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2020年に読んだ商業BLあれこれ

2020年、なにもかもめちゃくちゃになってマジでクソだった。そんなクソな年に私を救ってくれた素晴らしい商業BLたちをメモしておきたい。

※本記事内では性描写を含む作品について言及しています。未成年者は読まないでください。


はじめに

自分の消費と向きあうため、2016年にブログを作ったのにまだ記事が3つしかない。私はそういうタイプのひつじです。商業BLを愛し、普段は夢小説を書いている。
暴力とポルノが好きなのでわりと過激な作品を好んで読んでいるが、そういう作品は作るのにも消費するのにも責任が伴うものだと思っている。BLが好きだからこそ、ちゃんと学んで考えて、倫理観をアップデートしていきたい。そう思いながら消費をしている。

そんな感じで今年もたくさんBLを読み、救われました!そのなかでも印象に残った作品をいくつか紹介していきたい。大量に読んでは読み返しを繰り返してわからなくなってきたので、今年発売ではないものも混ざるかも。順不同。

 

歌舞伎町バッドトリップ / 汀えいじ

一時期Twitterでずっと歌舞伎町バッドトリップの話をしていたし、ことあるごとにフォロワーに勧めまくったぐらい本当に本当によかった。
物心ついたときから自分がサディストだと気づいているモデルの泉輝(みずき・攻)と、目をあわせると相手の心が読める泉輝オタクのホスト徹(とおる・受)の話。こんなに丁寧にSMを描いた作品初めて読んだかもと思うほど、二人の関係性が丁寧に描かれている。愛と信頼、支配と被支配。SMがテーマだけど、マジで二人の信頼と関係性の構築がメインに描かれているので痛いのが苦手な人でも大丈夫だと思う。スパンキングとか緊縛放置、乳首ピアスがあるけど全部合意だしセーフセックス。
順不同って言ったけど、私の羊生のBLトップ10に入ったマジで大好きな作品。

 

practiced liar / 目玉焼き

歌舞伎町バッドトリップと同時期に出たのは、「心が読めるBL」特集だったらしい。
心が読めるせいで過去に人間関係に失敗して以来、「上手い」人付き合いを続けてきた三浦さんが、無口だけど脳内でずっと好き好き言ってる後輩の阿部くんと出会い、心から「一緒にいたい」と思えるようになるまでの話。

 

女装おにいさんがノンケをとろとろになるまで開発したら / ゆかたろ

ありがとう世界。ありがとうゆかたろさん。お歳暮送りたい。もうタイトルからして約束されし勝利のスケベやんか。
電車で痴漢されたことがキッカケで自分がゲイであると気づき、それがトラウマになっている景(受)と、女装ピンサロで働いている女装コスプレイヤーのナナ(攻)の話。
脱衣もあるし二人とも女装した状態でのコスプレエッチもある。「女装は俺が一番好きな服」「女装は晴れ着」と言いきるナナさん、最高。デート中に景くんの友達に出会ってナナさんが女装していることがバレたときに一人「かっこいい」って言ってる子がいるのもよかった。あとはもうとにかくエッチですごい。

 

そんなに言うなら抱いてやる / にやま

 にやまさんの漫画、全部好き。前に感想を書いた「ご利用は計画的に」もそうだけど、その主人公の兄がメインの「ごほうびは躾のあと」も「僕のおまわりさん」も「無邪気なわんこと猫かぶり」も全部最高。出てくるキャラクターたちの心情が細やかに描かれているうえにエッチなシーンがエッチ!筋肉がある身体の描きかたが好き。

素顔を出すとモテすぎるから普段はもっさり冴えない男を演じる忍(攻)と、同じ会社の王子ヒカル(受)の話。自分の領域に入ってきた相手を体よく追い払うため「抱いてやった」らズルズル拗れていく。お互いに外面の仮面が崩れてどうしようもなくなっていくタイプの話が好きならオススメ。ただ題材がクラシック(いわゆるスーパー攻め様と素直になれないが快楽には逆らえない受け)なので、うーんと思う部分もある。綺麗な濡れ場がいっぱいあるのはよかったけど、作品としては「僕のおまわりさん」のほうがオススメかな。

 

