脳と対話しよう
脳も臓器の一部である
脳と聞いてどんなことをイメージするでしょうか?
脳とは人体でも一番上に位置して、とても大切なものですよね。思考を司る器官であり、体のすべての指令を担っている大切な器官です。
脳が停止すれば、体は動かなくなり、人は目を覚まさなくなります。脳が生命の源でもあるとも言えます。
脳は特別という感覚は大体の人が持っている価値観かもしれませんが、脳が臓器の一部だと思っている人はどれくらいいるでしょうか?
脳も肺や心臓や胃と同じ体を構成する臓器。じつはほかの臓器と同じく私たちの意思とは関係ない動きをするまさに臓器と言える側面も持っているのです。
リズムの思考
人間にはリズムがあります。
朝起きて、お昼に活動して、夜に寝る
息を吸って、酸素を取り込み、息を吐いて、二酸化炭素を吐き出す
一分間に平均70拍で心臓が動く
おなかがすくと、ご飯を食べて、胃で消化し、腸で吸収し、排泄する
全てにおいてリズムを持っていて、それを崩すことができることとできないことがあります。
例えば、心臓の動きは、心の動きによって変わったり、体の動きによって変わります。息をすることも故意に止めることができます。
ですが、心臓を完全に故意に止めたり、息をすることをやめることはできません。リズムを崩すことはできても完全に停止することはできないということですね。
それでは、脳はどうでしょうか?
脳も動きを変えられる部分とそうでないものもありますね。
例えば思考。これは自分でコントロールできる範囲にあるものです。
ですが、脳の働きを停止させることはできませんね。
そして、コントロールできると思っている思考もじつはほかの臓器と同じく、範囲が決まっているのです。
でも、考えは自分で何とでもなるじゃないですか!
そんな声が聞こえてきそうですね。
では、一時的でもいいので、脳が思考することを止めてみてください。
脳の声が完全に聞こえなくなる状態です。できる方はいるでしょうか?
じつは思考を黙らせることはとても難しいのです。次々と考えたくもないのに考えが浮かんできたのではないでしょうか?もしくは考えない!考えない!考えない!と唱えた方もいるのではないでしょうか?考えないということを考えてしまった人が多くいると思います。
この止まらない思考。
考えていないのに考えている状態。これが脳の普通です。肺が常に酸素を供給しているように、心臓が常に血液を送っているように、胃が常に消化をするように。
脳も常に活動しているのです。
しかも、他の臓器と同じくリズムをもって考えています。
それは
将来の不安だったり
過去の出来事だったり
お金の心配
会社への不満、家族への不満
体調の悪さへの不満
いつもいつも
ぼーっとすると出てくる思考は誰にでもあるのではないでしょうか?
これが脳の持つリズムの思考です。
お気に入りの思考というのでしょうか。暇さえあれば考えて、モヤモヤしたり、不安が加速するのにやめられない。脳が勝手に
あーぁ、心配だな・・・・
と始めるやつです。
脳はじつは・・・
脳がお気に入りの思考を繰り返すにも訳があります。
それは、人生を安全に渡り歩くために必要な思考をしておく必要があるからです。自分の身に降りかかる危険から身を守るためにあらかじめシミュレーションしておかないといけません。
そのために
未来への不安を考え、その対策案をいくつか持っておきたい
過去の失敗を思い出して、二度とその失敗を繰り返したくない
お金さえあれば不安のほとんどは解消されるに違いないと考えてお金のことを考える
嫌なことを避けるために会社の人や家の人の悪い癖を覚えておきたい
生命を維持するために体調のことを考えておきたい・・・
脳もそうやって考えておくことで複数の脅威から身を守っているのです。
ですが、脳が対策を考えているのにも関わらず、同じ思考が巡るのでしょうか?
じつはこの解が興味深いのです。
それは
脳はとても面倒くさがり屋
ってことです。
どういうこと?
