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あなたへの花 #1

 ということで、第一回目の台本投稿をしたいと思います。
いやー緊張する……
この台本は一回ボイコネにアップしたことがあった作品なんですよね。
その台本をリメイクしてアップさせていただきます。
何回もチェックはしてるんですが、もしかしたら、誤字脱字、台詞言ってるキャラ違くね?みたいなことが発生するかもしれませんが、その時はコッソリ教えてくれたら、嬉しいです。
また感想もお待ちしてます(生意気だな
それでは、長々話すのもここまでにして、どうぞお読みください。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あなたへの花」
 
 

 
 あらすじ
 
とある街で営む小さな花屋さんがあった。そこでは、優しい女性店主と、アルバイトの青年がいるという。
今日も花屋には、お客さんがやってくる。
様々な想いを花に乗せてーーー。
 
 
 
 

登場人物
 
香花(こうか)……とある街にあるお花屋さんの店主。
 
優弥(ゆうや)……花を買いに来た社会人。
 
美咲(みさき)……優弥の彼女。
 
和人(かずと)……花屋に勤めるアルバイト店員。大学生。

時間配分
30~45分程度 

性別配役
男:2 女:2

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下段より本編。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
とある街の花屋。
 
和人 「おはようございまーす」
香花 「あぁ和人君おはよう」
和人 「俺やりますよ」
香花 「そう?ありがとう」
和人 「いえいえ、まだまだ寒いんで、こういう水作業は男に任せてください」
香花 「和人君もそんなこと言うようになったかぁ」
和人 「大変じゃないっすかこの作業。それに……女性にはいつでも綺麗でいて欲しいんで」
香花 「あら、いいこころがけね。そのまま彼女さんができるといいんだけどなぁー」
和人 「それ、気にしてる人の前で言います?」
香花 「ふふ、景気づけ。今日もよろしくね」
和人 「きついなぁ……はぁい。」
 
するとお店に来店する男が一人。
 
優弥 「すみませーん」
香花 「はーい、いらっしゃいませ」
優弥 「花束を頼みたいんですけど……」
香花 「かしこまりました。プレゼント用でよろしいですか?」
優弥 「はい。」
香花 「ご予算はありますか?」
優弥 「五千円って結構大きいですか?」
香花 「はい、お花の種類にもよりますが、しっかり大きいのは作れますよ」
優弥 「じゃあそれでお願いします」
香花 「かしこまりました。それではお花の種類をお選びください」
優弥 「あ、えっと」
香花 「はい?」
優弥 「今日選んで、当日取りに来るってできますか?」
香花 「ご予約ということですか?」
優弥 「はい」
香花 「大丈夫ですよ。その方が、こちらの方も良いお花をご用意できますので」
優弥 「ありがとうございます」
香花 「お先にお日取りを伺ってもよろしいですか?」
優弥 「あ、えっと4月28日で。」
香花 「一週間後ですね。承りました。お誕生日かなにかですか。」
優弥 「はい」
香花 「素敵ですね、彼女さんですか?」
優弥 「いえ、」
香花 「ではご家族の方とか?」
優弥 「いえ、」
香花 「ということはご親友かなにかですか?」
優弥 「いえ、」
香花 「では……」
優弥 「俺のです。俺の誕生日で。」
和人 「え……」
香花 「お客様の……?」
優弥 「はい。あっ、お花、選んでいいですか?」
香花 「あ、あぁ、はい。どうぞ……」
 
