[完全版レビュー] 市立しものせき水族館 海響館 (2023/2/17訪問)
はじめに
九州水族館巡り、3館目です。
九州ではないですが、うみたまごと海ノ中道の道中で通れそうだったので組み込んでしまいました。
基本情報
営業時間・・9:30〜17:30
入館料・・・2090円
アクセス・・バス停「海響館前」から徒歩4分
市立ということもあり、入館料は比較的安めだと思います。天気は曇りでしたが、屋外ペンギンエリアが半分閉鎖していたこともあり、晴れでないことによる損失を被ることはなかったです。
展示の内容的には、イルカとペンギンが屋外です。ですが、屋外のペンギンエリアは鳥インフルエンザの流行で半分以上が進入禁止となっていました。
屋内では前回と同様、一部では水の流れを意識しつつも、全体的にテーマごとに整理された水槽が多かったですね。
それでは早速、展示の方を見ていきましょう。
①エントランス
館内に入ると、大きく「順路」と書かれた看板があります。左へ進みましょう。
角を曲がると、青い光に包まれたエスカレーターがあります。上がって行く過程で、これから海の世界へ入っていくのだな、という気分になります。こういう非日常感を味わえるのは、水族館の良いところですよね。
正面の大きなスクリーンには、シロナガスクジラの映像が映し出されています。下関は捕鯨の歴史が長い地域で、ノルウェー式と呼ばれる技法を日本で最初に導入した近代捕鯨の発祥地でもあります。そのため海響館にはクジラとの関わりについて学べるコーナーがあり、ロゴにもクジラの尾ビレが描かれています。
②関門海峡の世界
この水槽では中央に関門海峡、右側に日本海がそれぞれ再現されています。よく見ると、アクリルガラスが切り替わっているところで水槽が仕切られています。
さらによく見ると、仕切りには魚が通れないくらいの細い隙間があり、水は行き来できるようになっています。それぞれの海域を再現しつつも「海は繋がってるんだよ」というメッセージが込められているように感じます。これはちょっと解釈しすぎですね(笑)
水族館は近海から生物採集を行うことが多いため、地元の海に関わる展示は割と定番です。解説にも気合いが入っていることが多く、読んでみると新たな発見があるかもしれません。
この左側には瀬戸内海を再現した水槽もあり、関門海峡水槽の環境を忠実に再現しています。一定時間毎に波が発生する仕組みで、塩の満ち干きが再現されています。
②瀬戸内海の海
このトンネル水槽は、どうやらイワシの大群が見られるというのがウリらしい。しかし見上げてみてもイワシはあまりいません。また後で来ればいいやーと思って先に進みます。
ちなみに、2回目の時のトンネル水槽の様子がこちら。
当然と言えば当然ですが、生き物たちは時間によって場所や動きが変わります。水槽によっては開館直後と閉館直前では全く異なった見え方になります。なので、順路は最低2周回った方が良いと個人的には思っています。
それでは、入口左手の解説を見てみましょう。
前回のレビューにて、イワシ水槽に下から光を当てていた理由を推察しましたが、ほぼ正解でした!正確には腹側が銀色になっているそう。
ある水族館で不思議に思ったことが別の水族館で解決されるというのは初めての体験でしたね(笑)
③関門海峡
瀬戸内海のトンネル水槽を抜けた後は、ゆるやかなスロープを降りていきます。ここでは関門海峡についての説明が書かれた展示があります。
このような説明は、時間があったらなるべく読んでみることをオススメします。地元の地理が学べるだけでなく、こういう環境を再現したんだな、と展示の背景を推察できるようになります。水槽内の環境再現度を高くしようとする工夫にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
それでは、無駄話はこれくらいにして次へ進みましょう。次は大水槽です。
やはり魚の密度が高いと見応えがありますね!密度の高い水族館は飼育環境が良いと勝手に思っています。都市型水族館では中々見られない光景なので、目に焼き付けておきたいですね。
この水槽は上の一部分だけをアーチ状にすることで、どの位置から見ても、ほぼ歪みなく見えるようになっています。理由は以下の通りです。
