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#004 思い出してくれてありがとう(1)

急に思い出したことが引き金になって、
記憶がぶわっと戻ったり、
思いがけずそのころお世話になった人に出会う体験をする。

とある集まりの中で、本の一説を読んで、ふと思い出した過去の出来事。
末息子を出産した時、妊娠後期に産前うつにかかり、それが原因で野良妊婦(分娩や通院できる産院がない妊婦のこと)になりかけたの経験をしたことを集まりの中でお話した。

それを急に思い出し、話し切った後、
翌日、野良妊婦になったとき大変お世話になった助産師さんにスーパーでばったり会った。
声かけることができなかったけど。

あのとき、野良妊婦になる直前、明らかなるうつ状態で、本当にしんどかった際に、
一番最初にSOSを言えた同じ地区に住んでいるかかりつけ医でもあり、市の助産師も務めているSさん。
長女出産時、最後の検診も務めてくださり、既に陣痛来ていることを見抜き、即分娩室に連れてってくれた。
勤務時間過ぎたから帰るねとお声かけてくださったときに「あとどのくらいで出産できるかな?」と私がふときくと、「うーん、あと2,3時間だね」と答え、本当にその通り、2時間後には出産が終了した。ものすごい人である。

精神的にまずいことはわかっている。
でも病院に行ってもいいのかわからない。
どんどん負のループになったときにぼそっと「精神科を受診したい」という小さな思いを、ちいさなSOSを助産師Sさんがただ隣で聞いてくれた。
その後、地域担当の保健師さんを介して、病院を紹介してくださったり、精神科受診するなら分娩を拒否する産院と掛け合ってくださったり、精神科の先生と産院の先生と直接電話で経過を話し合いをしてくださったり、
野良妊婦という不安な時期にもなんとか分娩できるようにいろんな人が手をかけてくださった。
今でも本当に泣けるほどの思い出だ。

予期せぬ3人目の妊娠出産、
この子は生まれたかったから生まれてくるんだよということを思いながら、姉の小学校入学式や初めての授業参観も無事におなかの中で待って、出産予定日を越えて生まれてきた。
あれから6年が経ったが、
末っ子が家族の輪を持ち、いい潤滑になりながら、歳の離れた姉と同等のけんかをしながらたくましく、人懐っこく生きている。

あのときあんだけ悩んだけど、産んでよかったよ。
今度助産師さんに会えたらそんな話をしたいと思ってる。




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