優弥花を選び始める。
ひそひそと話し始める香花と和人。

 
和人 「香花さん。あの人、ヤバくないですか?」
香花 「まぁお花が大好きなのかもしれないじゃない?」
和人 「でもサイコパスですって!おかしいですって!」

優弥 「すみませーん、少しいいですか?」

香花 「はい、ただいま!じゃあ、お水替え終わったらラッピングの届いてるからそれお願いね。」
和人 「は、はい……」
 
香花、優弥の方へ行く。
時間が過ぎ優弥が帰る。
 
優弥 「それじゃあ当日お願いします」
香花 「はい、お待ちしてます」
 
優弥帰っていく。
 
和人 「香花さん、ラッピングのやつ終わりましたよ」
香花 「あぁ、ありがとう。早いって……もうこんな時間」
和人 「結構真面目に話してましたね」
香花 「そうねぇ」
和人 「見る感じ花選びも事前に決めてたって感じだし、相当ですね」
香花 「…………」
和人 「香花さん?どうしたんです?」
香花 「え?あぁ、ちょっとひっかかって」
和人 「なにがです?」
香花 「ほら、あの方の松元優弥さんという方なんだけれど、見て。」
和人 「ん?バラ、ガーベラ、ポピー、カスミソウ……あー春の花。なんか旬って感じですね。」
香花 「そうね。」
和人 「まぁ4月誕生日で自分に送るんだったら、それが一番ですよね。
香花 うん、でも、そこじゃないのよ」
和人 「え?」
香花 「松元さんの選んだお花は全部、感謝の花言葉があるの。」
和人 「感謝?え、自分の誕生日に感謝?……ナルシスト?」
香花 「確かにそう思うわよね。でもこれはきっと……」
 
すると一気にお客様が来店する。
 
和人 「あっ、いらっしゃいませ!」
香花 「あら、とりあえずまた後でね、仕事しちゃいましょうか。」
和人 「はい!」
香花 「いらっしゃいませ、何かお探しですかー?」
 
そこからお客が絶えなくなる。
閉店時間。人もまばらになり、片付けの準備に入る二人。
 
和人 「はぁ、つかれた~!」
香花 「お疲れ様」
和人 「いえいえ、なんのこれきし、あっ、そうだ、あの人の話の続き!」
香花 「まぁそんな焦らないで、とりあえず、お店閉めちゃおっか。紅茶でも飲みながら、ゆっくり話しましょう」
和人 「おっ、今日はなんだろうなぁ~」
香花 「ふふふ、お外よろしくね」
和人 「はぁい」
 
和人が店前に出て、片付けをしようとすると、そこに美咲がやって来る。
 
和人 「……?いらっしゃいませ、入られます?まだ大丈夫ですよ。」
美咲 「あっ、はい……!……あの」
和人 「は、はい?」
美咲 「今日ここでお花買った人いませんか?」
和人 「あ、あぁ、えっと、今日は沢山いたからな……女性ですか?男性ですか?」
美咲 「男です。松元優弥っていいます。」
和人 「…あっ!朝の!」
美咲 「ご存知なんですね、やっぱり……」
和人 「……ち、ちなみにご用件は……?」
美咲 「彼の、優弥の花の行先を知りたくて。」
和人 「行先……?」
美咲 「最近彼の様子がおかしくて、女性用のプレゼントを選んでたり、花とか、もしかして浮気してるんじゃないかって……」
和人 「う、浮気……」
香花 「和人くーんどうしたのー?」
美咲 「お願いします!優弥が誰に渡すか知りたいんです!お願いします!」
和人 「えっ、え……こ、こ、香花さん!!!」
美咲 「店長さんですか!すみません!お願いします!」
香花 「え、っと……」
和人 「今日、自分の花束予約した方の!」
香花 「あぁ、あの方の」
美咲 「彼女です!優弥の足取りを追ってここに!その……!お願いします!」
和人 「……え、えぇ……香花さん……」
香花 「……わかりました。とりあえず、中で話しましょうか」
 
