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あといくつ紙束を作り続けるのか?

 「0を1にするのは非常に困難だ」この言葉の意味が分からない。カードゲームにおいてこれを達成するのは非常に容易である。そのカードゲームを遊ぶために必要なデッキの枚数を集めることができればそれが自分のオリジナルデッキになる。洗練された世界大会優勝デッキに比べれば足元にも及ばないデッキだとしても”0”を”1”にしたという経験になる。このような言葉を使う人間は「0からアイデアを出して環境で戦えるデッキを組めない」という意味で使っているであろう。それは0から80にするのは困難だということではないだろうか。

 「デッキは組む時代から選ぶ時代へ」この言葉の意味を正しく受け取れていない。もちろん時代背景は概ね正しく認知している。勝利を目指すのであれば、最初から「優勝」というラベリングがされた商品を購入するのは至極当然のことである。インスタントに水が欲しければコンビニに入ってお金を出せばいい。井戸を掘るために地層調査を行い井戸を設計する人間はいない。新しくコンテンツに触れる人間がクリエイティビティを発揮するのは非常に困難で、ある程度のバックボーンや知識経験の集積がなければ正しい方向性のデッキ構築もできない。初心者と言われる層が他のTCGと比べて多くのパイを占めるような将来安泰なゲームであればこのような現象が観測されるのは当然の結果のように感じる。

 今回は言葉尻を捕ってお気持ちを表明したいのではなく、自身が熱中しているポケモンカードゲーム(以後ポケカ)のデッキ作成の悩みをアウトプットすることによって途中で溜飲が下がるのではないかという希望的観測で書き散らす。このような悩みを持っている者は分子として非常に少ないのは前述から理解しているが、自身のマイノリティを自虐、自慢する気もない。もし過去に同じ悩みを持つ人がいたら効率的な学習方法をご鞭撻いただければ幸いです、くらいの気持ちで進めていく。


【はじめに】自身とポケカとの距離感

 私はポケカが好きだ。綺麗なイラスト、可愛いポケモン、豊かな戦術、カードテキストの個性、「ポケモン」というコンテンツを使ってカードゲームを楽しめるのはこのTCGにしかない魅力であり、たくさんの人を虜にしている。その中の一人だ。
 ポケカの楽しみ方は人それぞれである。しかし主な楽しみ方は”対戦”であり、勝つために収斂されたデッキを使って切磋琢磨す人間も少なくない。カードショップ、友人宅に集まり強いデッキを使ったり戦略について相談をするのは非常に楽しく、リアルに人と人との繋がりを作れる貴重な体験を提供してくれる。
 私自身の楽しみ方は、色々なポケモンを使ってデッキを組むことがこのカードゲームの楽しみである。非常に強くデザインされたポケモン、環境のカンフル剤としてデザインされたカード、ポケモン自身の設定を生かしてデザインされたポケモン。いろいろな意図がデザインされた創作物ですべてのポケモンを使って遊びたい。

「強いポケモン 弱いポケモン そんなの人の勝手 本当に強いトレーナーなら好きなポケモンで勝てるように 頑張るべき」

 この時点でこの記事を読む人間の9割が共感を得られずブラウザバックすることが予想される。


①メインにしたいポケモンのエネ枚数

 デッキ制作の悩みその1。活躍させてたいポケモンに対するエネルギーの枚数だ。たとえば非エクのポケモンでデッキを組む時の指標の一つとして、

【攻撃するポケモンのエネ要求数×そのポケモンを使う枚数】

があり、デッキに必要最低限の枚数である。厳密にはカードプールや回収手段、スムーズにエネルギーを供給できるか、など複雑な事情が絡み必ずしもこの通りというわけではないが、これより極端に多かったり少なかったりすることはない。
 この前提はあれどもポケモンによってその特性は様々である。エネルギーをトラッシュしてしまうポケモン、場のエネルギーの数を参照してダメージを出すポケモン。色々なカードの特徴に応じてエネルギーの枚数は変動する。
 エネルギーは技を撃つものだけではない。2024年現行スタンダードでも手札のエネをドローに変換するかがやくゲッコウガやブロロームも存在し、どのエンジンを使うかによってもエネルギーの枚数も当然違ってくる。

 自身がデッキを作るにあたり、とりあえず10枚のエネルギーから始めて増減を繰り返す。ポケモンを分析してある程度デッキに必要なエネの枚数に見通しが立つようになればデッキ作成も容易になる上、強度の高いデッキになるのでは?と考えながら日々頭を悩ませている。

②搭載するデッキエンジン

 ここでもポケカをやっている大部分の人間バイバイの悩み。どうやってデッキを回すかを毎回悩んでいる。いま思いつくだけでエンジンがいくつあるかとざっと並べてみると

①博士などのサポート縦引き
②デデンネクロバットイキリンコ
③ねがいぼし+エスケープボード
④裏工作
⑤はたらくまえばアビスハンド系
⑥やりくりリファイン系
⑦ブルーの探索
⑧ピジョットex
⑨ロストギミック
⑩じてんしゃトレッキングシューズ

などと多種多様だ。「デッキを回す」というマクロな概念で括ればほとんど同じように捉えてもいい性質の群だが、ミクロの目線では全く違う。取得できるリソースの量、試行できる回数、獲得できるカードの質、準備のしやすさ、デッキスロットの許容量などさまざまな事情でエンジンは選択される。

 どうやってデッキを回せばいいか、という悩みは「全部試してみる」とパワープレイで解決できるが、デッキを組むたびに全て試す程の情熱が自身にない。今はある程度ギミック別に当たりをつけてデッキを組んでいるがバリエーションに乏しくなる、本当に最適な方法でデッキを回しているかが確証が持てない、などと頭を抱える日もある。

③メインポケモンのスペックが足りない

 こればっかりはデザインチームでもなければ企画担当でもないためどうしようもない。デッキ制作の悩み3つ目。ポケモンにはその環境で通用するHPやダメージなどの数字の大きさがあり、その数字が小さく足りないのであれば当然置いていかれる。プレイヤーには見えないが感じ取ることができる見えない足切りラインが設定されている。それをプレイヤーのスキルや構築で下駄を履かせるのがカードゲームの一つの楽しみであり、そこにやりがいを見出している人間も少なくない。

「今日は雨が降っているからジメジメしたポケモンを使いたい!ヌオーとか使いたい!」
「SNSでハハコモリの可愛いイラストが流れてきた!今日は君だ!」
「今日は安定したゲームがしたい気分だ、リザードンexかな。」

その日のその時の気分によって一緒に遊びたいポケモンは毎日変わる。ただその時想起されたポケモンで楽しく遊べるかは自分自身の腕であり環境でありマッチアップの運でもある。それでも前述したとおり致命的に数字が足りないポケモンは渋々諦める必要がある。もっと自身に非凡なアイデアがあれば、30年もの歴史を歩んだ経験値があればと無いものねだりをしてしまうことも多々ある。

【おわりに】

 少しだけスッキリした。自身にできていないこと、できていること、やりたいこと、楽しいことを可視化してまとめることでなんとなく整理ができたという感覚。言ってしまえば自己満足した。誰に縛られているわけでもなく強制されているわけでもなく、それでもやらないといけないような義務感のような気持ちで遊んでは動画にしている。手段と目的は往々にして逆転する。動画を作るために楽しく遊んでいることは果たして自分の本意なのか、それでも楽しく遊んでいるのはどうしてだろうかと少しずつ悩みながらそれでもその日の気分で楽しくポケカで遊ぶことをやめないんだろうなあ思いながら日々を過ごしている。

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