感想◆ゴースト&レディ6/22夜

原作も舞台もネタバレ注意です。個人の主観で好き勝手書いてます。
今回の席は2階後方席センター寄り。グレイ(仮)の足音聞こえませんでした。左右の壁寄りの席だと聞こえるということですかね。1階も2階も後ろからは聞こえなかったです。

〈内田さんラッセル〉
勝手に葛湯飲んだり看護婦から酒貰ったりしてない……！カテコでノート持ってない！全体的に真面目な熱血漢という感じ。ホール相手にする時も声が怒りで低くなってるの格好良かったな…！
「タイムズ基金から」で目を見開いて笑顔になって、「残り半分は私が払う」で更に目を見開いてどこまでも開く目がちょっと面白かった。

〈萩原さんのグレイ〉
やっぱり面白い！台詞と台詞の合間にあるちょっとした仕草とか間の取り方とか、流石コメディ演目に慣れたベテランという感じでとても好き。「シャーロット·シモンズじゃないか〜！」のところがあまりにも推しを前にしたオタク仕草なので客席の空気が「オレ達の姿…？！」という感じでザワッとしたのが面白かった。CFYのオタクとしてはちょっとボビーの面影を感じる。

アレックスがサムシング・フォー歌うところ、初見では最初からムッ？という顔をしてた(気がする)けど、今回はサファイヤの指輪から露骨に苦い顔をしていらした……舞台には描かれてないけど原作のシャーロットへ渡そうとしたサムシング・フォーは確実に存在してる！
萩原さんのグレイはアレックス再登場あたりからメンタル崩れていくんですね。凄く動揺しながら拳を震わせ退場からの1幕ラストの歌唱。心の壁がボロボロ剥がれていくような、泣きそうな顔で、グレイにとって人を愛するというのは渇望でもあり恐怖でもあり……その葛藤する視線の先に凛と立つフローがあまりに美しくて……。フローそのものがグレイにとってのランプ……原作のハワースの冬の荒野、雪原の中で震えてるグレイが灯火を見つめるシーンを彷彿とさせるんですよね……。
♪胸が〜震える〜〜〜(観客の)。
そしてデオン登場に心奪われて1幕が終るの、藤田作品の「次回へ続く！」なんですよね！普通のミュージカルはデュエットで終るでしょ…！？あと2幕の始まりも藤田先生の週刊連載の始まり方。キャラAがピンチ！一方その頃のキャラBは何をしていた？からの前回のラストへ繋がっていく感じ。好きですね！

過去を話す時の声がめちゃくちゃ優しくなってて……絶望したフローを慰める為に自分の傷を差し出してるようでその優しさに泣けてしまった。ちなみに初見の時は「本当の絶望はお前が感じている程度のものじゃない」的な怒りを感じた。(ひょっとしたらフローが悲しんでいることに対する苛立ちだったのかもしれない……？)病院から回復した後のやり取りも思いやりに満ちてて……幕が下りるギリギリまでしてる芝居が良かったな。

ラスト、こんな離れ難さ伝わるキスシーンある！？って感じで(良い意味で)長く感じたキスだった。一人になって泣きながら笑おうとするグレイの顔面から得られる情報量と栄養素で情緒の乱れが酷い。助けてくれ。
複数回観てると流石にリプライズも分かってくるので最後のグレイのソロが1幕終盤で2人で歌った曲なのほんと……。サムシング・フォーといいリプライズの味が凄い……切なくも美味……。おかわりちょうだい……。

〈谷原さんフロー〉
歌が……歌が上手い！個人的に馬車の場面のラストの真顔がコメディ的な意味で凄く好きです。あと絶望しますからコントの後の「ああ急がなきゃ！」も面白くて……！
ちょっとネガティブな話なのですが、今回(あと何回か前に観た時も)歌い出しとか台詞の出だしで噛んで(？)しまうことが何回かあって……ご本人の調子の問題なのか脚本なのか音楽なのか演出なのか、原因突き詰めてブラッシュアップして欲しいなと思います。
四季に限らず、何年もやってる演目ではこういうことあまりない(逆に言えば新作でトラブルはまぁまぁある)と思うので、新作の宿命だとは思うんですけども、台詞は観客が現実に戻ってしまうし演出で止めた言葉すら「またミス？」と思ってしまいかねないのでなる早で対策頼む。
生の舞台って小さいトラブルは多々あると思うし、それを如何にも演出であるかのように対処するかってちょっと楽しみだったりします。今回もグレイのリボンタイが剣に絡まってしまってそれを挑発みたいに指でピッと弾いてたのめちゃくちゃカッコよかったので……！！
以前瀧山さんのホールの椅子が壊れた時も瀧山さんの演技が巧みで普通に演出だと思ったので舞台俳優さん本当に凄い……(お怪我無くて良かった)。

〈平田さんボブ〉
指差しがもはや芸でみんな笑ってしまう。ラストも周囲の観客が泣きながら笑ってるのでこの芸は末永く続いて欲しいな。
少ない場面ながらグレイとの悪友感出てて良いな……！

終演後に「今のお時間の写真撮影はご遠慮ください」というアナウンスが流れていた。あんまりにも美しい光景だから気持ちは分かるが駄目なものは駄目だぞ！