日雇い派遣 底辺カルタ ま~や行 / ふしぎなあいさつ
【ま】間違えた あとの仕打ちが 恐ろしい
【み】見せしめに 脅迫恐喝 給料不払い
【む】「無理しても 今日は勤務を してください」
※食品工場で働く前に、派遣スタッフのノロウィルス感染が判明していても、派遣会社はこういう対応をしていたので、当然現場で問題になった。
後日、派遣会社にクライアントから「無茶苦茶はやめてくれ。悪質だ!」とクレームが入り、以後、体調不良者に無理やり勤務しろと脅すことはなくなった。
【め】面倒だから 戦わないで 泣き寝入り
【も】もうダメだ 指が折れてちゃ 働けない
※リーマンショックのあおりで失業したという、印刷工場の同じレーンで働いていたおじさんの話。日雇い派遣先で指を骨折したものの労災申請を諦め、我慢して働いていたが、腫れてきたし痛いしで、もう限界だと吐露していた。
【や】ヤンキーだ 社員も社風も ヤバすぎる
【ゆ】許せない 偽装請負 ひた隠し
※偽装請負は違法行為である。
日雇い派遣底辺カルタシリーズが終わったら、【凸撃②】多重下請けの偽装請負を通報したのだ で大手派遣会社が偽装請負に加担している実態を紹介する。
なお、凸撃シリーズは内容がボリューミーなため
【凸撃①】日雇い派遣で警備業務だぞ
【凸撃③】日々紹介で"反社・半グレ"の会社を紹介されたら
【凸撃④】派遣会社が滅茶苦茶なので、めちゃくちゃ戦ってきた話
と、連投していく予定だ。
【よ】「世の中が これでいいのか」悲嘆する
今回の小話コーナーは
【や】ヤンキーだ 社員も社風も ヤバすぎる
にちなんだ、暗黒労働おとぎ話をお届けします。
※暗黒労働おとぎ話とは:あまりに酷いため、ブラック企業の実態をありのままに書けず、メタファーにして伝える試み
暗黒労働おとぎ話 『ふしぎなあいさつ』
むかし とある町のはずれに、小さな小さな工場がありました。
ある日のこと、いっしゅん法師(単発バイトの一瞬奉仕)は、その工場で働くことになりました。
いっしゅん法師の他にも、一日だけ働く人が10人くらいおりました。
社長さんはやさしそうで、皆の衆が安心したのも束の間、体の大きい赤鬼のような部長さんが、奥の方からのっそのっそとやってきました。
ベテランの皆がそろい、 大きな声でごあいさつ。
「おはようございます」
赤鬼のような部長さんは大きな声で言いました。
「おい、お前ら!他に言うこと、忘れてないか?」
何度か来ている女の人が、前に出てきて言いました。
「はい、みんな、大きな声で!」
「働かせていただいて、ありがとうございます!」
「一生懸命頑張ります!」
腰を90度に曲げて深くお辞儀をしながら、みんな そろって 大合唱。
赤鬼のような部長さんは、ご満悦。
ニコニコしながら奥の事務所に消えていきました。
いっしゅん法師は、こんなあいさつを初めて見たので、たいへんおどろきました。
朝会はそんなでしたが、仕事は平和に出来たので、いっしゅん法師は何度かその工場で働いたのでした。
そんなある日のこと。
工場に仕事を頼もうと、取引先の大きな会社のえらい人たちが見回りにきました。
いわゆる現場の視察というやつです。
赤鬼部長は、はりきって みなの衆にいつものあいさつを大きな声で言わせました。
「働かせていただいて、ありがとうございます!」
「いつもありがとうございます」
パートさんと派遣スタッフのみんなは、腰を90度に曲げて、部長に頭を下げて、ピタっと止まりました。
部長は視察隊に
「うちは、できる限り休み時間を取らないでスタッフに作業をさせるので、作業効率がいいんですよ!」と得意げに言いました。
ふしぎなあいさつを見たうえ、休憩時間をけずっていると聞いて、取引先のえらい人達は大変驚いてしまいました。
あまりにびっくりしたので、依頼しようとした仕事をあっという間に取り下げて、よその工場に回してしまいました。
おそらく"コンプライアンス"という、大きい会社にはあって小さい会社ではあまり見かけない、働く人を守る魔法がかかったのでしょう。
それからというもの、ながいながい間、いっしゅん法師たちが赤鬼部長の工場に呼ばれることはありませんでした。
1年たった ある日のこと。
いっしゅん法師が工場の前を通りがかると、無精髭ボーボーになって生気を失った赤鬼部長が、洗車できずに、すすけている黒い車の前でタバコをぷかぷか、ふかしておりました。
やさしい社長も、真っ黒になった白い服を着て一緒にタバコをふかしておりました。
工場も半分以下の大きさになり、以前の活気はなくなりました。
それから、さらに時は経ち・・・
あるとき、一度だけですが、いっしゅん法師がその工場で働く機会がありました。
すると、あの赤鬼部長はゲソっと痩せた、弱そうな普通の人間になっていたではありませんか!
そして、もう
「働かせていただいて、ありがとうございます!」
という大きな声のあいさつは、その工場から二度と聞こえてくることはありませんでしたとさ。
おしまい