
【ななれん】アタッカーに積むパッシブスキルについて考える(1/2)
アタッカーの基本的なビルドにおいては、積みアビリティの片方でパッシブスキル(ヒートブレイブ等)を取得することが主流となっている。
古くは選択肢がヒートブレイブくらいしかなかったが、現在はアタッカー向けのパッシブスキルも増え、どれを採用するかで悩むことも多いのではないだろうか。
今回は、それぞれのパッシブスキルの特性を考察し、実際にどのようなダメージ差があるのか毎度の通りシミュレーション結果を交えて紹介していく。なお、今回は以下のアビリティを比較する。(アタッカーに積む可能性があるアビリティは概ね網羅できていると思う)
・ヒートブレイブ
・メテオブレイズ
・ムーンボルテージ
・コールザイン
・セットアクト
・リミットハウル
・バックアゲイン
■基本性能比較
前半記事ではカタログスペックをもとに各アビリティの特性を考える。
当然そうだろという話もあるが、おさらいも兼ねて述べていく。
大体わかってるよという方は後半記事のシミュレーションによるダメージ比較から読んでいただいても問題ない。
今回は比較にあたって以下の指標を考える。
・バフ総量
10ターン行動した際のバフ量の期待値。
例えばヒートブレイブは確定で3ターン50%のバフがあるので合計150%になるし、メテオブレイズは毎ターン50%の発動率で30%のバフが発生するので 30% × 0.5(50%) × 10ターン で150%となる。
・短期バフ量
戦闘開始から3ターン目までのバフ量の期待値。
期待値の考え方はバフ総量と同じ。
例えば開始後数ターンで終わる戦闘では後半のバフが無駄になる場合があり、そのような場合はこの指標が高いほど適性が高いと言える。
また、特定の敵を開始早々に倒したい場合などにもこの数値が高い方がよい。
・中期バフ量
戦闘開始から6ターン目までのバフ量の期待値。
期待値の考え方は(略)
短期バフと同様の考えで 6 ターン程度の中期戦闘を想定している。
・発動率
パッシブスキルの発動率。
ヒートは確定で発動するので 100%、メテオは発動率 50% など。
結果的にバフ量期待値が同じになったとしても、発動率が 100% ではない場合は上振れ、下振れが発生しうるということである。
この指標が低いと周回など安定した性能が求められる場面ではマイナスとなり、一度勝てばよいなどワンチャン狙いが通る場面ではプラスとなる。
◆基本性能比較の結果
前述の指標を整理した結果が以下となる。アクト、リミット、アゲインは少し扱いが特殊なので別枠として、ヒート、メテオ、ムーン、ザインの間で一番良いものを赤字、悪いものを青字にしている。(バックアゲインはそもそもバフアビリティではないので数値の記載を省いている。この辺りは後述する)

上記をもとに各アビリティの特性を確認していく。
・ヒートブレイブ・メテオブレイズ・ムーンボルテージ・コールザイン
前述したとおりアクト・リミット・アゲインは扱いが一部特殊であるため、まずはこの 4 つのアビリティで比較を行う。
まず、バフ総量を見るとザインが250%でトップになっており、次点がムーンの200%である。これはつまり、10ターン続くような戦闘ではザインやムーンが有利であるということである。
一方で短期バフ量を見ると150%のヒートがトップであり、次点のザイン 75% に 2 倍の差をつけている。ムーンやメテオはバフ量が低く、戦闘の立ち上がりではダメージを出しにくいことが分かる。
中期バフ量を見るとヒートとザインが 150% になっており、この辺りでヒートとザインのバフ量が入れ替わってくることが分かる。ムーンはこの時点では 120% なので、2ターン後の 8 ターン目にバフ量がヒートと入れ替わることになる。
メテオブレイズに関してはバフ総量がヒートと同じであり、ヒートと違い10ターンかけてバフを積み上げていくことになるため、短中期ではヒートの下位互換となっている。また、10ターン目にようやくヒートのバフ量に追いつくということであるため、単純にバフ量だけ見るとヒートの方がよいように思える。
しかし、メテオには「先制効果」と「発動率が 50 %」の2つの特徴がある。
先制効果は敵のヘイトタンクやディスペルより先に行動したり、行動順が入れ替わることでガッツで耐えたアニマに連続で攻撃するなどギミックを破壊できる可能性を秘めている。(逆にウォール状態の敵に先に攻撃してしまったり、ヒーラーとの行動順が入れ替わってガッツ戦法が崩れるなどのデメリットもある)
発動率については良し悪しなのだが、運さえよければ上振れが発生するということであり、ワンチャン狙いができる可能性がある。(こちらももちろん下振れが発生するというデメリットとセットである)
この効果を重視するのであれば、メテオを採用する価値が出てくると言える。
ムーンボルテージに関しては長期向けとはいったものの、すべての指標でザインの完全下位互換になってしまっている。
そのため普通に使う分にはザインでいいのだが、ムーンを採用する価値になりうる特性としてレイトフォースと相性が良いという点が挙げられる、
ムーンの発動ターンが偶数ターンであるため、初ターンにレイトフォースでチャージして2ターン目に攻撃…というのを繰り返していくと効率よくバフ効果を受けられる。
バフターンにのみ行動できた場合、実質バフ総量は 400 %に及ぶ。(レイト不発を挟むと丸々バフを受けられないということであるため、メテオと同じく上振れの話にはなるが…)
この嚙み合わせによる最大効率のメリットを享受するためであれば、ムーンを採用する可能性がありうると言えそうである。
・セットアクト
セットアクトは味方の数 × 5% のバフを得るアビリティで、編成の枠数で効果が変わるアビリティである。