まずアーチ型水槽は平面のアクリルガラスに比べて開放感があり、まるで海の中に入っているように感じられます。しかし、屈折によって水槽内の様子が歪んで見えてしまうというデメリットもあります。
次に平面のアクリルガラスは一見歪まないように感じられますが、大水槽くらい高さのある水槽になってくると、近くで見る時には水槽の上の方が歪んで見えづらくなります。
そこで、遠くや正面から見た時は平面で見えるように、近くで見上げた時だけはアーチ型で見えるようにすることで、それぞれの良いところが組み合わさった見え方になっています。かなり理想的な水槽の形ですね。
さらにこちらの水槽は底に敷いてある砂の量も十分です。そりゃそうだろと思う方も多いかと思いますが、水族館によっては砂の量が少なくて人工的な床が見えていることもしばしばあるので、底の方を見るとつい気になってしまいます。
大水槽前の壁沿いには椅子があるため、座ってゆっくり眺めることもできます。まだ序盤で疲れていないので、次へ進みましょう。
④日本海
先程ウミガメがいた日本海の水槽です。
このように、敢えて人工物を水槽内に取り入れる展示も良いですね。
海と人間との関わりを表した展示はよく見かけますが、そこには多彩な表現方法があり、水族館によって違うので面白いポイントです。
⑤フグの仲間たち
順路を進むと、フグの展示が始まります。下関といえば、フグが有名ですよね。水族館はその地域の特徴を表した水槽があることが多いですが、ここ海響館ではフグの展示が非常に充実しています。
進んでいくと、かなり大きな水槽があります。水槽内の向こう側にはマンボウが。マンボウってフグの仲間だったんだー。サイズもかなり大きいです。
マンボウ水槽ではマンボウがアクリルガラスに衝突しないよう、内側に分厚いビニールが貼られています。これは全国の水族館で見られる展示形式ですね。
マンボウは非常に繊細な生き物で、飼育はかなり難しいと言われています。国内でも飼育しているのは現在7館?でしょうか。
かつては三重に志摩マリンランドというマンボウがウリの水族館がありましたが、訪問前に閉館してしまったので非常に残念でした。恐らく海遊館にいる個体が「特設水槽」というタイトルからも、志摩閉館に伴って連れてこられた個体だと推察されます。
ちなみに八景島シーパラダイスでは、水槽内にビニールを貼っておらず、水槽内に水流を作り出すことでマンボウが壁に強く当たらないようにしている、と書いてあったと思います。
マンボウ水槽の先にも、フグの展示は続きます。
フグだけでこんなに種類がいるんだ〜、という驚きとともに、フグの特徴について詳しくなれる、個性溢れる展示でした。
⑥川の生き物
淡水魚展示ですね。中間地点にあるのは順路的には割と珍しいんじゃないでしょうか。
さあ、お分かり頂けたでしょうか?
ここに至るまで、関門海峡とフグの展示、つまり海水の展示があったわけです。さらに、このフロアはここで一旦終了。区切れなわけです。
このタイミングで、先に中流・下流の展示があり、上流が後にある。これは海から川へと溯っている、つまり水の流れを逆に辿っている過程を表していると考えられます。筆者はこの順路形態を勝手に「遡上型」と呼んでいます。
河川展示は上流から始まることが多いですが、あくまでそれはその後の海に繋がるような水の流れを意識しているからであるということですね。こうした下流から始まるパターンも無くはないので、気付くと面白いなーと思います。
ここでこの階は一区切りです。エスカレーターで下って、次に進みます。
エスカレーターを下ると、中型水槽が並ぶ広いエリアがあります。ここから中盤です。
⑦アマモの海
浅瀬の海域に戻ってきました。アマモ場は水の流れで言うと河口部の次にくる辺りなので、ここからもう一度海に潜ってゆくということなのでしょうか。この先の展示を見ても、順路に関してはざっくり決められているような気もしますが、、
ひとまずアマモ場、生き物たちも比較的ゆったりと動いているポイントで、結構好きです。
⑧沿岸域
どうやら、再び海へ潜ってゆくようです。このあたりは周辺にある陸地の環境も再現されているため、水位が低くなっていますね。
