
【ななれん】全体攻撃アビリティダメージ比較
前回の単体攻撃アビリティの比較に続いて、今回は全体攻撃アビリティを比較する。全体攻撃についても現環境ではクリティカル率が上がるフルブラストが人気であるが、実際のダメージとしてはどうなのか。シミュレーションでのダメージ比較を交えながら紹介・考察していきたい。
■対象アビリティ
今回は以下の全体攻撃アビリティについて比較を行う。
・フルブラスト
・フルスラッシュ
・フルブレイク
・フルドライブ
なお、フルドライブは攻撃後に速度を上げるアビリティであるため、ダメージ比較の観点では実質効果なしのアビリティとなるが、今回は効果なし倍率 80 % のアビリティの例として比較対象に挙げている。
■条件
以下の条件を固定して各全体攻撃アビリティを積んだときのダメージ期待値を比較する。
・ヒートブレイブ3積み
・敵数は 3 体
・自分の攻撃力は 15000
・味方にアライブシップ持ちアニマがいる
単体攻撃の際とは違い、敵の防御力と刻印ラッキーラインの指定がない点に留意してほしい。
今回の比較対象の全体攻撃はそのあたりの条件で結果が変わるものがあるため、刻印ラッキーラインのある/なしや、敵防御の違いによるダメージなど複数の結果を算出、考察していく。
■結果と考察
◆敵防御力 0 ・ラッキーラインなしの場合
まず、敵の防御力が 0、刻印でラッキーラインを使用しない場合の結果を見ていく。
この場合、フルブレイクの防御デバフ効果は意味のないものとなり、フルドライブと同じく実質効果なしアビリティとなる。

単体攻撃の場合は 10ターン目時点の合計ダメージのみ比較したが、全体攻撃はターンの途中で優劣が入れ替わる場合があるため全ターン分のダメージを記載している。例えば「5ターン目」のダメージは、5ターン目までに与えた総ダメージの期待値である。
例によって主要な全体攻撃であるフルブラストを基準に各アビリティのフルブラ比を記載している。
まず、フルスラッシュとフルブラストのダメージに着目する。フルブラ比を見ていただければわかるが、1~6 ターン目はフルブラストが優勢で、7ターン目で並び、8ターン目以降はフルスラッシュのダメージが勝っている。
つまり、8ターンを超える長期戦においてはフルブラストよりもフルスラッシュがよりダメージを稼げるということである。
なお、今回は3体の敵が10ターン目まで生き残っている想定のシミュレーション結果だが、敵の数が増えればフルスラッシュのバフ速度が上がって優勢になるし、途中で敵が倒されればフルスラッシュが劣勢になる。
効果なしアビリティのフルブレイク、フルドライブのダメージは、一律でフルブラストの 0.8 倍になっている。これは、フルブラストのクリティカル率アップ効果のダメージ増幅力が 1.25 倍(1.0/0.8)であることを示している。
◆敵防御力 0 ・ラッキーライン3の場合
前述の結果ではフルスラッシュが長期戦で有利になったが、ラッキーラインがあるとまた話が変わってくる。
下記表は前述の条件に加えて、ラッキーライン3を搭載した場合の結果である。

フルスラッシュのダメージが 1~10 ターン目すべてでフルブラスト以下になっていることが分かる。(それでも 8~9割くらいのダメージは出ているが)
これは、ラッキーラインの攻撃バフ効果がフルブラストに加わることで、フルスラッシュの強みの攻撃力強化効果が薄まっていると考えられる。
フルスラッシュは自前の攻撃バフも併せてバフ速度自体は加速するはずだが、それでもフルブラストのクリティカル率アップ+攻撃バフには及ばないようだ。(この辺りはダメージ計算式解説の記事で話した別枠乗算関係が影響しているのかなと推測している)
このように、ラッキーラインを使う前提であればフルブラストのダメージ期待値が一強となる。
しかし、攻撃バフの量が多いことが活きる状況を想定すればラッキーラインありでもフルスラッシュに芽がないわけではない。
具体的には、敵が攻撃デバフを使ってくる状況である。この場合、デバフ量によってはラッキーラインのみでは相殺が追い付かないことが考えられるため、フルスラッシュ有利になる可能性がある。
下記に毎ターン攻撃-15%のデバフを受ける場合の結果を記載する。