3体編成想定だと毎ターン 10% の攻撃バフでほかのすべてのアビリティの下位互換となり、採用することはないと思われる。
バフ総量でいえば4体編成でヒートやメテオと同等、6体編成でザインと同等になる。
通常討伐であればマルチ4体編成も可能であるが、月チャレ等は3体編成なのでアクトを採用するとしたら6体編成の撃滅戦や8体編成のレイドになると思われる。
特にレイドの場合は毎ターン 45% バフでバフ総量 450 % となり、非常に高倍率になる。
6体編成の場合はザインと同じ倍率で、味方が倒れた場合にバフ量が落ちるため基本ザインでよいのだが、「レイドを主眼としつつ撃滅戦にも使い回す」といった運用を想定するのであれば用途として考えてもよさそうである。
・リミットハウル
リミットハウルはバフ量だけみれば確定で 攻バフ50%が10ターンと、短期~長期すべてで当然最強のアビリティなのだが、行動後にターン数×10%のダメージを受けるデメリットが存在する。
これはつまり、回復を挟まなければ4ターン目(10% + 20% +30% + 40%)には戦闘不能になることを意味している。
また、回復したとしてもリペルキュアを使うか、アゲインで 2 回ヒールをしない限りは回復が追い付かなくなり、9ターン目の行動後には戦闘不能になる。
つまり、編成にヒーラーが半必須であり、途中でうっかり敵からダメージを受けて自滅するのを避けるためにタンクも欲しくなるということである。
本来ヒーラーが要らないところに無理に採用するくらいなら流石にアタッカーを2体入れた方が強いため、強みを活かすには「もともとヒーラーとタンクを入れる必要がある戦闘で使用する」「8体編成など多数編成でリミットアタッカーを並べてヒーラーを 1 体入れるデメリットを上回るメリットを生み出す」のどちらかが必要になる。
編成縛りが発生するため状況を選ぶが、条件に合致さえすれば強力なアビリティといったところだろうか。(現部大祭レイドあたりでは無理なく条件を満たせるのではないかと考えている)
※ 2024年10月コラボイベントでの実装アビリティであり、まだ実績がなく評価に悩むのが正直なところである。意外と3体編成で無理やりヒーラーを入れたハイパーキャリー的な編成でも、環境に対してオーバースペック過ぎて活躍するかもしれない。(もちろんそのヒーラーの枠でアタッカー入れるなりアゲインコンビネーションなり打った方がダメージが上なのは間違いないのだが)
・バックアゲイン
こいつが一番ややこしい。正直うまく説明できる気がしない。
バックアゲイン自体は攻防デバフ-40% を受ける代わりに2回行動するアビリティであり、サポーターの支援行動回数を増やすためなどによく使われる、が今回はアタッカーが使う場合の話である。
アタッカーが使う場合のバックアゲインは、ダメージ計算上「攻撃バフ枠を -40%(-0.4)する代わりに、完全別枠で 2 倍の定数を掛ける(2回行動)」アビリティであるということができる。(厳密にいうと2回行動の1回ごとに攻撃アビリティの発動判定があるため正確な表現ではないが、単純化のためにスルーしてほしい)
ダメージ計算の乗算枠の考え方については以下記事を参照してほしい。
上記記事の「②攻撃バフ」にあたるところが -0.4 される代わりに2回攻撃を行うので最終ダメージが2倍されるということである。
バックアゲイン自体の発動率が 70% であるため、ダメージ増幅の期待値は「1×0.3 + 2×0.7 = 1.7倍」ということになる。(不発時は攻デバフが発生しないなど、これも厳密な表現ではない)
バックアゲインによるダメージ増加量は、この 1.7 倍による増強と、攻撃力デバフによる減少のどちらが勝つかという話である。
具体的には以下の要素で変動する。
1.攻撃が下がると敵の防御の影響が大きくなるため、敵防御が高いほど
(ほかのアビリティよりも大きく)ダメージが下がる。
2.ほかの攻撃バフが存在するとデバフ効果が薄まるため、(ほかの
アビリティで同じバフ量がある場合よりも大きく)ダメージが上がる。
1は単純に攻撃が低いほど防御の影響を受けやすいということである。
2は攻バフ量が少ない程、ほかの攻バフの影響が大きくなる(ダメージ計算式の記事で紹介した同枠加算の値が減るので、同じバフ量でも伸び率が大きくなる)ということである。
正直ピンとこないと思うので実際のダメージ感は後述のシミュレーション結果を見てほしいが、先に言っておくと例として「アライブシップあり、敵の防御が 0、ラッキーライン3で攻バフを付ける場合」においてはリミットハウルよりもダメージが出るほどであり、なかなか驚異的である。
■ここまでのまとめ
ここまでカタログスペックを見ていった結果から、各アビリティの所感を以下にまとめる。
ヒート:特に短期・中期でバフ量に優れる。
メテオ:バフ性能だけならヒートの下位互換。先制能力目的や上振れ期待なら採用価値あり。
ムーン:長期戦向けだがバフ量はでザインの下位互換。レイトと組み合わせるならあり?
ザイン:中・長期戦では条件のない汎用アビリティ内では最高バフ量。
アクト:撃滅戦以上で採用可能性あり。撃滅戦ならザイン優先、レイド専門なら第一候補。
リミット:編成縛りが発生して使いどころを選ぶが全アビリティ中バフ量は最高。
アゲイン:他攻バフ量と敵防御で性能が変動する。
前半の記事ではカタログスペックから読み取れるバフ量の差や特性についてみていった。
ただし、実際にはそのバフ量の差がどれくらいのダメージ差になるのか?というのが肝要かと思う。
そのため、後半ではシミュレーション結果をもとに実際のダメージ期待値を比較していきたい。
後半記事はこちら⇒