テスト返却で誤答に○がされていたとき
レモン画翠に行ったことがある人はおそらく少数派なのではないだろうか。建築学生御用達の画材や模型材料を扱う専門店で、ここか世界堂で大抵のものは揃う。時は卒業制作シーズン。久々に訪れたレモン画翠は美大生や建築学生で盛況していた。
1階は文具類、2階から模型道具を扱い、それぞれレジが別になっている。目当ての2㎜スチレンペーパーは2枚で1000円か、相変わらず高いなぁ。明らかに店員の人手が足りない中、大量の段ボールを郵送したいと言いだす学生に、おじさん店員は明らかにイライラしている。レジ打ちがバイトくんに代わった。
「500円になります」
ポイントカードも淡々と処理し、お兄さんは袋詰めをする。あれ、500円だっけ……?
とりあえず混んでいたので店を出た。絶対に1枚分打ち忘れたな。さあどうする。たかが500円だ。こういうことは気付きたくないんだ。こっちに委ねないでくれ。中学生の時のテスト返却で誤答に○がされていたとき、黙っていることのむず痒さに耐えられず、わざわざ先生に言ってしまう私だ。自販機のお釣りに100円が残っていたら貰うくせに、ミスした相手が分かっているとどうにも気持ち悪い。正義感ではない、ということにしたい。
2階に戻るとさっきより列が伸びていて、おじさん店員はさっきよりイライラしていた。仕方ない、1階に降りて文具コーナーのお姉さんに事情を伝え、追加の500円を支払った。おやつカルパスを万引きした友達を、先生にチクったときと似たような感じ。私とバイトくんに幸あれ。