ネットミームについて考える


はじめに

「思想が強い」と、この人生の中で度々言われたことがある。自分としてはまったくそのつもりはないのだが、周りから見ればどうやら、偏った思想を頑なに譲らない人間だと思われているらしかった。
そもそも思想が強いとはなんぞやと思い友人に尋ねてみたところ、「(7molは)苦手なものに対しての考え方が過激なんだよ」との言葉が返ってきた。苦手なものは誰にだってあるだろうし、そこまで矢鱈と口に出している自覚はない。これを聞いたときは正直なところ不服だった。だが、私は一体苦手な物のどこが苦手なのか、ということを一度しっかり考えてみるべきではないかと思ったのだ。ここでは、私が考えたことを概ねそのまま推敲もせず載せていく。過激な思想(友人談)が苦手な方は、これより下を閲覧しないことを強く推奨する。

ネットミームについて

私敬遠しているものを考えるにあたり、まず何よりも外せないのは「ネットミーム」だろう。常日頃からネットミームを嫌っていることは包み隠してもいないし、大学に入ってからは訳もなく避けている。……というか、正直広い目で見れば好きな人もそういないだろうと思うのだが、Twitterにどっぷりと浸かっている人間として「ネットミームが嫌い」なんてのはやはり疎外感は感じる。ここからは具体的なネットミームを挙げていきながら、どうして苦手なのかを真剣に考えていこうと思う。




テイキョウ・ヘイセイ・ダイガクについて


苦手なネットミームは何かと聞かれればまず即答できてしまうのがこのネットミーム、「テイキョウ・ヘイセイ・ダイガク」である。嫌いなものとして大袈裟に取り上げるには実にしょうもないが、原曲の知名度をも超えてしまった悲しきモンスターを好いてはいられないのも事実である。受験期、毎日ファミリーマートで帝京平成大学の宣伝を聞いていた身としては、正直何が面白いのか分からないまま流行り、分からないまま廃れて行った。ネットミームなんて大体そんなものなのかもしれないが。

先に擁護しておくと、「テイキョウ・ヘイセイ・ダイガク」は音MADとしては非常に完成度が高い。帝京平成大学とトウキョウ・シャンディ・ランデヴの音ハメの良さも然ることながら、サビで放たれる大谷育江の耳に残る声、宣伝の豪華声優陣を逆手に取ってワンピースと絡めた映像、すべてが流行る要素を持っている。これを実行したピムラタクヤ氏の発想力・行動力は並々ならないものであり、実際彼は『躍物語』『ライアー商事』などクオリティの高いMAD動画を数多く手掛けている。彼の作品を嫌いだと断言してしまうほど、私は音MAD界隈から足を洗えてはいない。

では何故このミームを忌み嫌ってしまうのかと言われれば、まあ簡単な話「本家への流出」である。元々長い間原曲を聴き好んでおり、後になってこの音MADを知った私としては、最早誰も『トウキョウ・シャンディ・ランデヴ』の話など一切していないのが悲しくて堪らないのだ。作詞作曲ツミキ、歌唱花譜、企画MAISONdes、うる星やつらのEDという可笑しな要素のひとつもない素敵な楽曲のはずなのに、この曲は音MADのせいでどこか低俗な扱いを受けている。皆様方は原曲YouTubeのコメント欄を覗きに行ったことがあるだろうか? 上位コメントの過半数がテイキョウ(略)の話をしており、見るに堪えない地獄絵図が展開されている。少し前の話で言うと、同じような現象に『コネクト』などがあるだろう。私はコネクトが最悪のミームで流行ってしまったことをサークル内の話で聞き齧って知ったのだが、それくらいの時期にいくつかの問題集で『コネクト』が出題されていたのはもしかするとその影響だろうか。腸が煮えくり返るような思いである。

加えて言えば、このMADはワンピースに対して若干失礼な部分も垣間見える。帝京平成大学の宣伝が「完全にワンピースとコラボしたもの」だったならばここまで私も嫌悪感を抱かなかった筈だが、作品とまるで関係のないところから声だけでキャラクターを取り出しておもちゃにされるというのは、声優を好いている身としても、昔それなりにワンピースを見ていた身としてもなかなか複雑な気分である。個人的にはゾロがあのような目に遭ってしまったのがかなり悲しいので、せめて彼だけでも救ってくれればこれほど憎む羽目にはならなかっただろう。ところで、ワンピースのファン側の人間は、あのミームをどう思っているのだろう? 気になるところだ。


