるんじゃなかろうか。
これを安い、高いと取るかは各人の収入とライフステージによるものなので、自分の財政事情と相談してほしい。均せば大きな金額ではないと思うが、個別にみると良い金額が都度飛んでいく。流石大型。ただ、しっかりと250ccで年次点検を受ける前提とするのであれば、大型だろうが250ccだろうがそうそう大きな金額の差はついてこないように思う。差が出てくるとしたら本当にガソリン代とタイヤ代だろうか。
何事も費用が上がっていく時勢、ある程度の目安になる金額がわかると心の準備はしやすいと思う。
⑤荷物の積載
語らなくてもわかるように、後ろのシート細くて狭い為、括り付けるタイプシートバックは簡単に取れてしまうだろう。ネットもなかなかに心もとない。
小さいサイズのパニアバックを括り付け、その上にバックを固定すればなんとかなりそうではある。
サイドパニアレールが社外なりY‘sギアなりからでているが、部品をつけると、このバイクのかっこよさを潰しにかかるおおぼったさだが出る為(あくまで主観)基本はリュックで背負うことになるかも。
ネットで固定もできなくはないが、座面が狭いことに加え他の車両にある二人乗りステップ部のヒールガードがないため固定する場所がかなり限られる。すごく工夫が必要なので、積載に関してはかなり頭を悩ませる。
この記事を書いている頃にYSP某店舗でシングルシートカウルのような形のラックが発表され、いいお値段にはなると思うが、自分は購入をかなり前向きに考えている。
個人的にいくつか紹介したい積載アイテムやお勧めリュックがあるのだが、話が変わってきてしまう為今回は割愛。
スタイルと実用と積載、すべてに置いて極端にステータスが分かれているので、このバイクの積載の悩みは尽きない…
⑥改めて語る乗り心地
乗り心地に関して。各種メディアが謳うように乗りやすいバイク。
前後のサスペンションは吊るしの状態では少し固め。硬いけれどもピッチの納まりはいい方で、道路の凹凸を上手く吸収してくれる。しかしながら大きなギャップを乗り越えると硬さ相まって体が浮くくらいの事象はあるので注意されたい。
またアクセルのレスポンスはス細かく制御されているようで不快感は全く感じない。
概ね不快感を感じないバイクなのだが、操舵性に関しては言いたいことが山のようにある。以下その山である。
単純なステップアップで小排気量から上がってきた人達からしたら、曲がりたいのに曲がらないバイクと評されるかもしれない。
昨今の250ccであったり、SSと言われる車両であったり兄弟車のMT-09は1の入力でバイクが10倒れ、楽に曲がってくれる感覚を自分はもっている。だがこのXSR900というバイク、250ccと同じ感覚で入力すると本当にバイクガ曲がらない。バイクを倒すにあたって、人間が10の入力をしないと10倒れてくれない。したがって小排気量のバイクのように少ない入力をするとアンダー傾向の挙動を示して大回りしてしまう。曲がりにくい、曲げにくい、曲がらないという表現になってくる。
それもそのはずで、ホイールベース(軸間距離:前後タイヤの中心間の長さ)がMT―09から60mm後ろに置かれ、また、同社のR25・MT25から比べれば実に115mm離れているのである。R25・MT25から比べれば明らかに長いホイールベースになっているは明らかだ。そのためバイクの動きがかなり変わるのは当たり前のことである。余談ではあるが、ヤマハの最高峰YZF―R1のホイールベースは1405mm、R25は1380mm、XSR900は1495mm。R25とR1の軸間距離が離れていないのは驚きだが、R1とXSRすら90mm離れているのは正直言って驚きだ。
一般的にはホイールベースが短ければクイックに曲がるというのがバイクでの通説であるため、小排気量のバイクと同じ感覚で倒しても全くまがらない。また曲がらない一因はホイールベースだけでなくハンドル切れ角もある。フルロックの切れ角が小さいために低速での走行でもかなり倒しこむ必要がある。XSR900は本当に倒して乗るバイクという事を体で理解しないとまともに乗れないのだ。
ただ一度でもコツというかバイクへの向き合い方がわかればコッチの物。入力に対して安心感のあるフィードバックを返してくれるので、どんな速度域でも自由に好きなように乗り回せる。軽さに対するパワー、フロントが浮きそうになるほどのトルク、軽さゆえに立ち上がりのいい制動力と操舵力。
