建国記念の日
今、高学年を担任していたらおそらく、このように子供に語っていたであろう内容を考えて見た。
もし、校長であれば、休みに入る前の全校朝会に、もっとわかりやすく、そして短くして。
(ここから)
皆さん、明日、2月11日はお休みですが、なんの日がご存知ですか。
「建国記念の日」と言います。みんなで言ってみよう。(サンハイ、「建国記念日!」)
では、何の日なんでしょうか。
明日はただのお休みではなく、国民の祝日と言って、日本にとって特別な日なので国の法律でお休みとなっています。(ちなみに、日本には「国民の祝日」が16ありますが、全部、言えますか)
2月11日は建国記念の日、「建国をしのび、国を愛する心を養う」日です。
簡単に言えば、国ができた当時のことを懐かしく思い、その当時からずっと今までこの国を受け継いで来てくださったご先祖様に心から感謝し、これからも自分たちが自分の国を大事にしますって考える日、なんですね。
となると、当然ですが、私たちは自分の国である日本がいつ頃、どのようにできたのか、どのように始まったのかを知らなければ当時のことを懐かしむことすらできません。
では、日本がいつ建国されたのか。また、どのように始まったのか。皆さんはご存知ですか。(わかりませんよね)残念ながら、今の大人でもそう答えられる人はいません。「ただの休みだー」なんて喜ぶだけでなく、これを機に学んでおきましょう。
まずは、他国の建国から見ていきます。
みんなもよく知っているアメリカ。アメリカは1776年に建国したので今年で245年(歳)、フランスは1789年で232年(歳)、隣の中国は1949年で72年(歳)、ロシアは1991年で30年(歳)。
ちょっとびっくりしませんか。みんなもよく知っている日本と関係のある国、意外と若いんです。
では、日本はどうでしょうか。若い順番に国を消していくと…。
なんと、最後に残ったのは日本。今年で2681年(歳)。世界で一番古い国なんです。といっても、それ以上にもっともっと昔から日本は続いていたんですけどね。
では、ここで、もう一度、現代から遡りますが、今度は違った角度から遡ります。
ここに一枚の写真があります。奈良県の橿原神宮前駅にある看板
です。
この奈良県の橿原が日本のはじまりの地なのです。
では、なぜ、この橿原が「日本のはじまり」の地なのか。それは初代神武天皇が建国の詔をあげた場所が橿原だったからです。
現在の天皇陛下は第126代の天皇です。(すごい数ですよね)126代目がいるってことは、当然、その前がいらっしゃるってことです。
では、どこまでさかのぼれるかっていうと、125、124、123…3、2となり、初代の神武天皇までさかのぼれます。
この初代神武天皇が、『日本書紀』という歴史書によると、「日本を家族のような国にしよう」と橿原の地で建国の詔をあげたとあり、だから、橿原が日本のはじまりの地なのです。
ちなみに、建国の詔の内容は次の通りです。
「私が志を立てて日向(現在の九州)を出発してから6年が過ぎた。辺境の地はまだ平定されてはいないけれども、中央の大和国は穏やかに治まっている。そこで、国民のため、いよいよ都造りに取りかかろうと思う。まず、この国を授けてくださった神々の徳にこたえ、先祖が育まれた正しい心を広めていこう。その後で、四方の国々を束ねて都を造り、一つの家族のように仲良く暮らしていける国にしようではないか。」
その日本書紀という書物の中に、紀元前660年1月1日に即位したとあり、その即位日を今の暦に直した日付が2月11日であり、そこを建国記念の日としようとなったわけです。
では、突然、初代の神武天皇があらわれたのかというと、もちろん、違います。
なんと、神武天皇の前は、神様のお話になってしまうのです。神様のお話があって、そこから神武天皇につながって現代まで…。(この神話がまた面白いんです、ってまた、今度ね)日本のように神話から未だに現代までつながっている国は日本だけなんです。(すごいよね…)
今の話を皆さんは普通にへえ~、そうなんだ~って普通に聞いてしまうかもしれませんが、実は日本の建国ってのは、世界でも珍しいケースなんです。今、現存する世界に約200ある国のうち、最も古い国、それが日本なのです。日本の次に古いイギリスでさえ、1000年近く差があります。これだけでもすごいと思うのですが、さらにすごいのは、一つの王朝が(王様って言えばわかりやすいかな)、日本では天皇陛下に当たりますが、途中で途切れることなく、代々、変わらずに続いている。もうこのことだけでも言葉がありません。
さあ、ここで、祝日の名称に注目しましょう。
「建国記念日」ではなく、「建国記念の日」、となっていますね。この「の」が入っているか入っていないかで意味が全く変わって来ます。
これも他国と比べて見ましょう。
