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3月8日~派遣切り①~

なないろ椿は派遣社員。

不安定な雇用状態であることは、
重々承知です。


それは、
「非常にお伝えしづらいのですが…」

という言葉から始まった。

もじもじしている派遣先社員から
発せられた言葉から、何となく察した。
なので、椿からさっさと、そして、
きちんと話をしてもらえるように
お願いしたのだ。

「クビじゃ無ければいいです。」
と椿がいうと、

「本当に申し訳ない。」
と派遣先の社員は言い放った。

「補助金が得られない事が確定したので、
社長から直雇用の人達だけで業務を回せと言われまして……」

椿は「分かりました。」
と一言だけ伝えた。

派遣先が一般社団法人だったので、
補助金が全てではないが、
大きな収入源であることは確かだ。

よくよく考えて派遣先を選んでおけば良かったと初めて思った。

なぜなら、こんな事は初めてだったからだ。

今回は、事業内容的に【傾いたりはしない】と思ってあたが、読みが甘かった椿。
 
「本当に申し訳ありません。
東京都の補助金事業の獲得に失敗しまして、このような結果になってしまいました。」

「分かりました。」
とだけ椿は答えた。

今は年度末の3月。
契約終了まで1ヶ月を切ってからの契約終了の連絡。


それだけの会社だっただけだ。
直ぐに傾く事業、経営をしている。


椿は驚いたけれど、
怒りや焦りもなかった。

なぜなら、派遣会社との契約は残っている。
この時、椿は気楽に考えていた。


だが、これから派遣元である派遣会社からの裏切りにあることを椿はまだ知らなかった。


⚠️このお話はノンフィクションです。

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