この水槽では、砂底に住む生き物たちが見やすいように底上げされています。水面の高さがほぼ同じになるので、見やすくなっていて良いですね。
⑨クラゲ
沿岸域の角を曲がると、右手にクラゲ水槽が並んでいます。クラゲは今や定番の展示ですね。
⑩藻場
通路の左手には海藻展示の水槽があります。青を基調とする水槽が多い中で、茶褐色がメインになっている水槽は少し目立ちますね。
秘密を読むと、水槽への拘りがよく分かって面白いです。海藻を展示するためには水流や光の条件などが不可欠だそうです。サンゴみたいですね。
⑪サンゴ礁の生き物
サンゴみたいとか言ってたら次はサンゴ礁展示でした。
⑫熱帯雨林の川
サンゴ礁展示の次は、熱帯の淡水展示です。
⑬干潟の生き物・水辺の生き物
⑭アザラシ
このフロアもいよいよ大詰めです。ここでは、ゴマフアザラシが2頭展示されています。
やはりイルカやアザラシなどの海獣は、イベントを見に行くのがオススメです。普段水槽を眺めているだけでは滅多に見られない姿が簡単に見られます。その分人も集まってくるので、スペース確保はお早めに。
では、隣の水槽へ行きましょう。
⑮スナメリ
入館チケットで引いたスナメリです。筆者はイルカやクジラが大好きなので、とても楽しみにしていました。
スナメリは海底のエサを食べる際、砂に水を吹きかけて砂中の生き物を炙り出すという習性があります。これを水族館で応用させたものがバブルリングになります。同様の習性と口の形を持ったベルーガも、バブルリングが使えたりします。
やっぱりスナメリは可愛いですね。かなり近い距離で見れてますます好きになりました。昔より全国的に個体数が増えた気がしますが、今は仙台と南知多を除いて基本的には西日本の水族館でしか見られないので、レアな海獣の1つだと思います。
⑰とれとれタンク
スナメリを見終えると、入口まで戻る形となります。その道中に、小さめの展示コーナーがあります。
ここで通常の(?)展示は終わりになります。ここからは、ペンギンのコーナーとイルカショーを見ていきましょう。
⑱ペンギン〜亜南極ゾーン〜
一旦入口を通過して、終盤へ突入します。ペンギンエリアへ繋がる通路には、巨大なジェンツーペンギンの置物があります。市の鳥と言うだけあって、かなり力を入れた展示になっているようですね。
それでは案内に従って階段を、、降りようとすると何だか賑やかな声が!
赤い帽子を被った園児達が遠足にやって来ました!平日の水族館では遠足に来た園児や小学生と鉢合わせすることがよくあります。筆者はなるべく展示を見るタイミングが被らないように動きますが、被ってしまった時はそっと後ろの方で水槽を眺めて、子供たちが過ぎるのを待ちます。体感、彼らは結構早いペースでガンガン進んでいくので、先に行こうとするよりは待っておくのが吉でしょう。
筆者は子供の頃から水族館が好き、というより子供の頃に連れて行ってもらった水族館で感性が形成されたということもあって、興味が無さそうでも、小さい子供達には1番前の見やすいポジションは譲るべきだと考えています。自分よりも若い人たちにとっての、感性を豊かにしうる体験の邪魔はしたくないですね。あと筆者のように大学生にもなれば、その気になってお金を貯めれば全国どこにでも行けます。しかし、小さい子達は親に連れてきてもらう事でしか水族館に来れないでしょう。そういった意味でも、同じ空間を体験する時間の重みが違うと考えています。
こうした筆者の水族館に関わる背景や考え方については、またおいおい記事を書いていく中でお伝え出来ればと思っています。
写真を整理して時間を潰し、頃合を見計らって次へ進みます。まずは亜南極地域に住むペンギン達です。
マカロニペンギンは意外と珍しいかも。くちばしの形が湾曲していて特徴的ですね。ミナミイワトビペンギン、ジェンツーペンギン、オウサマペンギンは安定の可愛さです。
と、ペンギンを眺めていたらどうやら「ペンギン大編隊」というイベントが始まるそう。トンネル水槽前の座席を確保して、さぁペンギンよ来い!
....
しかし開始時刻になっても、何も起こらず。と思ったら、なんとスロープの上側から声が聞こえてくるではありませんか!ペンギンについて解説しているようですが、ハッキリとは聞き取れず。でも今立ち上がったら、せっかく確保した特等席を取られてしまう!