お店を閉めて、店内で美咲の話を聞くことになった香花と和人。
 
和人 「紅茶でよろしければ……」
美咲 「あ、ありがとうございます……(飲んで)あ、おいしい。」
香花 「そうでしょ?私の友達がお店で作ってるの」
美咲 「へぇ……どこですか?このお店」
香花 「えっと、駅は二駅先なんですけど……」
和人 「おほん(咳払い)!!」
香花 「あ……ふふ」
美咲 「ふふ……すみません、いきなり押しかけて変なことを言ったのに、こんなによくしてくださって……」
香花 「いいんですよ。構いません」
美咲 「……ありがとうございます」
香花 「……それで、彼氏さんのことですが……」
美咲 「はい。優弥とはもうかれこれ10年の付き合いで」
和人 「10年!?見た感じ俺とそんな変わらない気がするのに……」
香花 「失礼ですがおいくつですか?」
美咲 「26……今年で27です。優弥も。」
香花 「じゃあ高校生の時の?」
美咲 「はい、同級生で。そのまま」
和人 「すごい……」
美咲 「大学は違ったけれど、そのまま交際続いて、今は……同棲してます」
和人 「すごい、彼氏彼女の理想形じゃん……」
美咲 「(少し微笑んで)……でも、最近彼の様子がおかしくて」
香花 「それが今回の花束の件ですね。」
美咲 「はい」
香花 「それはいつから?」
美咲 「最初におかしいなって思ったのは2ヶ月前ですかね……。彼と一緒にテレビを見てた時、ふとスマホをいじってて、ちょっとチラ見したんです。そしたら女物のプレゼントを見てて、最初は私へのプレゼントかなって思ったんですけど……」
和人 「違ったわけだ」
美咲 「はい。何調べてるのって言ってもだんまりで、パソコンとかの履歴もそういう旅行サイトとか、女性向けブランドもののサイトとか見るようになってて、でも私にはやっぱり何も言わなくて……」
和人 「それ絶対浮気してんじゃん……」
美咲 「信用できないというか、疑心暗鬼になって、でも!私に対しての態度とかはいつも通りで、愛してくれてるってわかるし……!女性関係のしっぽなんて、なにもなくて……本当にもう!!!もう!!!……すみません取り乱して……」
 
美咲、手をもごもごと握って不安そうにも落ち着かせている。
 
香花 「いいえ、大丈夫ですよ。気になるのは当たり前です。だからこちらにいらしたんですものね」
美咲 「……おかしいですよね、私。」
和人 「間違ってないよ。まずそんな行動する彼氏さんが悪いよ。ね?香花さん」
香花 「うーん、まぁ心配させるのはね。ちなみに美咲さん」
美咲 「はい?」
香花 「彼氏さん、優弥さんはどんな方ですか」
美咲 「あーえっと……」
和人 「ナルシスト……ですか?」
美咲 「はい?」
香花 「こら」
和人 「だっておかしいでしょ!自分の誕生日に花束なんて!」
美咲 「じ、自分の誕生日に花束ですか?」
和人 「だってそうですよね?一週間後の4月28日」
美咲 「あっ……そっか、もう一週間後だったんだ、取り乱しすぎて忘れてた……」
和人 「ありゃ……」
