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来世はアカペラサークルに入る

 高校生の時にやってたから、という理由だけで大学でも野球部のマネージャーをやろうと思った。大学の野球部は硬式、準硬式、軟式があったが、とりあえず軟式の新歓に参加してそのまま入部した。硬式野球部は結構がっつり練習していて、軟式はサークル感覚だったのを思えば、2択は間違ってなかったと思う。準硬式はどこにいたんだろう。

 まだ新歓が盛大に行われていた時代に、アカペラサークルの女の先輩に勧誘されたのを覚えている。良かったらどうぞ!とハツラツにビラを渡されただけだが、私は内心とても興味があった。ハモって歌うのも好きだったし、学内のライブも見に行った気がする。今思っても入っておけば良かったと思う。

 大学1年の冬、彼氏ができた。軟式野球部が一緒だった選手で、彼はアカペラサークルでボイパをやっていた。入れば?と誘われてから所属するまで、至って自然な流れだった。大学2年の時に新入生ライブに出させてもらったり、それなりに友達も出来て、後輩も慕ってくれた。でも、長くは続かなかった。お察しの通り、彼とは別れることになった訳だが、彼の新しい彼女がアカペラサークルの子だった。

 別に私にも原因はあったし、元彼とも関係は良好だったし、仲良くしてくれる子もいたから、辞める必要はなかった。しかし、1番耐えられなかったのが「私と新しい彼女の声が似ている」ことだった。何も知らない後輩が笑顔でその事実を伝えてくれたとき、「あーきっついな」と居心地の悪さを認めた。痴情のもつれという世界一しょうもない理由でアカペラサークルを辞めた。

 というわけで不完全燃焼してしまった感情を、YouTubeのアカペラ動画を口ずさんで発散している。耳コピで楽譜を書いて無償ダウンロードできるようなサイトを趣味程度にいつか作ったら楽しそう。アカペラサークルの"サークル愛"みたいなのは嫌いだったけど、アカペラはもうちょっとちゃんとやりたかったなぁ。来世も人間だったら入部しよう。

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