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台本「あなたへの花」#4
「あなたへの花」#4です!!!
第3話の投稿が昨年の9月だったので、本当に1年ぶりの更新です……。
いやぁ、書けて良かった……。
今回は、新キャラばんばん出てきているので(といっても、1年ぶりの更新だから前の話も定かではないですね……)
もし前話が気になる方は
ご覧くださいね(__)
※誤字脱字、文構造がおかしなところがあるかもしれません。見つけ次第訂正いたします。
時間配分
30~45分程度
性別配役
男:3
女:3
PDF
整理次第、順次添付予定。
登場人物
香花(こうか)……とある花屋の店主。
和人(かずと)……とある花屋でアルバイトをしている大学生。
そよ乃(そよの)……とある花屋でアルバイトをしてる学生。留学をしていて、帰って来た。
平林(ひらばやし)……花屋の近くに大きな畑と屋敷を持つご老体。
実里(みのり)……平林の娘。50代前半。
大地(だいち)……紅茶屋の店主。平林の孫。
下段より本編。
ーーーーー
扉の締まる音。
花屋にて。
和人「どう……っすか!!!」
香花「うん、しっかりバランス取れてるし、花の置き方もメリハリがある」
和人「何点ですか!!!」
香花「うーん、70点!」
和人「最高得点!!なのに釈然としないぃ……!」
香花「100点満点なんてすぐ取れると思ったら大間違い。さっ、次々」
和人「くっそぉぉ、何が足りないんだ…」
香花「うーん、悪くないんだけどねぇ、ほらみて」
和人「ん?」
香花「まだ茎の先、これじゃあ水が吸いたくても吸えないし、葉もある程度むしりとるまではいいけど、見栄えがなぁ」
和人「そこかぁぁ……」
香花「こらこら、そこだけじゃないわよ?」
和人「うはぁぁ……まじでぇ……」
香花「ふふふ、りっぱに花束をつくれるなんて、花屋にとっては当たり前だもの」
和人「当たり前のことがまだできない俺って一体……」
香花「そんなめそめそしないで。その当たり前が難しいんだから」
和人「香花さんはできてるじゃないですか」
香花「そりゃあこの道生きて……おっとアブナイ」
和人「あっ、濁した!!!」
香花「まぁまぁ、ご愛嬌ということで」
和人「言ったって減るもんじゃないのに」
香花「秘密にしてたほうがいいこともあるんですー」
和人「それを言う時点で中々アウトな気が」
香花「さっ!お店開くよー」
和人「あっ!そうやってごまかして、朝からお客なんt」
カランカランと扉が開く音。
和人「マジで!?」
香花「はい、いってらっしゃい!」
和人「えぇ……もー、いらっしゃ……」
そよ乃「やっほー!元気でやってる?和人ぉー」
和人「え?」
香花「その声……そよ乃ちゃん?」
そよ乃「きゃー!ねぇさーん!ただいまー!」
香花「おかえりなさい!!いつ戻って来たの!?」
そよ乃「ついさっき!はい!これお土産!」
香花「まぁ、良い香り…」
そよ乃「ヘアオイル、香花さんに合うと思って!!」
香花「ありがとう、今日から早速使ってみる」
そよ乃「へへーん!(和人を見て)かずとぉぉぉ!!!」
和人「やめやめやめやめ」
そよ乃、和人に飛びかかる。
和人「うっ!!」
そよ乃「元気にしてたか?生意気ボーイ!おっ?お?」
和人「してる!してた!見たらわかるだろ!?」
そよ乃「仕事は?少しは成長したか?」
和人「してるわ!今だってほら!」
そよ乃「ん?……なにこれ?」
和人「花束です!今日来る人の!」
そよ乃「……うわぁ」
和人「やだ、その言い方マジでやだ」
そよ乃「ねぇさんちょっと弄っていい?」
香花「ふふふ、どうぞ」
そよ乃「うわぁ、中、めっちゃくちゃ」
和人「それ、さっき香花さんにも言われた」
そよ乃「何点?」
和人「70」
そよ乃「70!?ねぇさん、採点あっっま!私の時はこんなことしたらマイナス20いや30は喰らったね!」