チー牛について


笑い事にできないほど苦手なので言及するか迷ったが、私の苦手なネットミームを語るにあたり外すわけにはいかないだろう。ミームというかスラングというか、流行り廃り関係なくもはや一般語彙とまで化してしまった最悪のワード「チー牛」である。基本的に私の中にあるネットミーム好き/嫌いの判断基準として、「人を傷つけるものであるかどうか」がまず挙げられる。そして、このチー牛という言葉は間違いなく他人を傷つけるために生まれてきたものと考えて差し支えないだろう。

「すみません、三色チーズ牛丼の特盛に温玉付きをお願いします。」そう言っている男性のイラストを見たことがあるだろうか、そう、それが俗にチー牛と言われている人間像らしい。まずもうこの画像が最悪である。雑に描かれた毛先と妙にテカリのある髪の毛の塗り方、若干薄茶色の混じる色でなされた最悪の影の書き込み方、ラノベのイラストでもやりすぎなまでの唇への光の描き込み。ひとつのイラストとして、人に不快感を与える要素MAXである。(というか、この画像製作者であるところのいびりょ氏は普通に写実的で技量溢れる絵を描いている人なのだから、狙ったとしたら素晴らしいセンスであるとすら言える。)今までに、Twitterで議論を交わす人間たちの間に割り込み、この画像を貼り逃げしていく輩を多く目撃してきた。何が楽しいの? 大阪に越してきてやっと近くの牛丼屋さんに恵まれ、牛丼を頻繁に食べる機会を手に入れたというのに、このあまりにも低俗なミームのせいで一度もチーズ牛丼を頼めたことがない。素朴な疑問なのだけれど、チーズ牛丼の何が悪いのだろうか? 特盛にして何が悪いのだろうか、食べ盛りでいいじゃないか、少なくとも量を増やすことに対して惜しみなく金を使えるほどの器量の持ち主である。褒めて遣わすべき長所とまで言えるんじゃないだろうか。このチー牛という言葉を使ったところで誰も幸せにならない。例え自虐であろうと使うべきではないと私は思っている。上記のテイキョウ(略)とはそもそも比べ物にならないというか、ネットミームの土俵にすらあげたくないものだとすら思う。憎むべくして憎むものである。


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なんですか、これは?(困惑) 本当に何も知らないままTwitterでこの構文が流行っていくのを見送り、何故か騒がれているビッグモーターの件と同一であったと気がついたのは本当にここ最近の話である。このネットミームをちゃんと知れたのは、実は「もやしさらだ」というボカロP(私はボカロPだとは思っていないし、彼は初音ミクを使用しておもちゃを制作している人間です)の『教育(略)』という楽曲がYouTubeのお勧めに上がってきたからである。妙に流行っている己の知らないVOCALOID楽曲があると思った当時の7molは、一体どういった下敷きがあるのか調べてしまったのである。愚か。
苦手な理由としては、これも何が面白いのか分からない、というのが一番だ。名の知れた会社の前副社長がこの文字列を投稿したというインパクトの大きさは認めるが、それに便乗した何の関係もない人間たちの投稿にはもう食傷気味というか、何の関連性もない2つの二字熟語を数多く並べるだけで楽しそうに笑っていられる人々の気が知れないというか、結局このネットミームは何だったの? という気持ち。これに限った話ではないが、時折流行る○○構文とやらの面白さをあまり理解できた試しがなく、良かったらネットミームが好きな人達にこの面白さを教えてほしいなというのが正直な感想です。(最近ではヒステリー構文? みたいなのが世に蔓延っているらしい  まだTwitter等でお目にかかれたことはないが)
あまりに見飽きた構文だったのでこき下ろしてやろうと思っていたものの、残念ながらビッグモーターについて何も知らず、この構文の由来についてもミリしらであり、中途半端な意見表明になってしまった。とりあえずのところ、以上が苦手な理由である。



さいごに

最後に一応補足として述べておくと、私はすべてのネットミームが苦手というわけではない。ただ10年間もSNSに触れている癖にこれまでの人生でネットミームに触れる機会がなく、そしてネットミームがここまで人口に膾炙している世界線に降り立ったこともなく、かなり戸惑っているというのが本心だ。幼き頃に淫夢ネタ(これも本当に詳しくない)が密かに流行っていたのも知ってはいたが、ああいうのはひっそりと楽しくやるのが正解だと思っている。音MADも同様である。私は高校のときから世界史音MADを聴き好んでいるし、色々なMADを漁ったりもしているが、少なくとも本家の目に触れるようでは二次創作の失敗だと言えないだろうか。
ノコノコがダンスするミームは可愛らしいと思うし、オーズのOPが何故か流行っていたのも別に良いと思うし、世の中の批判に反してなぁぜなぁぜのネタも嫌いじゃない。あとは使い手のリテラシーの問題だろう。みんな、節度を守ってネットミームを使っていこう!








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