線対称のニキビ
私の両頬にニキビができた。
顔に中心線を引くとちょうどニキビが線対称になっている。同じ形態、同じ悪化状況のニキビだ。
合わせたようにとはこのことだ。
バイトをしていると集合時刻を合わせたように客が一斉に来ることがある。それだ。
いや、それよりタチが悪い。
なぜなら線対称だからだ。
ニキビシンメトリーってか?
笑わせるな。こちとら深刻なんだ。
正面の顔を人に見られたくない。あ、ニキビシンメトリーだって思われたくない。
ならマスクすれば良いじゃないか。
笑わせるな。悪化するだろう。
多分、目が4つに増えたくらい気になる。
私は2という数字に問題があると思う。
1より2、3より2だ。
2という数字は難しい。人間関係においてもそうだ。2人が緊張感の張り詰めたピンと張った糸ならすぐ千切れてしまう。張りすぎず緩すぎず。程よい関係を続けるのがいかに難しいか。
それをニキビは私の頬の上でやっている。
お互いがお互いにとって心地よい空間になるように、鼻を挟んでパーソナルスペースを確保している。でも気持ちは通じ合っていると言わんばかりの線対称。
ふざけるなよな。
いつかその空間ごと居心地の悪い、とっかかりが一つもないつまらないものに変えてやる。今に見てろよ。