#008 地球の裏側
地球儀の中で日本の裏側に当たるのはブラジル。
そのブラジルで現地の日本人駐在員として働いている知り合いがいる。
知り合ったのはおよそ1年前くらいで、「ブラジル在住ののFです」と明るく最初にご挨拶するのが印象的だった。
その人が休暇を取って1ヶ月だけ日本に戻ってくるという話を聞き、
ブラジルには会いに行けないけど、日本に戻ってきているなら会いたいなと思い、
アポを取り、時間をいただき会いに行ってきた。
生まれも育ちも今の家族が住むまちも変わらない、
高台からの広大な景色を見ながらゆっくり話をした。
日本を一度も出たことがない私に彼は教えてくれた。
日本はとっても治安のいい街なんだよ。
だって、俺が外で食事してると、他で入ってきた客が銃持って入店してくるんだよ。って。
生まれ育った故郷の景色を眺めながら、のんびり過ごして、駅で別れる。
別れた時にはすごく笑顔で、
また帰ってきたら会おうねって話をしたけれども、
帰り道、一人車を運転しながらなぜだろうか、どんどん涙がボロボロと溢れてきた。
明後日には休暇を終え、飛行機に乗って日本の裏側に向かうという。
現地ではまた毎日戦いだ。
毎日銃を持ってやってくる現地の人と、身ひとつでポルトガル語で話をしていかなければならない。
旅立つ前には家族が泣いちゃうんだろうか。
次、命があってちゃんとまたここで会える??
旅立つ彼の想いに気持ちを寄り添ったら、
私までもらい泣きをしてしまった。
会えてよかった。ありがとう。
また元気にここで会おうね。