【歌日記】9/16
◇歌
夏深み散る花重ぬ百日紅
一樹の下は風も寝ぬめり
折口信夫の眼に映る一本の木。辛夷も桜も「一樹」であればこそ、彼の心に歌を立たせた。親しみが齎す安らぎ。ここならば眠れる、ひとまず、今日のところは。風すらも遠慮がちに通る木陰には、散ったばかりの花とともに生きものたちが集う。
昨日見た百日紅も、盛りを終えた夏が逝くのを見守りながら、大荒れになるかもしれない明日の空の下でも立っている己を、夢の中で確かめているような、力強い姿で夜を過ごしていた。
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