和人「それはそよ乃さんの話じゃん」
そよ乃「うっさい、ほれ、見るのも勉強だから、見とけ」
和人「もーそう言う言い方しかそよ乃さんはでき……っ……!!!」
そよ乃が手早く綺麗に下処理をする。
和人「…………」
香花「すごいでしょ?」
和人「えっ、ぁ……まぁ」
そよ乃「正直に言えー?お前の保身に繋がるぞー?」
和人「嫌だ。一言多いそれがイヤだ」
そよ乃「んだよ、ほら、これでどうねぇさん」
香花「うん、久しぶりなのに上出来」
そよ乃「くぁ~上出来かぁ~いろいろやって来たつもりなんだけどなぁ~」
香花「聞きたいなぁ、そのいろいろ。このあとは?」
そよ乃「なーんも、来週学校だからそれに備えて休養かな」
香花「そう、じゃあ今日はご飯でもどう?土産話も聞きたいし。」
そよ乃「ホント!?ねぇさんの手料理!?手料理!?」
和人「て、りょっっ!?」
そよ乃「ん?なぁにー?あんたは関係ないでしょ能無し和人!」
和人「なっ……!」
香花「いいじゃないの。和人くんもどう?一緒に食べましょ」
和人「えっ、良いんですか?」
そよ乃「えぇ〜」
香花「みんなで食べた方がご飯って美味しいでしょ?それにほら、和人くん、一人暮らしだから、まともに食べれてないんじゃない?」
和人「図星です。ご名答です。とっても大正解です!」
そよ乃「なんだよとっても大正解って」
香花「ならぜひ食べましょう」
和人「よしっ……!」
そよ乃「ねぇさんなんも気づいてないわ……」
香花「じゃあ今日は何にしよっかなぁ~……あ!」
そよ乃「ん?どうしたんすか?」
香花「今日何日!?」
そよ乃「えっと、今日は……」
和人「14です」
そよ乃「むっ!そこはうちが答えるはずだった!」
和人「なんだよ……!」
香花「二人とも!」
そよ乃「はい!」
和人「なんでしょう!」
香花「出張!行ってきて!」
和人・そよ乃「……え?」
和人、そよ乃でかい屋敷の門の前にいる。
和人「でっけぇ……」
そよ乃「はぁ、帰ってからの初仕事がここか……えぐ……」
和人「帰ってもよかったんすよ~?」
そよ乃「ねぇさんの頼みを断るって選択肢、うちにはないんだよ!それに、お前一人には荷が重いからな」
和人「なっ……!そんな植え付けなら俺だって何回もやってます~」
そよ乃「はぁ」
和人「な、なんだよ」
そよ乃「それだけだったら、こんな嫌な顔しないんだよ!」
和人「じゃあ何にそうなってんだよ」
そよ乃「今にわかるよ。そろそろ」
平林「くぉらぁああああ!!」
和人「ふぇ!?な、なんだ!?」
そよ乃「来た来た……」
和人とそよ乃の近くまですごい剣幕でやってくるご老体(平林)。それを追いかける50代ぐらいの女性(実里)。
実里「んもー!お父さん!また大きな声出して!ギックリ腰になるわよ!」
平林「うるせぇ!構わん!」
実里「お父さんが腰やったら畑の世話だれがやるの!」
平林「しゃらくせぇ!」
平林が門にたどり着く。
和人「えぇ……」
平林「むっ!!(睨みつける)」
和人「うわっ!」
実里「お父さん!」
平林「……新入りか」
そよ乃「そうっす。去年の年末あたりから、頑張ってます」
平林「ほう……」
和人「木嶋、和人です……今日はよろしくお願い、します」
平林「……ふんっ、こっちだ」
平林が門の中へ入っていく。
和人「はぁ……」
実里「ごめんねぇ、ちょっと難癖ある人で……」
そよ乃「いいっすいいっす、むしろそれでないと平林のじっちゃんじゃないっすよ」
実里「そう?娘的には、もう少し穏やかでいて欲しいけれど。あっ、ごめんなさいね、申し遅れました。実里(みのり)といいます。それで今のが
そよ乃「平林勝(ひらばやしまさる)。このでっかい屋敷の主様!」
実里「ふふふ、そよ乃ちゃんはいつも面白いわねぇ~」
そよ乃「あざ~っす!」
和人「……さっきまで嫌な顔してたくせに」
実里「え?」
そよ乃「っさ行くぞ~、まだ怒鳴られる前になぁ~」
実里「そうね、今年もよろしくおねがいします!」