軽いがゆえに操舵も操作も本当に楽しめるいいバイクである。
訳知り顔のオジサン達が言う「ハンドリングのヤマハ」というものをしっかりと体感させてくれる、曲がらないけど曲がるへそ曲がりなバイクに仕上がっている。
パワーに関してはこの軽い車体で120馬力出てれば充分だと思う
何度も何度も言うように、軽い。故にパワー不足は感じない。
パワーバンドの始点は5500回転くらいから?音が明らかに変わる部分があり、そこから一気にパワーが盛られ、バイクはタイヤに蹴り飛ばされ、一瞬で加速する。
アクセルの入力で飛ぶように前に出る。とても120万で買うバイクの加速か疑うくらいに強烈にバイクが自分を押し出すのでものすごく楽しい。
⑦このバイクに対する文句
しいて文句をつけるなら3点。1点目は低速低回転時のぎくしゃく感。そこそこ強いように感じる。前のモデルよりマシだが多少は残っている。住宅街の低速走行はほぼ半クラ維持になりそう、というか、そうなってしまっている。
2点目は3気筒故にレッドゾーンが低い。4気筒ほど高回転まで回らないので、高速で回るエンジンのフィールと音が好きな方には「いい音の鳴り始め」辺りでインジケーターにチェックが出る為、少しストレスに感じるかもしれない。自分も元々4気筒信者であった為、ここに関してはものすごく、ものすごく文句を言いたい。
続いて乗車姿勢。わりとアップライトに設定されていてツーリングをするなら申し分ない。兄弟のMTー09(’22)に比べるとバーハンの固定位置が下がっており、クラシカルなネイキッドの乗車姿勢になる。MTはハンドル位置を高めにしてモタードチックな乗車姿勢で前に荷重をかけやすくしてるんじゃないかな?しらんけど。
姿勢がらくなのとタンクが抉れていてニーグリップが薄い。意識してグリップしやすい。
姿勢が楽なのだが、楽な姿勢をとると薄いシートがケツの筋肉をいじめてくる。それはそれは容赦ない。1日ツーリングして帰ってきたら「2度とこのバイクでツーリングいかない」と思わせるほどだ。ゲルザブを後からつけるか、いい感じの社外品出るまで待つしかない。
また、ファーストインプレッションにも記載した通り、姿勢が楽すぎてスポーツするには多少難あり。多少?・・・うん、多少。
ハンドル位置高いのに幅が広いことで前傾を作っているんだろうけど、結果的には上半身は起き気味なので、肝心な時に前に荷重がかからない。バイクの特性上、フロントの仕事量が多いのにフロントに負荷をかけることができないのが結構大変。個人的にはGPのセパハンをポン付けできるならしてみたい。もしくはリゾマからバーハンのままハンドル位置をGPぐらいまで下げられるキットがでているので、それに入れ替えていきたい。という、ハンドル位置高めかつフロントの仕事量が多い割にはフロントに荷重がかかりにくいポジションなので、積極的に体を使っていかないといけないバイクに仕上がっている。
操作している感は強いのだが、フロントに荷重がかからないために、入力に対するフィードバックがとても希薄になることがある、特に登りのステージ。だいたいそういう時は入力に対するバイクからの回答は「君ヘタクソやね」というものであり、乗りなれた名馬にダメ出しされている気分にすらなる。
とにかく、バイクの特性として倒して曲がるという意識しないと、ライダーの言う事を聞かないへそ曲がりなバイクになってしまう。バイクを立てたままハンドルだけで曲がろうとすれば基本は全てアンダー特性に引っ張られて大きく外回りをすることになる。
Uターンをすればわかるのだが、r25なんかは座ったままでも安全にUターンできたが、これで乗ったままUターンするなら立乗りリーンアウトという曲芸じみたことを強いられる。冷静に一発で決めなきゃ小旋回なんてできたもんじゃない。君本当に曲がらないね…とため息が出る。
ここまで酷評しているが、しっかり入力が決まると、それはもう気持ちのいいフィーリングでしっかり走ってくれるのでやめられないこのバイク。
…3点以上になってしまった気がする。気のせいか。
⑧GPとの比較
これが聞きたかったという方も多いと思う。
正直言ってしまえば…ネイキッドスタイルに惹かれないというのであればGPの方を買った方がいい。良い装備が沢山ついているし、ステップもゴムがついていて振動対策されているし、シートも柔らかいのでGPをお勧めする。しかもセパハンだしね!