結局動かず、水中版だけを見ることにしました。どうやら上でペンギンの解説をした後に、下でペンギンが泳ぐのを見る、というイベントだったらしい。どこにも書いてなかったので全てトンネル水槽前でやるものかと、、
隣に座っていたお客さんが「前半犠牲にしたらここで見れるわけやな」と言っていて、ポジティブ思考は大事なぁと思いました(笑)
では、後半のペンギン大編隊の様子がこちら。
動画しか撮っていなかったので画質が悪くて勢いが伝わりませんね、、
実際はすごい勢いでペンギンが水に飛び込んできて、見応えがありました。ペンギンが水に飛び込むと、白い飛行機雲のような泡を出します。これは保温効果を保つために羽毛に溜めた空気が抜けることで発生しているそうです。
またペンギンが泳ぐときは、羽が時々動くだけで後の部分は動いているように見えません。なのに方向転換が自在に出来ていて、素早くスイーっと通過していきます。まさに空を飛んでいるみたいです。
水中からも大編隊を見てみたかったので、次行く時はトンネル水槽からも見ようと思います。
あっという間にペンギン大編隊が終わり、トンネル水槽を抜けて次へ進みます。
トンネルを出て左手には、こんな水中空間もあります。あんまりペンギンは来ないですが、岩のトンネルなど時々通過する様は見応えアリです。
⑲ペンギン学校
トンネルを抜けた正面には、ペンギンの学習コーナーがあります。
世界に住むペンギン全種類の模型やレプリカの骨格標本などがあり、ペンギンの体の仕組みなどが詳しく解説されています。
⑳ペンギン〜温帯ゾーン〜
やはり屋外と言えどペンギンエリアは独特のキツい匂いがありますねー。筆者はとても苦手なので頑張って息を止めて1周しました(笑)
㉑イルカショー
いよいよクライマックスです。イルカショープールはエントランスの右手か、序盤のフグ展示と河川展示の間にある出口から行くことができます。イベントスケジュールに合わせて柔軟に動くと良いでしょう。
今回も2回見ました。1回目は肉眼で見る用、2回目は撮影用です。1回目で見所を押さえておくと、2回目で比較的スムーズに撮影することができます。初見で写真を撮ろうとしてシャッターチャンス逃した〜って経験、皆さんもあると思うので2回見るのがオススメです。
感想は以下に箇条書きでまとめますね。
・ストーリーが分かりやすく、しっかりコンセプトも落とし込まれています。
・アシカの指示でイルカがジャンプしたり、イルカの指示でアシカがポーズを決めたりと、ただそれぞれに演技をさせるだけではないのが良かったです。
・見たことないイルカのスピンジャンプ。回りながら飛ぶのではなく、飛びながら回るという説明が正しいでしょうか。是非見に行って欲しいです。
・とにかくバリエーションが豊富で、見てて面白かったです。色々な道具を次々に持ってくるので、飽きずに最後まで見ることが出来ます。
といった感じでした。なんか「お客様の声」みたいになってしまいましたが、、とても満足でした。
イルカショーを見終えたら、階段を降りて出口へと向かいます。階段を降りた所にはお土産ショップがあり、オリジナルグッズが豊富でした。
㉒シロナガスクジラ全身骨格標本
出口です。そこには途中で見かけた本物のシロナガスクジラの全身骨格標本を下から見ることが出来ます。この標本は体長26mのメスのものだそう。
最後の〆に全身骨格標本を持ってくるというのは「生き物はいつかは死ぬ」という時の流れを表してたりもするのかなーと思ったり。
クジラの飼育(特にヒゲクジラ)は困難を極めるため、今後も水族館で見るのは難しいでしょうけれども、いつか生きているクジラを生で見たいですね。更にできれば水中で一緒に泳いでみたいものです。大学生で時間があるうちに、ダイビングやホエールウォッチングも経験して行きたいと思っています。
それでは以上が、市立しものせき水族館「海響館」のレビューになります。
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございます☺️
定番の展示はしっかりありつつも、フグやペンギンなど要所要所で特化した展示があって見所満載でした!
諸事情で訪問から1週間ほど経っております。レビュー自体は館内を回っている時にちょくちょく書いたメモを中心に組み立てていますが、実際に訪問してる感が消滅してたら申し訳ないです。
次回は2/18に訪問したマリンワールド海の中道について書いていきたいと思います!では!
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