《記録》 2019/11/24 にちようびのアトリエ・あさ
5歳のふたりがあそびに来てくれた。
古いアパートの一角で、えのぐ遊びをはじめる。
ふたりなので、ちいさなテーブルに向き合って座る。
はじめて会うし、はじめての場所だし。
どきどきしてるのがわかったので、
まずはえのぐと仲良くなってみる。
ひとりは点々、しかく、ぎざぎざ、まる。
線の色を途中で何度も変えて。
ひとりはおはな、にじ、くも、木立ち。
お気に入りの色で描いていく。
なんにもない壁に、描いた絵をセロテープで貼っていった。
「絵の具がたれちゃうよ!」
乾いてない絵をひとりでは貼りつけられないから
ともだちを呼んで手伝ってもらう。
必要にせまられて会話がはじまる。
「休憩しようよ。いいもの持ってきたんだ」
「わたしはもうちょっと描いてたいな」
それぞれのペースがあるのも、話してみてわかる。
ビニールのテントをつくっておいたので、その中に入って休憩をした。
持ってきたおやつを食べる。
テントのビニールには絵を何枚か貼った。
この部屋自体が、わたしにとっては秘密基地のようだけれど
ふたりにはそれでもまだ大きいのかもしれない。
基地のなかにもうひとつ、ちいさい基地ができた。
ちいさい体が近寄って、おやつも食べれて、ふむふむ。ちょうどよい感じ。
「今度はなにするの」
「おおきい絵を描きたい」
「旗にしよう」
「外に飾るのはどう」
「ママをびっくりさせよう」
このころにはふたりはおしゃべりしながら描くようになっていた。
だから、心をかよわせて、ふたつの絵がうまれた。
それぞれが、ぼくの虹とわたしの虹を描きながら、ひとつの虹を。
画用紙にわたしの蝶とぼくの蝶を飛び立たせながら、一羽の蝶を。
ふたりで向かい合って、思いを反射させながらひとつの絵を描いているように見えた。
そのあと、ひとつの絵には木立ちが並び、もうひとつの絵には水色と赤色の雨が降った。
それを棒に貼りつけて旗にして、窓の外に飾る。
「迎えにくるおかあさんたちにぼくらの場所をみつけてもらおう。」
これが、わたしたちの旗じるし。
だれかとくらべたり
いいとかわるいとか
そういうんじゃない世界に
感受性のやわらかなときに身を置くこと。
それが「あそぶ」の中にはある。
そういうあそびや余裕は
わたしたち大人にとっても必要なもの。
こどもたちと過ごすたびに、そのことを教えてもらう。
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