また'22→'25でのマイナーアップデートでスイッチボックス、メーター、走行モードのバランスはGP準拠に変更されたとの話もあがっているので、各々調べてみてほしい。
それでもあえてXSRというスパルタンなこのバイクを選ぶということは、GPにはない味というかたたずまい、雰囲気に魅せられて敢えてコッチを選んでいるはずなので、その感覚は大切にしてもらいたい。GPはあくまで「XSRの派生機」である。
つい感情的になってしまったが、実直なGPの感想として「メーカーチューンとしての一つの回答である」かな。GPは着座位置が実はしっかりと下がっている。というのもフロントフォークの突き出し量がわずかならGPの方が多い。
これはセパハンキットをトップブリッジの上に置く為。そのためリアもそれに合わせたローダウンされているように思う。座った感じ足つきがかなり良くなっているので、全体的に少し低めに設定されているようだ。
スポーツモードは素XSR900のモード1よりもトルクを引き出すようなセッティングになっている。それ以外はそんなに変わった印象がない。GPに関してはここで言及するのは良くないと思うので差し控えるが、もしGPと素の登場順序が逆に出ていたとしたら、自分としてはGPに900のライト回りを移植するようなカスタムをしていたのは間違いないと思う。
⑨XSR900というバイクの総括
このバイクは前の型のネガティブな部分のほとんどを打ち消し、ブラッシュアップした完成度の高いバイクになっている。欠点らしい欠点が本当にハンドル切れ角とホイールベースに端を発する取り回しの劣悪さ、初期の積載の選択肢の少なさ以外に思い浮かばない。オーナー故に褒めすぎかと思うが、それもご愛敬。それにしても楽しいがすぎるバイクである。
とは言え、乗り手を選ぶのもまた事実なので、選ぶときは慎重になるか勢いで買ってしまってもいい。
なんにせよ、バイクと対話しながら「ああでもない、こうでもない」と少しずつバイクに慣れていき、最終的には自分がこのバイクと一緒に走っているという「一種の没入感」に浸れるようなバイクなので、勢いで購入し、苦労すら楽しんで乗りこなしてみるものまた一興と思うようなバイクである。
という事で15,000kmインプレッションを締めさせていただきたい。
=オマケ=
普段ナイケンに乗っている相方からの感想。XSR乗車体験あり。
前提条件として、互いにR25に乗っているときに某峠にて自分をちぎって置いてった経歴ある自分の嫁さん。
・ハンドル切れない
・故に全然曲がらん。
・なのにもかかわらず、この人(オーナー)は楽しそうにグイグイ曲げる。なんならヘアピンがおおいワインディングはナイケンよりよく曲がって早い。なんでや。あたま可笑しいんちゃう?
・取り回しがしんどい。広い場所ないと無理。
・せっっまい駐輪場でなんなく方向転換しよる。よーやるわ(呆れ
・(オーナーが)「曲がらない」言う割には笑顔で曲げて楽しそうにタイヤの端まで使っているから、曲がらないバイクなのか、ちゃんと曲がるバイクなのか分からなくなってきた。
・(T県某I峠にて)ここヘアピン。私はナイケン、君はXSR。ハンドル切れないバイクが私より悠々とヘアピンクリアするのは謎。この峠の7不思議にいれてもええわ。