美咲 「でも自分の誕生日に花束作るようなナルシストなんかじゃありません。そんな人だったら私すぐ別れます。何言ってるんですか、もう」
和人 「でも、実際そうじゃん……」
香花 「和人くん、決めつけは良くありませんよ?」
美咲 「その通りです。」
和人 「出しゃばりすぎました。すみません。」
香花 「ごめんなさいね美咲さん」
美咲 「全然大丈夫です。で、えっと、あ、彼のことですね、まぁそうですね。昔から大人しめというか、それこそナルシストとは逆というか、そんな感じですね」
香花 「例えば?」
美咲 「んー彼、生徒会やってたんです。寡黙だったけど、気配り上手で、優しくて、先輩からも後輩からもみんなに好かれてて、私もそのついでで好きになったというか、」
香花 「良い彼氏さんなんですね」
美咲 「はい!私のこともいつも助けてくれて、あっ生徒会だったんです私も」
和人 「優秀……」
美咲 「いえ、私はそれほど。でも優弥はすごいです。だから、付き合ったことも、今も一緒にいられるのも私的にはあり得ないというか、奇跡みたいな……優弥が優しいからなんですかね。へへ。」
和人 「じゃあ……考えられるのは、その優しさに嫌気がさした?」
美咲 「そんな!!!?今の今までも毎日大好きって言ってくれるのは、あれは嘘だっていうんですか!?」
和人 「あぁ、、すみません!可能性の話をしたまでで……」
香花「そういうとこよ~和人君」
和人「何が!?というか、どんだけラブラブなんですか!?」
美咲 「当たり前です!でも、でも……あぁもうわかんない……何考えてんだろう……」
和人 「あぁぁ、すみません……香花さんん~」
香花 「んも~……美咲さん」
美咲 「はい?」
香花 「……もう一度お伺いしますが、怪しいことは調べものぐらいですか?」
美咲 「はい……彼には悪いと思ったけど、メールも確認しました。怪しいと思うやりとりはなかったです。来週も彼の実家でお誕生日会を開く予定ですし」
和人 「へぇ、彼氏さんの家族と!」
香花 「それは毎年?」
美咲 「いえ、毎年じゃ。仕事の時だってあるので、でも今年はお休みで、お祝いするならみんでしたいって優弥と話して、それで……」
香花 「そうですか。うん、なるほど……美咲さん」
美咲 「は、はい?」
香花 「優弥さんの花束、やっぱり、彼の優しさだと思います」
美咲 「え」
和人 「やっぱり?ってことは、香花さん、もうわかってるんですか!?相手!」
美咲 「だ、誰ですか!?教えてください!!」
香花 「んー……ここで言うのもあれですから、優弥さんと一緒に一週間後、いらしてください。」
美咲 「えぇ……そんな……」
香花 「大丈夫ですよ、なにも悪いことは起きません。美咲さんのお話から聞いてもちゃんと松元さんはあなたのことを愛していますよ、きっと。でもそれとはもう一つに、松元さんは大切にしてるものがある。その方への花束だと思います。」
美咲 「大切な……」
香花 「ここは彼氏さんを信じて一週間後に来てみてください」
美咲 「……わかりました。そこで確かめます。」
香花 「ありがとうございます。それではまた、一週間後に。」
 