臓器の中でもかなり複雑で、緻密な脳が面倒くさがり屋?
本人も面倒くさがり屋なのに、脳まで面倒くさがりなんて救いようもない・・・
そんな絶望が聞こえてきそうですが、人間はそもそも面倒くさがり屋なのです
だからこそ、テクノロジーが発展したのですから、面倒くさがり屋万歳なんですよ。
脳にコントロールされる
脳が面倒くさがり屋ということですが、どういうことでしょうか?
脳は、とても大きな臓器です。脳が多くのエネルギーを毎日消費しているのはご存じでしょうか?
元々燃費が悪いのに非効率なことばかりしているの生き残り戦略としては良くありませんよね。効率よく生き残るために、消費カロリーは減らしたいものです。そうなると、減らせるエネルギーは考えないという選択です。
ですが、矛盾しています。
脳の声を止めようとしても止まりませんでした。考えなければよいではないかと思いますよね。考えてるのに面倒くさがり屋。多くの矛盾を感じますが、この考えていることがすでに省エネなのです。
脳の思考の中で、ポジティブなものはあるでしょうか?考えた結果、ポジティブに持っていくことはできるものの、ポンと考えることは結構、ネガティブな思考が多いことに気が付きませんか?
不安に駆られるから、調べ物をしたり、さらに思考したりして、対策を考えることができます。対策があることに関しては、ひとまずオッケー。考えが浮かんでも、そうなったらこうするという答えを自分で出すことができます。繰り返し考えても気にも留めなくなります。そうなったら、リズム完成です。
こうやってリズムをどんどん完成させれば、常に考えたとしても新たな思考は生まれません。
というわけで、同じ思考を繰り返してもエネルギーを抑えることができるわけです。
ですが、脳は大きくて賢いので、さらに将来のエネルギーも温存したいと考えます。考えることをしたくないのです。面倒ですからね。
一番面倒くさいのは、
「新しい環境に行くこと」
転職する、恋愛する、環境を変える、移動する
このすべてはエネルギーを多く消費します。新しく出会う人と円滑に交流するために、最適な態度や言葉を選ばなければいけないし、新しい場所に最短距離で行くために考えなければいけないし、常に選択の連続ですから、とても脳は忙しくなります。
それは困るのです。
それならば動けなくすればよい
ということで
自分は価値のない人間だとか
新しい環境になじめるわけない
自分は選ばれるわけないとか・・・
様々な思考を爆弾のように落として、不安に陥れて、私たちを動けなくしてしまいます。それはあの手この手で、不安に陥れ、自信を奪い、未来を不安いっぱいに彩り・・・
いつもいる場所が安心安全
ルーティンを崩すことが怖い
という思考に変換していきます。そうなると人は定住し、同じ仕事をして、同じルーティンで生活し、同じ趣味に興じるようになります。この生活が自分に合っていると思い込んで、同じ生活を愛し、他のものが入ろうものなら排除しようとしたり、他の人が変わろうとすると止めたり、自分が無駄な思考をしなくていい環境を整えていくのです。
まるで脳にコントロールされているようです。
脳、お前の仕業だったのか・・・
そう思った人もいるのではないでしょうか?本当に驚きの事実ですよね。
脳と仲良く過ごす
脳は面倒くさがりですが、刺激もじつは嫌いではありません。むしろ刺激がないと脳は退屈で仕方なくなるのです。
だからこそ、ギャンブルにはまる人が出てきたり
ドラマや動画に夢中になる人もいるし
読書が大好きな人もいる
旅行に行かないと気が済まない人もいます
変わらぬ日常も大好きだし、自分の大好きな刺激もある。そう考えると脳は他の臓器とはやはり違います。心臓がお気に入りのビートを刻み始めたら困るし、胃が刺激ばかりを求めて硬い石を食べないと気が済まないとかなると困ります。
そして、脳とは対話ができるのです。脳が何かを考え始めたら、ふむふむと話を聞き、お気に入りの思考だなと仕訳したり、良いこと思いついたら、気が済むまで空想を膨らませたり。