そよ乃と実里、門をくぐって歩いていく。
和人「はぁ……」
それを見て、ついていく和人。
場面は変わって、花屋。
カランカランと音が鳴る。
香花「ありがとうございました。さてと、次は……」
するとまた扉の音が鳴る。
香花「はい!いらっしゃいませ!って、あら、大地さん」
大地「どーも。セカンドフラッシュが出来上がったから持ってきたよ」
香花「まぁ、わざわざ」
大地「実家にも届けるついで」
香花「あら、そうなの?タイミングがいいわね」
大地「タイミング?あぁ、もしかして、」
香花「そっ、今日は植え付け、私のバイトの子たちも一緒にやってるの。今日は午前中でお店閉めて私ももう少しで行こうと思って」
大地「なるほど、すみません、家の趣味に付き合わせてしまって……」
香花「いいのよ、平林さんには良い苗をいただいてますから、もちろん大地さんにも」
大地「ははは、じゃあ手伝いますよ」
香花「え?」
大地「午前中まで仕事ってことは、なにか取り置きの予約、入ってるんですよね?もしご迷惑でなければ、接客とレジぐらいは」
香花「(食い気味に)助かります……」
大地「……はい、かしこまりました」
場面変わって、でかい畑。そこで鍬をもって作業をする和人。
和人「きっちぃ……ふん!」
平林「もうちっと腰を入れて鍬をおろさんか!若いんだからしっかりせい!」
和人「はい!……ふんっ!」
平林「そうじゃ!そのままあと五連!!!」
和人「はい!!!」
耕した後の土でそよ乃が実里とビニール(マルチ)を敷いていく。
そよ乃「これで大丈夫ですー?」
実里「えぇ、心配ないわー!」
そよ乃「じゃあ切りますね~!」
実里「はぁい!おねがーい!」
そよ乃「(マルチを切る)うっし、ピン留めて……っと、出来た!」
実里「よし、じゃあ、土寄せしていきましょうか!」
そよ乃「はぁ~い」
一方和人。
和人「なんかあっち楽しそうでいいな……」
平林「こら、手が止まってるぞ」
和人「はい、すみません!ふん!」
平林「……あっちはあっちで、大変だ」
和人「んえ?」
平林「あの工程は器用さと手際がものを言う。マルチの出来次第で成長はぐんと変わる。儂は不器用だから、あれはできん」
和人「……爺さんも不得意なことってあるんすね」
平林「当たり前じゃボケ。頑固ジジイなんてみんなそうだ!」
和人「うわぁ、偏見~」
平林「ほら!手を動かせ手を!」
和人「うっす!」
そよ乃チーム。
そよ乃「よし!3連終わり!」
実里「まぁ早い!やっぱ若い子の力はいいわ!しかもそよ乃ちゃん器用だから」
そよ乃「そんなことないっすよ、留学先ではめっちゃしごかれましたから」
実里「あら、もう行ってきたの?」
そよ乃「はい、朝の便で今日帰ってきました!」
実里「嘘!やだぁ~そんなお疲れなところを」
そよ乃「いいんすよ。なんかしてた方が楽しいし」
実里「あらそう?でももうお昼時ね、そろそろ休憩しましょう。おとーさーん!」
和人チーム。
和人「はぁ、できた!!!」
平林「うむ、なかなかだ」
和人「うっす……」
実里「おとーさーん!」
平林「ん?あぁ、もうそんな時間か。小僧行くぞ」
和人「え、行くってどこに……」
平林「飯だ!食わんともたん!来い!」
平林歩いていく。
和人「マジで元気だな……」
縁側にて。
そよ乃「おー、おっそいぞ」
和人「お疲れの一言ぐらいかけてくれたっていいんですよ?先輩」
そよ乃「はいはい、いいから食べろ食べろ」
和人「はいはい。ってうまそぉ……」
実里「ふふふ、でも寄席合わせ。おにぎりとお漬物、昨日つくった煮浸し、今お味噌汁つくってるから、何か食べて待っててね」
和人「はい!うわぁ……おにぎりがカラフルだ……!」
そよ乃「わかる、ここの飯、色でそそられるよな」
和人「俺、これにします!いただきまーす!!!……うまぁ!!!?」
そよ乃「わかる、食ったことないうまさあるよな」