それでは先生、お願いします。 / 日乃チハヤ

ポルノグラファー」や「19歳のポルノエンデバー」など、素晴らしい作品が溢れるBL人気ジャンル「(官能)小説家と編集者」の新星。
編集者と関係を持つ(合意)ことで作品を生み出すこじらせた官能小説家の赤瀬川/美作(攻)と、そんな彼の担当になった純朴な新人編集者丸富(受)の話。「先生のお手伝いになるのなら」とエッチなお手伝いをすることを了承する丸富くんが、本当に不器用でまっすぐで。(先生が自作品に嫉妬するほど)とにかく赤瀬川先生の作品が好きという丸富くんが、赤瀬川先生の心をほどいていく過程がいい。

 

愛されただけ愛したい! / 鰤尾みちる

 
まさに「朗報!リバ!」が相応しい作品。愛を浴びてしまった……。一生幸せでいてほしい二人2020だよ。「大好きだから相手にもこの気持ちよさを体験してほしい!」最高のリバ、最高の愛。

 

不屈のゾノ / しっけ

 かわいいよ~~~!!!貧乏ゆえに毎日購買の割引パンを手に入れることに命を懸けている出戸(でと)が、ゾノというピンク髪の不良(の友達のギャル)とパンを取りあったことをキッカケに関わりを持つようになる話。ゾノが自分の趣味で可愛いもの身につけてるところとか、出戸が喧嘩する仲でも嫌がることをしてしまったから家まで謝りに行くところとか、二人とも本当に可愛い。じゃれあいのような喧嘩からお互いに触れあい、興奮してしまうみたいなのが好きな人にオススメ。ゾノの「頭突かんかったらよかった」が可愛すぎた。友達との関係性もいい。お互いに誠実に向き合って、大切にして、慈しみあう関係。卒業後の二人も可愛いよ。

 

鬼と蛇 / ゆいつ

 作者買いしてる作家さんの一人。以前「構いたくなる背中」の感想を書いてるんだけど、どの作品も読みごたえがあってオススメ。

ストーリーもいいし、とにかくゆいつさんの描かれる肉体が美しい。運の悪い悪い男(悪人ではない)meets訳アリの男みたいな感じ。裏社会ホモソーシャルの執着が浴びれる。ゆいつさんはいつも暴力を暴力として描かれているのでありがたい。

 

君ありて幸福 / 山田袋

 これジャンル的には何になるんだろう?ホラーBL? 同じ作者さんが描かれている「とろける恋人」のほうもそうなんだけど、ほの暗くて少し狂気が滲んで、でも希望もあるみたいな。独特の世界観が癖になるタイプ。

 

果ての荒野でバカンスを【電子限定かきおろし付】 (ビーボーイコミックスDX)

読み切り集。表題のSFBLも一番最初の人外ものもすごくよかったけど、「美少年すぎることで苦労してきて容姿に言及されると吐いてしまう子」が人間に興味がない同級生と知り合う話が個人的に好きだった。

 

業務上過失porno / 長与エリ子

あなたは身体から始まる関係が好き?私は好き!真面目でしっかりしていて強かな吉井くんがエッチなの最高だな……。攻めの土倉さんが「仕事のできる好みのイケメン」なのにその実不器用で拗らせまくってるのもいい。フェラでサイズを測る描写でハッピーになりました。端々にしっかりした倫理観を感じて読みやすかった。

 

明日、起きたら君は / 早寝電灯 

 
睡眠姦していい?

この帯のコピーの強烈さとは対照的に、ストーリーは繊細でとても丁寧だ。二人の関係、生活、どうして「睡眠姦」という言葉が出てきたのか。読み進めていくと、それがゆっくり明らかになっていく。この作品を読んで他の作品も読んでみたくなり、「See you later, Mermaid」「化け猫かたって候」なども買ったけどよかったよ。

 

カーテンコールにはまだ早い / おまる

 オメガバース 。それは暴力とポルノを生み出す地獄のような構造。オメガバースというグロい設定の話をするとき、私はいつも「めぐみとつぐみ」と「それでも好きです笠原さん」、「リバース」、「君は純愛にふさわしい」が好きだと言う。この四作のオメガバースを扱う手付きがとても丁寧で、好きだからだ。そして「それでも好きです笠原さん」を描いたおまるさんの新しいオメガバースBLがこれ。
ポップでエッチな表紙にかけられた帯には「初恋が忘れられないアルバイト定員攻め×電子の海で全てを晒す色気ムンムンな受け」と書かれているが、実際読んでみると結構重い社会と搾取の話だった。