脳は自我であり、友人であり、パートナーなのです。
ですが、占いをしていると、脳の思考に支配され、本当にやりたことを自分に禁じてしまったり、自ら思考の方向転換をすることを拒んだり、そもそも脳を自分の味方にすることを放棄している人と出会ったりします。
無抵抗に脳に思考させているので、不安でいっぱいだし、自分に自信はないし、動くことを怖いと感じています。
どんな言葉をかけても、でも、だってと言い訳をしてしまい、脳のリズムの思考に逃げ込んでしまうと、脳がパートナーではなく、支配者に変わってしまっている人がいるのです。
脳は味方です。生存戦略を立て、危険を察知して、素早く対応できるのは脳のリズムの思考のおかげです。変わる勇気が必要なのは脳が優秀なガードマンな証拠です。
新しい環境に行って自分が傷ついたら本末転倒ですからね。脳は強力な保護者として守っているのですから、反対されて当たり前。ということになるのですから。
そんな脳と仲良くなるには、挑戦することを心地のいい刺激から始めることです。
突然、ゴルフを始めて100点のプロになれる人はいません。
何事も同じで、転職していきなり、全ての人と適切に接することができる人はいませんし、新しい環境でのびのび100点の状態でいられる人はいません。
何事も最初は初心者なのです。
クラブの握り方も知らないし、ゴルフボールに当てることすら難しいと感じるでしょう。
ですが、まずはゴルフを知るという刺激を楽しむ。
ということから
クラブを初めて握る刺激を楽しむ。
に進み
ボールを飛ばすことが楽しくなる。
というところまで、自分を卑下せず、心配ばかり考えず、楽しむを優先して進むことです。刺激は脳にとってはご褒美ですから、思考によるストレスをいかにいなすかにかかっています。
つまり、いつも脳と対話しながら、楽しい刺激を優先させることがすべての始まりに立つコツになるのです。
脳は臓器であるということを忘れない
自我である思考が、自動で動く臓器の仕業の部分もあると考えると、ちょっと世界が変わりますよね。
息を自然とできるように、心臓が勝手に動いているように、思考も勝手に常にしている。
これはコントロールできない部分であり
自分の考えと思いきや、面倒くさがり屋の脳の勝手な動きの場合があることが分かると、いつだって、思考を変えることができることが分かります。
だって、考えることは、自分でコントロールできることですから。
じつは、私はひどい稲の花粉症だったのですが
「毎日食べるご飯の花粉が害悪なわけない!!!」
と脳に言ってみたら、秋の花粉症がなくなりました。
鼻炎から蓄膿症になってしまうので、鼻炎の薬が手放せなかったのですが、去年の秋から薬をやめることができて、蓄膿症になっていません。
脳が自動的に花粉に反応して、鼻水を出し、鼻を詰まらせ、膿がたまるという悪しきルーティンを崩してやったのです。
それこそ、脳に向かって「馬鹿じゃない!?」と暴言を吐きました(笑)
気が付けば世界は変わります。
気が付かなければ、同じグラウンドをグルグルと回って、新しい場所に行くチャンスを失う可能性もあります。
脳に任せてしまうと、どうしても同じところを回る羽目になるし、お気に入りの刺激しか求めないことになります。
それは、上手に生きるという意味では正解なのかもしれません。
ですが、今知っている刺激以外にも脳が大好きな刺激があるかもしれませんよね。
それを知らずにいるのは少しもったいない。
不安になることもあるし、動くことがどうしてもできない事情もあるでしょう。ですが、脳にコントロールされてしまっているなら、それはもったいないです。
私たちには自我があるのですから、思考を自我と勘違いせず、しっかり脳と対話してみましょう。
しっかりと自分を見つめることができるようになります。
ぜひ一度お試しくださいね。