和人「すげぇ、なんでこんなうまいおにぎりなんだ?」
そよ乃「まごころじゃない?」
和人「それで片づけていいんですか?パティシエ目指してる人間が」
そよ乃「あーもー食べてる時にちょこざいなぁ、うまいものはうまい!それでいいだろ!」
和人「それはそうですけど!」
香花「あらあら、また元気がいいこと」
そよ乃「!ねぇさん!」
香花「お疲れ様。ありがとうね」
和人「いえ!今めっちゃおいしいごはんで……って、あれ?」
大地「やぁ和人くん、久しぶり。そよ乃ちゃんも」
和人「え、どうしてここn」
そよ乃「大地さん!……あっそうか、もうセカンドフラッシュの季節か」
大地「流石そよ乃ちゃん。香花さんのお弟子さんだ」
香花「お弟子って、ただのアルバイトの子よ、そよ乃ちゃんは」
そよ乃「いいっす!うちねぇさんのことバリ尊敬してるんで!」
大地「ははは、相変わらずでいいねそよ乃ちゃんは」
そよ乃「いえいえ~」
そこに実里がやってくる。
実里「はぁいお待たせ~、って大地!」
大地「ただいま母さん」
和人「え、母さん?」
そよ乃「なんだ和人知らなかったの?大地さん、あのじっちゃんの孫だよ孫」
和人「えっ!?でも苗字、確か大地さんって全然違う気が」
そよ乃「そりゃ娘の子どもだから、苗字違うべ」
和人「あっなるほど!」
実里「来るなら連絡しなさいよ!も~、って香花ちゃんも!」
香花「すみません、午前中お伺いできず」
実里「いいのいいの!さっ!上がって!お昼食べた!?食べてないなら食べちゃいなさい!」
香花「お言葉に甘えて、いただきます」
大地「母さん俺も手伝」
実里「いいわよ!味噌汁もってくるだけだから!座って食べてて!全くも~」
実里再び台所へ向かう。
香花「なんだかタイミング悪かったかしら」
大地「気にしないで、母さんいつもあんな感じだから」
香花「確かに、言われてみれば」
大地「さっ、いただきましょうか」
香花「はい」
和人「み、見えねぇ……」
そよ乃「わかる。漬け物うま」
和人「え、俺も……ってない!?お前!!」
そよ乃「気を緩めるのがいけないんです~」
和人「食いしん坊……!」
香花「ふふふ、どう?和人くん」
和人「は、え?はい?」
香花「平林さん、中々面白い人だったでしょ?」
和人「あ、まぁ、えぇと」
大地「無理に取り繕わなくていいよ、昔からあぁなんだ、祖父は」
和人「そうなんですね」
そよ乃「でもそれから、こんな紳士みたいな遺伝子が流れつくとは思わないよな」
和人「本人の前でストレートにまた……」
そよ乃「おぅ、紅茶屋の主人だからな」
和人「そういうことじゃ」
大地「うまいねそよ乃ちゃん」
和人「そこ褒める!?」
そよ乃「あざっす!」
香花「ふふ、でも、平林さんって、大昔はおしとやかってお聞きしましたよ?」
そよ乃「え、そうなの!?」
和人「何があれば、あぁなるんだ!?」
大地「ははは。まぁ、そうですね、私も母からの話ですが。本当に祖父が若いころの話ですよ。それこそ、今の和人君より若いときだって聞きます。だから、70年以上も前になるかな?」
和人「へぇ……って、待ってください」
大地「ん?なんだい?」
和人「平林さんって、今、おいくつですか?」
大地「え?あー、えぇと、今、確か」
平林「87だ」
平林が登場。
大地「あ、じいちゃん」
平林「大地、来るなら来ると言え」
大地「それさっきも母さんに言われたよ」
香花「平林さん、ご無沙汰しております」
平林「花屋の嬢ちゃんか、今年の夏はまた厳しい。しっかりしなさい」
香花「はい、ありがとうございます」
平林「実里は?」
香花「今お台所の方にいます。もうすぐ来るかと」
平林「うん、小童ども、食うたか?」
そよ乃「おいしくいただきました!ごちそうさんです!」
和人「俺も!ありがとうございます」
平林「うむ、お前たちも、さっさと食って手伝え。ここからが本番だ」
大地「言われなくてもわかってるよ」
すると実里が戻ってくる。
