貴女
朝起きて酷いくらいにやる気が起きなかったのは貴女のせいだってすぐに気づいたの
あたしが貴女と出会ったのは、まだ青春なんて言葉しらないあたしたちの青春時代
体力なんて底をつかないくらい公園で駆け回って、ボール遊びをして⋯。
義務教育、7年目になって環境が変わっても貴女との仲は変わらなかったね。朝まいにちのように会って、自転車を漕いだね。追い風にも負けないくらいひたすらに漕いで、それはまるであたしたちのあたしたちへの熱量みたいだった。
同じクラスだったあたしたちは、あの頃より少し大人になったあたしたちは、より仲を深めていったと思う。そうして、義務教育8年目⋯9年目⋯って青春の1ページである貴重な時間を過ごせたね。勿論、その1ページには綺麗じゃない思い出もあったと思う。貴女とあたしはちがうスポーツクラブだったからそこでの大きな壁も感じていたし、あたしはこういう性格だから何度も貴女に囚われて自分の選択を悔やんだりしたよ。
それでも貴女があたしの居ない居場所で、楽しそうにしているからあたしも負けじと青春を送っていたの。
貴女の才能、気質に嫉妬していた頃もあって、歳を重ねるごとに貴女のことが憎かった。それでも貴女の事嫌いにはなれかったの。
そして春⋯、あたしたちは義務教育を終えた。
懐かしきあの校舎で、あたしたちは無事、あたしたちと卒業できたの。
賑わっているグラウンドには、みんなの思い出が詰まっているようでなんだか好きだった。
そして4月、あたしたちは華のjkになったね。貴女と違う高校を選んだあたしは、気づきたくなかった貴女の凄さにまた気づいちゃったの。
あたしは今まで貴女といたから、交友関係に躓いたことなんて無かったの。貴女といたから。
でも高校に入って、貴女という存在の偉大さに気づいてあたしという存在そのものに反吐が出た。それでもあたしはめげなかったし、何とか、貴女と張り合えるくらいには友達ができたの。
そうして時が過ぎていくにつれて、貴女と会う日は減っていった。春、夏、秋、冬、どれも貴女と過ごした思い出は残っているけれど、あの頃みたいにいっしょなのが当たり前なんて言葉、探しても見つからなかったよ。
貴女の事が好きじゃなかった。貴女は自分がだいすきだからあたしの話なんかこれっぽっちも聞かないじゃない。貴女は恋愛体質だからあたしの気持ちなんかこれっぽっちも汲み取ってくれない。
貴女との思い出を途絶えさせたくなくて、勇気をだして、誘った。
⋯、高校生2年目の、今年の夏祭り、あたしと行ってくれないんだね。
あたしとの時間も、大切にしてよ。
そんな事を思っていたときに、貴女の裏垢のすとーりー見ちゃったの。あたしの事だったね。内容は、良い悪いでいったら、後者のほう。
あたしはその時、高校の友達といたからまだ救われたと思う。独りだったらどうなってたか誰も分からないけれど。
瞳が少しずつ潤っていくのがわかる。でも自分があれだけ憎んでいたアイツに何で涙を流すのかよく分からなかった。
あたしの中で、あたしなりに出した答えに納得したくなくて、あたしはそっぽ向いたの。
あたしはすごく弱いの、すごく脆くて、何も出来ない。お願いだから、そんな事言わないで。
だいすきだった貴女から、そんな事言われるなんて思わなかったの。だいすきだよ今も
そしていつまでも、貴女が憎いよ。
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