 

COME TO HAND / 世

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優しい話。雪の日にタトゥーショップの前で倒れていたところを助けられた高校教師の美晴と、その店のオーナーの嵐の話。二人がゆっくり歩み寄っていく過程が可愛くてむずがゆい。嵐の「秘密」が明らかになったときの二人のやりとりが最高。優しい気持ちになりたいときにオススメ。

 

恋をするつもりはなかった / 鈴丸みんた

いつか映画の主人公のように抱かれてみたい

そう思いながら三十歳の誕生日を迎えたよしのが、誕生日の夜意を決して訪れたゲイバーでロウという名の銀髪の青年と出会う話。真面目すぎるほど真面目なよしのがプレイボーイなロウに翻弄されているように見せかけて、実際にはロウがいつもの調子ではいられなくなる。両片思いというか、ロウの「悪癖」によってすれ違い拗れるのでそういうのが好きなら是非。鈴丸みんたさんは「キューピッドに落雷」もオススメ。

 

 一人と1人の3650日 / hitomi

 むかし自分をひどい言葉とともに振った親友と再会したら、そのときのことを後悔し続けていた相手が赦されたような気持ちになるために質の悪い男に抱かれるようになっていた話。暗くて、つらくて、しんどい。暴行・レイプの表現が含まれます。


勝巳くん 僕は二度目を勝手にはじめた
やり直したんじゃないよ またいちからだ

表題作はわりと短めなのでテンポよく話が進んでいくが、そのぶん一ページごとが重くて心臓がギュッと締めつけられる。読むのに体力が必要だけれど、読んでよかった。

 

純愛ドロップアウト / 三坂ニウム


三坂ニウムさんの描かれるムチムチの身体、凄すぎる。凄すぎて「ウサギちゃんどシコり申し上げます」のほうはAmazonからなくなってしまった。DLSiteとかでは買えるはずなので是非。タイトルとあまりにエッチな表紙に一瞬怯むけどめちゃくちゃ面白いよ。

 

ラブミー・マイドッグ / 那梧なゆた

 あっ、今気づいたけどこれも編集担当×作家だ。先生の作品も先生のことも大好きな編集者の愛一郎と、特定の相手は作らずゆるく遊ぶ主義の作家秋彦。男を連れ込んだ翌日、事後の様子を見て「秋彦さんのことが好き」と泣きはじめた愛一郎を宥めるために「じゃあ俺とセックスしてみよっか」とセックスしたら、そこから愛一郎の猛攻が始まる話。大型犬のように全身で愛を表現し、一途に向かってくる年下にたじたじになる年上。那梧なゆたさんは「お試しデリバリーラヴァー」とかもよかった。

 

スケベの青春 / 畠たかし

青春ええなあ!自他ともに認めるスケベである三田村が、「絶対に人前で脱がない」友人早見の身体が気になるあまりに写真を使ってアイコラを作成してしまったうえ、その写真でヌいてしまったことからはじまる。(ちゃんと謝罪します)この説明のどこが青春ええなあ!やねんって感じやけど、読むと青春ええなあ!ってなるから。お茶山くんもいい味出してる。

 

不死身の命日 / 虫歯

こんなに信頼できる表紙(スーパー攻め様(になりたい)受け!!!!!!!!!!!!)、今まで見たことがない。とにかく読んでほしい。金持ちのスーパー攻め様構文が「おもしれえ奴……」だとしたら、これはおもしれえ奴 vs.おもしれえ奴の妖怪大戦争みたいな感じだから……。虫歯さんの作品は「天国 in the HELL」も好き。

 

おわりに

まだまだあるけど流石に全部はまとめきれない……!今年は下半期に鬼のようにBLDを書いていたので、その勉強のために小説もいっぱい読んだんだけど書ききれなかった。

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 一穂ミチ作品を中心にこのあたりをいろいろと。
来年も創作物と真摯に向き合いたいし、たくさん物語を読みたいなと思っています。あと少しずつ感想を書く練習をしようね。

 



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