実里「はーいお待たせ!大地と香花さんの分ね!で、これが……、って、お父さんも来てたの!?」
平林「今さっきじゃ。儂は握り飯と漬け物だけでいい。」
実里「はいはい、知ってますよ!全くみんなして自由なんだから」
香花「ふふふ、それが良いんだと思いますよ」
実里「どうだかねぇ。さっ、私も食べて、午後頑張りましょうかしら!」
大地「無理しないでよ母さん」
実里「なによ!だったら午前中から来なさい!」
大地「善処します」
そよ乃「ははは!大地さん普段はかっこいいけど、ここじゃ子どもだなぁ」
実里「そりゃそうよ!母にとって息子はいつまでも子どもよ」
大地「そんなぁ」
平林「儂にとったら、実里も子どもだ」
実里「まぁ!私がいないとインターネットの注文できないんですからね!」
平林「へいへい」
香花「まぁ、ふふふ」
和人「ははは」
そよ乃「ははは」
夕方。苗がきれいに並んで畑に植え付けられている。
そよ乃「よし!完了!」
大地「こっちも支柱取り付け終わったよ」
実里「はぁ~やっと立ち上がれる!」
香花「和人くーん!そっちどうー?」
和人「はい!これで……どうですか?」
平林「うむ。上出来だ」
和人「……!!終わりましたー!!!」
そよ乃「よーし!植え付け終わりーーー!!!」
香花「はぁ、やったぁ……」
大地「お疲れさまでした」
実里「流石に腰が痛いわねぇ~……」
和人「はぁ……」
平林「どうだ、」
和人「え?」
平林「はじめての植え付けは」
和人「あ……えっと、」
平林「シャキッと!!」
和人「はい!とてもためになりました!」
平林「うむ」
和人「……あと、」
平林「ん?」
和人「こんなに植物を育てるのって大変なんだって思ったのと、なんか楽しかったです」
平林「……そうか」
和人「はい!」
平林「また、ちょくちょく面倒見にこい」
和人「はい!来ます!」
香花「かずとくーん!!」
平林「ほら、お前の主人が呼んでる。いけ」
和人「はい!あ、ありがとうございました!!!」
和人、香花の方へ行く。
平林「ふんっ」
大地「嬉しそうだね、じいちゃん」
平林「どこがだ」
大地「わかるよ。俺生まれたときからじいちゃんの孫やってるんだから」
平林「なんだぁ、わかったような口を効くようになって」
大地「ははは、でもそうでしょ。じいちゃんは。この景色が好きだから。畑をやってる」
平林「……さっさとお前のできた紅茶飲むぞ」
大地「あれ?気づいてたの?」
平林「儂をなんだと思ってる。お前が生まれた時からお前のジジイやってるんだ」
大地「……ありがとう、じいちゃん」
夕日が輝く。
帰り道を歩く香花、そよ乃、和人。袋いっぱいに野菜やら、漬物が入ってる。
和人「すごいもらっちゃいましたね」
香花「そうそう、お手伝いすると、こんなにもらえるのが、平林さんの粋なところよね」
そよ乃「でもこれで今日はご飯でしょ?」
香花「そうねぇ~こんなにたくさん、何作ろうかしら」
そよ乃「はいはい!ラタトゥイユ!私あっちで本場の食べてきたんで、一緒に作りますよ!」
香花「あら、いいわねぇ、お願いしようかしら」
そよ乃「任せてください!!」
和人「えぇ、結局そよ乃のごはんじゃん」
そよ乃「他にも作るんだからいいだろ!」
和人「そういうことじゃない!」
そよ乃「なにさ~次期パティシエの料理なんてなかなか食えないんだからな!」
和人「そういうこというから尊敬できないんだよ!」
そよ乃「んだと~~~!!」
和人「あとそういう短気なところも」
そよ乃「か~ず~~と~~~!!!」
香花「ふふふ、また賑やかになるわねぇ」
和人「嫌ですよ!こんなに賑やかなの!」
そよ乃「私だって!……あ、そうだ!」
香花「ん?どうしたの?そよ乃ちゃん」
そよ乃「私、もうすぐ大会あるんだった!」
和人「は?大会?」
そよ乃「うん!日本菓子全国大会!出場します!!!」
沈黙。
香花・和人「ええええええええ!?」
そよ乃「えっへん」
#4完。
続く。