他の国は独立記念日、解放記念日、革命記念日、統一記念日など、「の」が入っていません。それは、他の国には、どこかの国から独立するか革命などによって成立する場合が多く、「この日に建国された」と日付が歴史的事実としてはっきりしています。
ところが、日本は他国とは異なります。古代からずっとずっとずーっと続いて来たため、始まりがはっきりわかりません。どこまで遡っても日本なんです。
だから、『日本書紀』という歴史書を根拠に、初代神武天皇が橿原の地で天皇に即位したところを始まりにしようとし、この日を建国記念の日としたのです。「の」が入っているのは、他国のように日付ははっきりとわからない、でも、建国したという事実はある、ということで、「の」が入っています。
ところで、この祝日、元々は祝祭日といい、建国記念の日は紀元節という名称でした。明治5年に決まり、「紀元節」という祝祭日として祝って来ました。
もともとは、日本の初代である神武天皇が即位された紀元前660年2月11日を「紀元節」として、明治5年から昭和23年まで祝祭日だったのですが、戦後、アメリカが天皇陛下と国民のつながりを恐れ、祝祭日を廃止しました。
しかし、日本人も黙っていません。なんと、国民の8割以上は、この紀元節を復活させたいと考えていたようです。その動きが高まり、建国を記念するための祝日を設けることとなり、「紀元節」から「建国記念の日」と名前を変え、昭和41年に国民の祝日として認められ、翌年の昭和42年から今に続いています。
さあ、時を戻そう(ここだけペコパ風に)。
日本の建国を記念する2月11日、日本の国民はお祝いしているでしょうか。
他国では、この建国を記念する日を盛大に祝っています。
例えばアメリカでは、イギリスによって統治されていた時代から1776年に独立宣言を行った日を「独立記念日」とし、毎年7月4日に花火が打ち上げられるなど特に盛大に祝福を行っています。
日本ではどうか。
国民の祝日という法律には、こう書いてあります。
「国民こぞって」と。
国民全員でお祝いしましょうという意味です。
2月11日の「建国記念の日」には、日本各地でこの記念日を祝う行事が開かれています。その中でも大きなイベントのひとつが、建国記念の日奉祝パレード。東京の神宮外苑銀杏並木通りから原宿や表参道をめぐり、明治神宮の前まで盛大なパレードが繰り広げられます。首都圏の大学吹奏楽団による演奏や、ブラスバンド、チアリーディング、御輿などが登場し、華やかに建国記念の日を祝います。
しかし、残念ながらそれも一部です。政府主催のお祝いもありません。国民もただのお休みにしか思っていない人がほとんどです。
ある7年前の調査によると、日本が建国された日を知っている日本人は2割未満しかいないという結果が出たそうです。
それに対して、日本在住の中国人は100%、米国人は90%以上が自国の建国・独立の日を正しく答えられたとのこと。
これでいいのでしょうか。
日本という国は、世界トップクラスの「先進国・経済大国」であり、天皇を中心とした世界最古の生きた歴史と伝統を同時に持ち合わすことから、諸外国の歴史家の間でも「奇跡のような国」と言われています。それを知らないのは日本人だけです。
世界の国々は、時の権力者が度重なる権力闘争によって、国家の崩壊と建国を繰り返してきましたから、大陸として古くから存在していても、日本のように国家転覆することもなく、現代まで天皇を中心にした国家という、ズーッと続く国というのは他にありません。
そのことだけを考えても、そのような国に生まれてきたことに、感謝の念が自然と湧いてきます。
なにも特別なことをしなくてもいいと思うのです。
自分の国のことくらい、しっかりと知っておき、いざという時には、海外の人に説明できるくらいにはなっておいて欲しいなあと。
各地でやっている特別な行事に参加しなくても、日本の歴史にまつわる本を読んで見たり、親子で日本の歴史に関する博物館に出かけてみたりするのもお祝いの一つだと思います。
ある神社では日本がお米の国であることから、特製おむすびを配布してお祝いしているところもあります。
自分の誕生日だって、家族の誕生日だって祝うのに、その私たちが生かされている自国の建国を祝わないって、おかしくないですか。
別に、大きな声で「ハッピーバースデー!」って言えって話ではないんです。
ただ、その意味を知り、「日本に生まれてよかったなあ」とか「日本の国って他国と違う成り立ちがあるんだなあ」など、1年に1回でもいいから思いをはせてほしい、そんなふうに思います。
明日、2月11日は、自分なりのお祝いの仕方で過ごしてみませんか。
それが、これまで日本を繋いできてくださったご先祖様への感謝にもなるし、これからの日本にも繋がっていくのではないかと思うのです。
これからの日本がこの先も日本であり続けられるかどうかは、私たち一人ひとりにかかっています。
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