「宙の猫島」 第10話 雲の家
竜が宙に消えていなくなってから、猫島は毎日よく晴れていいお天気が続いていました。
そんなある日、キキは夢を見ました。キキは夢のなかで、細い梯子を登って雲の上まで行きました。するとお月さまが雲のベッドですやすやと眠っていました。
「お月さまは不眠症だと妖精たちから聞いていたけど、すっかり治ったみたいだね」
キキは気持ちよさそうに眠るお月さまを眺めているうち、ふかふかした雲のベッドが気になりました。キキは、ふと足もとの雲を手に取りました。雲はふわふわした粘土のようでした。簡単にレンガのような形になり、積み重ねていくうちに家の壁ができました。
「これはいい」
そう思った途端、目が覚めてしまいました。
次の日、朝ごはんを食べているときに、キキはみんなに夢の話をしました。
「いいところで目が覚めてしまったんだ。せっかくふかふかの雲の家を作っていたのに」
キキは、そういいました。
「じゃあ、今晩、みんなで雲の上に行って、続きをやろう」
ルルがいいました。
「夢で雲の上に行けばいいんだね。目印はお月さまがいる雲」
ココがいいました。
猫たちは前にも夢のなかでベリーのつたをのぼって雲の上まで行ったことがありました。
「また雲の上に行くのは楽しみだね」
モモがいいました。
その晩、猫たちは早々とベッドに入りました。
キキは気がつくと、夢の中で昨日の雲の上に立っていました。そこには、昨日と同じ作りかけの雲の家がありました。
「キキ、家はどこ?」
リリがどこからか、ひょっこりあらわれていいました。肩にははしごの台をかついでいました。
「着いた、着いた」
ロロもやってきました。続いて、ミミ、モモ、ルル、ココも雲の下から出てきました。
猫たちはキキと作りかけの家を見つけると、すぐに仕事に取りかかりました。みんなで四方の壁を作ると、はしごの台を使って屋根に雲を乗せていきました。丸い窓もこしらえました。最後に扉をつけたら完成です。
三角屋根の可愛らしい小さな家ができあがったとき、猫たちは目が覚めてしまいました。
「せっかく、雲の家ができたのに、朝になってしまったね」
次の日の朝、ミミがいいました。
「夢だけど、楽しかったね」
モモもいいました。
その日、猫たちは森に散歩に出かけました。
森はしんと静まり返り、澄んだ空気に包まれていました。いつものように草ぼうぼうの獣道を歩いていると、何やら白く光るものが見えてきました。
それは、夢に見た白い雲の家でした。
(第11話につづく)
第10話 4枚めの挿絵のメイキング映像
宙の猫島は鉛筆とボールペンで下描きを描いてパソコンで色付けをします。
絵画作品はこの下描きに実際に水彩絵の具で色付けをしていきます。
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