一週間後。4月28日。日中。
 
和人 「よし!できた!どうすか!」
香花 「うーん、もうちょっとバランスよくできたらいいな」
和人 「えぇぇ、これでも結構いいとと思ったんだけどな」
香花 「まぁ、前よりかは。でもまだまだ」
和人 「ちぇー」
香花 「ふふふ」
和人 「うーん……あっ、そろそろ来ますかね?」
香花 「え?あらほんと。和人くん準備お願い」
和人 「はぁい。しっかし、回りくどいなぁ」
香花 「えぇ?」
和人 「松元さんですよ」
香花 「でも、そんなもんだと思う。子から親への愛っていうのは」
 
すると優弥と美咲が来店する。
 
優弥 「どうも……」
香花 「松元様、お待ちしておりました。どうぞ。今日は彼女さんとご一緒ですか?」
優弥 「えっ、あぁ、はい。どうしても一緒に行くって聞かなくて」
香花 「いいじゃないですか。ね?」
美咲 「あっはい……」
香花 「どうぞ。松元様、お包みするお花の最終確認だけお願いしていただいてもいいでしょうか?」
優弥 「え、まだ花束にしてないんですか?」
香花 「はい。植物なので、ラッピングしたその時から鮮度は落ち始めます。少しでも生き生きとした方がよろしいかと」
優弥 「なるほど。確かにそうですよね」
香花 「はい、その方がお渡しする際、お母様もお喜びになられると思いますよ」
優弥 「え」
美咲 「え」
香花 「この花束、松元様、優弥さんのお母様へあてらるものですよね。違いますか?」
美咲 「優弥、そうなの?」
優弥 「あ、あぁ……でもなんで」
香花 「わかりますよ、まず自分のお誕生日なのに、自分に花束を贈る人なんて、ナルシストぐらいです」
和人 「ぷっ……、あっ、すみません……仕事してきまーす」
香花 「私は松元様にはじめてお会いした時にそんな風には見えませんでした」
優弥 「は、はぁ……」
香花 「では自分の誕生日にどなたに……は、美咲さんからお話を聞いた時に確信しました」
優弥 「美咲が?どうして……」
美咲 「……優弥、ごめん。最近、その、優弥が女性のプレゼントとか調べてるの知ってて、それで、ここのお花屋さんで買うってこと、スケジュール帳こっそり見てわかったから、その……他の女の人にあげるのかなって思って、誰に渡すか確かめるために、ここに一回来たの……!ごめんなさいっ!」
優弥 「そ、そんなことしてたのか!?」
美咲 「だって、本当に心配だったから……」
優弥 「そんなわけないだろ……俺はその……今お店の人が言ったように、母さんに渡そうと……」
美咲 「じゃあなんで言ってくれなかったの?それぐらい私だって協力するよ?」
優弥 「……それは」
香花 「恥ずかしかったんですよ」
美咲 「え?」
香花 「美咲さん自分で言ってましたよね、面倒見がよくて、気が利いてって。だけど寡黙と。」
優弥 「美咲そんなこと言ったのか……」
美咲 「だ、だって本当のことだから……」
香花 「そういう人って自分のこと隠しがちなんです。違いますか?」
優弥 「それは……」
美咲 「そうかも」
優弥 「えっ」
美咲 「だってこの間だって、体調悪いのに隠しておでかけしたし、」
優弥 「いいじゃんそれぐらい」
美咲 「きのこ嫌いなのに、そのこと隠して、前まで普通に料理に出してたし」
優弥 「なんで嫌いなことわかったんだよ……」
美咲 「もう!無理しないでっていつもいってるじゃない!」
優弥 「あれは無理じゃない。」
美咲 「それでも!」
優弥 「ごめん」
香花 「ふふふ、」
美咲 「あっごめんなさい、つい……でも隠しがちっていうのは……あってます」
香花 「そうですね、それに親への感謝となったら、いつになっても照れくさいものです」
優弥 「しょ、精進します」
香花 「それでも形にできるということは、とても素晴らしいことですよ」
優弥 「……はい」
美咲 「ふふふ、よかったね」
香花 「ふふ、それでは、こちらへどうぞ」
優弥 「はい」
香花 「まずは、ピンクのバラとカスミソウ、こちらはお花屋さんでも年中取り揃えていて、比較的いいものが手に入りやすいので、今回は一等いいものを取り揃えました。」
優弥 「どうかな」
美咲 「うん、綺麗」
香花 「ありがとうございます、次は季節のお花、ポピーとガーベラ」
美咲 「うわぁぁ……!かわいい……!」
香花 「春のお花は、見た目も可愛いお花が多いので女性にも人気です。今が旬なので、こちらもとっても綺麗なものが取り揃えられました。いかがですか?」
優弥 「はい、とっても綺麗です。これでお願いします」
香花 「かしこまりました。以上4つの松元様がお選びになさった花は感謝の花言葉を持っています。しっかりお調べになったんですね。」
優弥 「まぁ……」
美咲 「さっすがぁ~」
香花 「ふふふ、あとそれから……」
優弥 「?」
香花 「これは私からのおまけです」
優弥 「これって……」
美咲 「カーネーション……」
香花 「はい。花言葉は無垢で深い愛。そして赤色は母への愛。無難ですが、母の日を先取りということで、お付けいたしますね。」
優弥 「ありがとうございます……」
美咲 「よかったね」
香花 「(微笑んで)それでは、お包みいたします。」
優弥 「はい、お願いします。」
 
