![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160442862/rectangle_large_type_2_aafb613351d29523ba1c11f286a79861.png?width=1200)
いつかきっとまた会える、ということ
こんばんは。ななゆきです。
少し前の話になりますが、あたらよ文学賞という文学賞に作品を応募していました。今回はこの応募についてと、応募した作品「四つめの大水槽」のお話をします。
応募のきっかけ
何かきっかけがあったわけではないのですが、単純に言えば「レベルアップしたい」と感じたことが応募につながりました。
私はあくまで趣味で小説を書いていて、極端に言えば書きたいように自由に書いて読んでもらえればそれで十分ではあります。
けれども、それと同時に、自分の書き方にもっと別の可能性があるのではないか、もっと表現の幅を広げられるのではないか、もっと誰かの心を動かせるのではないか、ということを日々考えています。
また、仕事との兼ね合いでどうしても執筆速度が遅くなりがちで、〆切が無いとつい執筆期間が間延びしてしまう、というのもあります(同人誌を作っているのは自ら締め切りを設定しているともいえる)。
そう考えた時に、こういった賞に応募してみることは、「ここまでに物語を書き上げる」という目標にできると同時に、自分の立ち位置を客観的に知るひとつの良い機会になるのではないか、と考えたのです。
結果
結果として、一次選考通過はかないませんでしたが、通過作品と遜色のない作品(「惜しかった作品」)として講評をいただけました。
オーソドックスだが、登場人物らの心情描写や台詞回しもよく、最後まで丁寧に描かれていた。
「ほとんど人がいなくて、出口も見つからない水族館」という舞台設定が独創的で、「なぜ、ここに迷い込んでしまったのか」という疑問を掘り下げていく過程も丁寧。
この講評が、甘すぎず辛すぎず、客観的な批評であることが大変ありがたく、自分ひとりで書いているだけでは絶対に気付けなかったであろう特徴(丁寧さや独創性など)を知ることができました。
とくに独創性は、自分では全く感じていませんでしたし、誰でもこれくらいの発想力はあるだろうとすら考えていた節があります。
ですので、そういった特徴は「自分の武器なんだ」と素直に受け止めて、自分の文章の良いところとして今後も生かして書いていきたいところです。
作品について
応募した作品はカクヨムに全文を掲載しています。
※本記事に少しだけネタバレが含まれます
もともとの構想は「無限に続く水族館に女の子が閉じ込められる」というスタート地点だけでした。妹を含めた他のキャラクターや世界観の設定、結末の在り方は大まかに決めて、あとは書きながら調整しました。
というのも、あたらよ文学賞の文字数制限が15,000文字以内で、あまりストーリーを広げすぎることもできず、かといって軽い感じにはしたくない、と試行錯誤しながら書いていった背景があります。
ちなみに、このお話の(私が勝手に考えていた)テーマソングはBUMP OF CHICKENの「邂逅」です。
ちょうど作品を書き始めたくらいに聞いて、今までバンプがここまでハッキリと「死による別れ」を連想させる曲を歌ったことがあまりなかったので、長年のリスナーだった私は衝撃を受けました。
そして、何度もこの曲を聞きながら、執筆を進めました。
私自身も、今までいろんな人の死と向き合ってきました。
身近な人で言えば祖父、それに友人、恩師、学校の先生。
天寿を全うする人もいれば、ある日突然、二度と会えなくなってしまった人もいます。
そんな中で、私はなおそのたびに「生きよう」と強く思うことが多く、なぜならそれは、いつかきっとまた出会えることを心のどこかで信じているからなのかもしれない、と考えているのです。
その感覚と共鳴していたのが、この曲でした。
人の死をテーマとして組み込んで小説を書いたのは、今回が人生で初めてのことです。
私はあまりそういったテーマに対してネガティブ一直線な作風にしたくはなく、かといって軽々しく扱うものでもないことは重々承知していて、いかにこのテーマに向き合いながら、自分らしく希望を持たせて物語を書き上げられるか、というのが大きな課題でした。
うまく表現できていたのか不安でしたが、結果としては応援コメントで「最近大切な人を失ったので、救われる思いがした」「光に包まれるような気持ちで読了した」と言っていただけて、伝えたいことは伝わっている作品になったのかな、と思っています。
今後のこと
先日の文学フリマ福岡が終わり(お越しいただいた方、ありがとうございました!)、ほっと一安心……
といきたいところなのですが、アイマスエキスポ向けのお話を書かないといけなかったり、年始に向けて新しい短編集を作りたかったりと、実はやることはたくさん詰まっています。
公募的なものとしては、ノベプラの百合コンに挑戦したいと考えています。
自分の作品を「百合」というジャンルとして宣伝するのはやめるものの、私のいくつかの作品は私の中で私なりに「百合である」と解釈しているのもあるので、それをぶつけてみたいと思います。
イベントとしては、年明け1月5日の「もじのイチ」に参加予定です。久しぶりに東京でのイベント参加ですので、会いに来ていただけると嬉しいです。
このタイミングで、これまで書いた短編作品をまとめた新しい短編集を出したいと計画しています。
その翌々週の1月19日には文学フリマ京都に参加します。
最初の文学フリマ参加からあっという間で、もう1年が経とうとしています。早いものですね。こちらも関西の方はまた足を運んでいただけますと幸いです。
寒くなったり暑くなったり、晴れたり雨が降ったりを繰り返す日々ではありますが、皆さまも体調にくれぐれも気を付けて、健康にお過ごしください。