上記通り、ラッキーラインがあったとしても、毎ターン大きな攻撃デバフを受ける場合は6ターン目以降でフルスラッシュのダメージが高くなっている。(ちなみに毎ターン-15%の攻デバフを受ける前提であれば、すべてのアビリティでラッキーラインよりネイテイルコートの方がダメージが高くなる)
この辺りは敵次第であるため、今後敵に攻撃デバフが標準搭載されるような環境に変わればフルスラッシュが台頭してくる可能性はある。
とはいえ、基本的には毎ターン大量デバフが入るような状況は特殊である可能性の方が高く、汎用性の面ではフルブラストが高いと言えそうである。
◆敵防御力 20,000 ・ラッキーライン3の場合
ここまでの結果は敵の防御力が 0 の場合であったため、フルブレイクは実質効果なしのアビリティとなっていた。
フルブレイクについても評価するために、敵の防御力が 20,000 の場合の結果も見ていく。(敵防御 20,000 は、感覚的な話にはなるが月チャレ等でちょっと固い敵くらいのイメージである。)

上記通り、防御 20,000 程度ではフルブラスト、フルスラッシュのダメージに勝つことはできていない。
ちなみに防御を上げれば上げるほどフルブレイクのダメージが相対的に高くなるが、一定以上防御が高いと -5%/ターン 程度の防御デバフでは相手の防御を貫通できず、いずれのアビリティもダメージを与えられなくなる。
そもそも敵1体ずつに防御を -5% するフルブレイクと、自分が敵数×5% 攻撃アップするフルスラッシュでは後者が勝るのは当然といえば当然であり、汎用的な全体攻撃としてはフルブレイクは一段落ちることになる。
ではフルブレイクに使い道がないのかというとそうではなく、フルブレイクは「敵のピックヘイトタンクに全体攻撃を集中させて防御を貫通させる」場合に真価を発揮すると筆者は考えている。この辺りはさらに細かい話になるので、いずれ別記事を書きたいと思っている。
◆余談
ダメージ比較とは関係ないが、全体攻撃(というかフルブラスト)のクリティカル周りの仕様に特殊なものがあるので紹介しておきたい。
その仕様とは「フルブラスト以外は1体ごとにクリティカル判定がある」「フルブラストはすべての敵がクリティカルになるか、すべての敵が非クリティカルになるかのどちらかである」というものである。
要するにフルブラストの場合は55%の確率で敵全体にクリティカルになるということになる。
例えば敵が3体の場合、すべての攻撃がクリティカルになる確率は
フルブラスト:55%
その他 :2.7%(30%を三回)
となり、単体攻撃のパワーブラスト(75%)とその他(30%)よりもさらに大きな差が存在する。(もちろん、1体だけクリティカル・2体だけクリティカルする確率を含めるともっと高くなるが)
これは特に魔獣チャレンジ等でタンクに攻撃を集中させて貫通する場合に大きな影響があり、貫通できる前提であればワンチャン力(りょく)はフルブラストの方が高かったりする。
◆終わりに
今回は全体攻撃のダメージを比較した。単体攻撃と同じく、全体攻撃アタッカーのビルドに悩んでいる方の参考になれば幸いである。
勝率の高さが重要になる PPP などであればやはり期待値でフルブラストが好まれる傾向はあるが、魔獣チャレンジなどではフルスラッシュでも十分な場面は十分ありうる。
マーケットの価格や今後の環境読みなど踏まえてぜひビルドに頭を悩ませてみてほしい。