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幸せに雨をそえて。

ごーごー、ひゅ、ごーばちばち

暗い部屋で布団を被ってぼおっとその音を聞く。

眠れない。

目を閉じても次々と不安がよぎり、寝付けないのだ。誰かに話を聞いてもらおうと鳴らした電話も電子音が響くだけだった。

ため息をつく。
天井を見つめる。
目を閉じる。
眠れない。
ため息をつく。

ずぅっとこの繰り返しだ。

もう諦めて、いっそのこと起きて課題でもやっていれば眠くなるだろうと、部屋の明かりを付けようとした時、ずっと握りしめていた端末が震えた。

見ると、先程不在着信を残したあの子からのメッセージだった。

[ごめんアスペルガー症候群番組見てた]

笑ってしまった。この子らしいな、らしすぎる。

私はまた着信ボタンを押した。
数コール後に出た彼女の第一声は

ごめんさっきアスペルガー症候群の番組見てて

だった。

うん。さっき聞いた。どんな番組だったの?

彼女なりの言葉でその番組の内容を説明してくれる彼女の声を聞きながら、私はなんとも言えない気持ちになった。

もっと正確にいえば、沢山の「好き」とそれに付随する感情でいっぱいになったのだ。

ねぇ、今思ったこと言っていい?
今ね、君のことが好きな私でよかったなって思ったんだ。

雨音は相変わらず響いていたけど、私の心には一筋の光が差し込んだようだった。


文:ゆか タイトル背景:ぐっち

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