香花が優しく花束をつくりあげる。そして完成したものを優弥に渡す。
 
香花 「お待たせしました」
美咲 「わぁぁ……!とっても綺麗!」
優弥 「ありがとうございます!」
香花 「喜んでいただけるといいですね」
優弥 「きっと喜びます」
美咲 「うん!あ、そういえば……」
優弥 「ん?」
美咲 「なんで優弥のお誕生日にお母さんに花束なの?まぁ感謝はわかるけど、いつも渡してたっけ?」
優弥 「いや、はじめてかな。母の日以外に贈るの」
美咲 「じゃあどうして?」
香花 「そうですね、それは少し気になりました。母の日の先取りというわけではなさそうですし……」
優弥 「……人生の半分です」
美咲 「人生の半分?」
優弥 「うん。今日の俺の誕生日で、母さんは人生の半分を母さんで過ごしたことになるんです。」
美咲 「……」
香花 「……」
優弥 「俺のことをしっかり育ててくれて、そのお陰で俺は今ここにいて……それが、母さんにとっては今日で人生の半分なんです。だから、今日は俺の誕生日だけど、一番は母っていう誕生日だなって。ずっと思ってて。それで、」
美咲 「自分の誕生日に、プレゼント……」
優弥 「うん。まぁ、本当はお腹にいた時からだけど、親しみある日付の方がいいかなって。わかりやすいしさ。」
香花 「一つの節目として……ですか。」
優弥 「はい。でもこんなことやっぱ恥ずかしくて、人には言えなかったけど」
美咲 「だからそんなことないって!もー!……とっても素敵だよ!」
優弥 「ありがとう美咲」
美咲 「だから……今度からはちゃんと相談して、ね?」
優弥 「うん。そうするよ、ごめんな、不安にさせて」
美咲 「……あーあ!数か月心配したの損した!今度どっか連れてって!」
優弥 「えぇ、この間の土曜日行ったばっか」
美咲 「……」
優弥 「わかった。どこがいい?」
美咲 「おいしい紅茶屋さん連れてって!」
優弥 「紅茶?美咲にしては珍しいね」
美咲 「いいでしょ?ダメ?」
優弥 「ううん、何にも。行こう」
美咲 「うん!」
香花 「ふふふ、それでは、紙袋を……」
美咲 「いえっ、このままで!」
優弥 「えっ」
美咲 「こ・の・ま・ま・で!そっちの方がきれいなお花見せれるでしょ?ですよね?」
香花 「そうですが……ちょっと大変ですよ?」
優弥 「大丈夫です。そのまま持っていきます。俺を育ててくれた母の苦労と比べたら、かすりもしません」
美咲 「そうそう」
香花 「かしこまりました。それではお値段の方が……」
 
お会計を始める。
 
香花 「ありがとうございました」
優弥 「それでは。」
美咲 「今度、私も自分の誕生日に買いに来ますね!!」
香花 「それはそれは、是非お待ちしております」
美咲 「はい!行こ!」
優弥 「うん」
 
美咲、優弥帰っていく。
 
和人 「香花さん」
香花 「あぁ、和人くん、お店の方ありがとうね」
和人 「いえ、大丈夫です。でも本当にお母さんのだったなんて、すごいですね香花さんの読みは。」
香花 「ちょっと考えればわかることよ。」
和人 「えぇー。でも他の女の人っていうのは考えつかなかったんですか?」
香花 「そうね、だってあの二人、もうすぐ結婚するもの」
和人 「えっ!?なんでわかったんですか!?」
香花 「指輪。」
和人 「え?」
香花 「美咲さん、こう言ってたでしょ?」
 
美咲(回想) 「でも!私に対しての態度とかはいつも通りで、愛してくれてるってわかるし……!」
 
和人 「あぁ、確か……」
香花 「その時に手をいじってたの覚えてる?」
和人 「あぁ、そうだったかも?」
香花 「細かくいうと左手の薬指。」
和人 「それって」
香花 「うん。してなかったけど、もしかしたら持ってるのかもしれないって」
和人 「なんだそりゃ……それだけじゃわかりませんって」
香花 「でもかすかに跡がついてたから」
和人 「跡があっただけかもですよ?」
香花 「それなら触らないわ」
和人 「……じゃあ、もうすぐ結婚するってのは?結婚してるかもしれないのに」
香花 「付き合ってるってだけで結婚してるとは言ってなかったでしょ?」
和人 「なるほどなぁ……」
香花 「しかも毎日大好きって言ってるんだもの」
和人 「あぁ、そうだった……納得」
香花 「でしょ?美咲さんだけ見ても、他の女性の方に贈るなんて、もう残る女性はお母さんぐらい。しかもお誕生日に家に行くって言うんだから、確信するでしょ、普通?」
和人 「そっか……んで人生の半分も見破ってたと」
香花 「いや、そこまでは考えつかなかったわ」
和人 「えっ、わざと言ってたんじゃなかったんですか?」
香花 「ええ、わかってたら苦労してないもの」
和人 「苦労してたんだ」
香花 「聞いて感心したわ。そんな考えあるんだぁって。」
和人 「えぇ」
香花 「美咲さんもいずれ来ることだし……うん、これで商売できそうね」
和人 「えっ、使うんですか、ちょっと、卑怯ですよ!せかっく良い話で終わろうとしてるのに!」
香花 「あっお客さん。いらっしゃいませー」
和人 「ちょっと香花さん!!!」
 
終わり。

(本文9,025字)

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