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時間が最高のスパイス
2020年4月。
私はとあるチケットを握りしめ、コンビニの駐車場に停めた車の中でしばらく動けないでいた。
『逢田梨香子 1st LIVE TOUR 2020 「Curtain raise」 大阪公演』
例の如く、新型コロナウイルスの影響で公演が延期になったからだ。
正直予想出来たことだったし、何より逢田さんご本人、スタッフ、お客のことを考えると、そうせざるを得なかったはず。一番ありがたかったのは「延期」となったことで、またいつの日かきっとCurtain raiseの楽曲を歌唱する逢田さんが見れる。希望が繋がったという事実 と、やっぱり行きたかったな というエゴの折り合いをつけるため、しばらく手の中のチケットを眺めていた。
延期の結果、2021年2月に振替公演を行ってくれることが決定した時は、中止にならなかった、まだまだ楽しみが続くんだ!と喜んだと同時に、「2月」ということに多少引っ掛かりを覚えていた。なぜなら、インフルエンザしかり、感染症がもっとも流行する時期であり、コロナとなればまだ日本でのワクチン出荷がされていない時期。接種なんてまだまだ先だ。
2020年中にも東京、名古屋公演があったが、仕事の都合上どうしても行けない。
…そんなこと悩んだって仕方ないし、なるようになるさ精神で、とりあえず大阪公演に焦点を絞り、2月は何があっても動けるように金銭面、業務面の課題をクリアするべく仕事に没頭した。
そんな中、ライブレポートが上がる。
セットリストは頑張って見ないようにし(…まぁ大体予測はできてしまう訳ですが)、ちょっとだけライブ中の逢田さんのお写真や客席をバックにしているお写真を見た。
素敵な衣装。ライブを彩る照明。照らされ輝きながら歌唱する姿。
本当にライブが出来てるんだ。ファンの皆さんはもちろん、何より、逢田さんご本人がこんなに楽しそうなお顔で写ってる。
あぁ、嬉しいなぁ。半年以上、待ちに待ったCurtain raise。歌声を届けられたこと、そのファンの反応を目の前でやっと見れたこと。きっと嬉しかっただろうな。
願わくば。自分もその会場の一員になりたい。
…つうかもうしのごの言わずシンプルにMirror Mirror、Tiered、Dearly、ME、ブルーアワー、ステラノヒカリを生歌で聴きたいし、歌ってる逢田さんが見たい。(欲求爆発)
大阪公演だけが、頼みの綱だった。
緊急事態宣言。
県独自の宣言も出され、正直自分の中でいよいよお手上げ感があった。
大阪公演は千秋楽だ。逢田梨香子初めてのライブツアーとしては最初で最後の千秋楽。もしかしたら、これからもたくさんのツアーをするかもしれない。でも1stというのはこれっきり。しかも2021一発目にDream hopperもリリースされ、大阪公演への期待値は高まる中で、現実を突きつけられる。
仕事の関係もあり、2月の大阪公演は 見送ろうと 決めた。
決めた、けど。予約した新幹線をキャンセルすることが、出来ない。
夜寝る前に気がついたらブルーアワーの歌詞を口ずさんでる。
「風が吹いた 何か変わった? 私は私のままで。見慣れた景色眺め 誰もいない、ひとりぼっち」
ベッドの上に正座で。さながら光景はもうホラー。
気持ちの整理がつかないまま、日々は過ぎていった。
『大阪公演延期のお知らせ』
心臓が飛び跳ねた。 そうか、延期になったのか。
一番最初に抱いた感情は、ライブに行けるチャンスが繋がったことに対する「嬉しい」という気持ち。そして、このような状況下で難しい判断を行なってくれたことに「心からの感謝」だった。
でも逢田さんのツイートを見て。居た堪れなくなった。
申し訳ないなんてとんでもない。延期という形が、きっと今の最善の形でした。待っててくれたみんなの気持ちを考えるといたたまれない、なんて気負わなくていいんです、だってきっとギリギリまで開催目指してロジックを組もうと奮闘して頂いていたのでしょう?どこまでファンの目線に立って優しい言葉をかけてくれるんですか。
あなたが健康でいてくれること、その上で歌声を姿を見れること、その結果最高の笑顔をお互いに向けられること。
最高のプレゼントです。
そのためになら、たとえ行けなくなったとしても、いくらだって待ちます。当たり前じゃないですか。
だって、私たちは あなたのファンなんですから。
いろんな感情が揺さぶられてうまく言葉にできないけれど。まとめておきたいと思った。これまではあまりしてこなかったけれで、新しいことに取り組むきっかけを作ってくれたのも、あなただから。