感想◆ゴースト&レディ5/6昼(初日)
ネタバレだらけだよ。ミュージカルのオタクとしてはヤッター!で原作のオタクとしてはうーん?という気持ちをまとめてみました。トータルとしては劇団四季ありがとうの気持ちですよ。
※私は複数回観ないと消化出来ないタイプなので、あくまで5/6時点での感想です。
◆演出
小さい仕掛けも大きい仕掛けも面白くて、舞台オタク的にはもうこれで観る価値十分。チケ代の元が取れる!!爆発音苦手な方は序盤からご注意。
劇場の謎の顔の数々は笑うところか迷った。馬車からグレイ飛んでいくのは驚くけど楽しかった!
同じ舞台装置が劇場にも病院にもなるの凄かったな……。
グレイの過去が影絵と思いきやいきなり実体化してグレイ(幽霊の姿)とバトンタッチする演出……こういうの好き〜!!!
ラストのランプがあまりにも美……。
シャーロットのパトロンがオペラ座の怪人にしか見えないんだけどパロディと見做してよろしいか?
◆音楽
♪行こうクリミアへ行こう
はリプライズもあって印象的なナンバー。
曲はまだ未消化過ぎて「よくわからんけどスゲェ」くらいしか感想出てきません。フローの絶望の絶唱、最高。
◆脚本(構成)
……ここが、原作のオタクの厳しめの感想。Xや新聞記事、パンフレットで察するに藤田先生と四季はちゃんとコミュニケーション取ってるので原作者がご了承した上での変更なのだと思います。
なのでこれは面倒くさいオタクの個人的な感想です。がっかりポイントもあったけど、冷静になってみると「舞台化」する為には適した改変だったよなとも思います。
原作における、死にたがったフローが人々を助けて、その人達から「生きて!」って言われるのが最高のカタルシスなのでは……?そこ削っちゃうの?まぁグレイとフローのラブにフォーカスあてたらそうなるのかな?フローは原作よりだいぶ弱い女。原作が超人過ぎる(好き)し、多少の弱さを見せた方が観客が共感できるのかも。
私は原作フローの一度覚悟キメたらグレイが消えるまで絶望しなかったとこ好きだったけど「ついていけんわ。貴女の元カレと結婚するね!」されて死にたくなるのがこう……一般人として大変共感するけど「原作のお前はそんな女じゃないだろ!?あのガンギまった眼を見せてくれよ!!」が先に出てしまった。襲われた時に自力回避しないのはまぁわかる。生身の人間が演じるにあたって一歩間違えると批判ありそうだし。あれは原作が超人過ぎる(大好き)。
原作のグレイが序盤にちょいちょい「絶望したか?」確認してくるのは、生身の人にやられたら「うるせぇな?!」ってなるので舞台ではあの程度でよいかも?でも原作ではあの繰り返しが後で落ち込んでるフローへの「絶望したか?」に繋がってくので藤田和日郎先生伏線回収の天才。
ボブもなんかこう……黒人の紳士やシェフがいないので存在感薄かった。
一兵卒もなんとなく良い人になっちゃって、毒気足りないなーと思った。命令に従うだけの兵もいなくて、フローが戦争について叫ぶとこもカット(多分)で、戦争で酷い目にあった兵達の描写も薄めで。色々と地獄が足りないからフローが来て病院改革に戦ったことで(そもそも戦った描写も薄く感じた)どれだけ良くなったのかピンと来ないよ。良くなったことだけ並べてもなぁと思ってしまった。
フローがグラフとか出すのは史実!って感じで良い追加。
グレイの過去出すタイミングが遅いので、フローが「誰も一人にはしない」って決意する動機にならなかったのが……個人的に最大の未消化。
原作とは違うオリジナルの設定として「ゴーストは人を殺したら自分も消える」というのがあって、話に緊張感出て良かったなと思った。これで原作では読者に想像が委ねられたデオンの動機がくっきりしていいなと。原作で「デオンはホールの部下でも無いなら一人でさっさとフローを殺しにいけばいいのでは……?」と思ってたところがあったので
、殺したら自分も消える、幽霊が攻撃したらその分霊気が減っていく、という舞台独自設定が凄く効果的だと思った。高橋先生辻褄合わせ(というか物語を整頓する)の天才か……!?
あとフローが生霊見えるのも生まれつきじゃなくて神の言葉以後なのも(多分ボブも臨死体験以後に見える人になった感じ?)話がスマートになって良かったな。
学芸員さんはいないだろうなと思ってて、やっぱりいなくてがっかりしたけど、グレイが我々観客に話しかけてきたので「なるほど……我々は学芸員さんであったか……」と思った。
グレイも「自分で芝居を作ってみたい」という動機が生えてきて、より「舞台だね!」という感じになって良い改変だと思った。
デオンもはっきり女性にしたので「そうきたか!」という感じだった。でもこれで存在意義とかはっきりしたので舞台化に関していえば良い変更なのでは?
生霊関係が必要最低限になったのは随分思い切ったなと思った。これ「生霊どうやって表現するのーっ!?」ってワクワクしてた人はしんどいかも。個人的には生霊はバトルを活かす装置なので、まぁ舞台化にあたって要らないといえば要らないな……。ちょいと残念だな…くらいです。
原作ではかち合い弾だったアイテムがランプになったのも、史実を踏まえて再編成が巧みだった。ラストの演出と相まって凄く素敵だったし、看護師としてのフローの人生がとても上手くまとまったと思う。
こう、弾丸からランプに変わったところからして、地獄控え目の美しい物語になったのだなと納得。舞台という、生身の人間が演じ、観客は漫画読む時のようにページを戻すことも出来ずに強制的に進んでいく儚い文化には、伝わりやすさってかなり上位にあるんだろうな。途中で客が飽きたら困るし。展開がサクサク進むのも良かったな。
◆フロー
脚本のとこで触れたので手短に。
絶望の絶唱が最高だったよ!(2度目)原作の覚悟の瞳は歌声で表現している。
◆グレイ
歌うし戦うしコメディも狂言回しもやるしでお疲れ様です!!!凄い好きです!!!原作ほど飄々とはしてなくて切羽詰まってる感じがしたけど「生身の人間がグレイやったらこうだよね!」と思った。
個人的に原作のグレイは最終的に生きる者全てを讃えてるような印象を持ってたので、なんかこう、恋愛に終始してしまった感ある。
余談ですが、私はグレイ客席降り席のチケットを持っております!!
◆デオン
1幕ラストにチラッと出ただけで客の心を掴む……!!お声が中性的でめちゃ良い……!!背後から聞こえてくる声もビビる。良い。
謎のソロダンスもめちゃくちゃ良い……美……。ラストバトルのグレイと戦って背中合わせになるとこめちゃくちゃ格好良くてですね……次のパンフで写真載せてください!!!!!(※稽古着姿では載ってる)言葉にするの難しいけど、まあ!とにかく!素敵だったので!!デオンでチケ代にお釣りがきます!!!
原作と性別が違っててびっくりしたけど、ちゃんと理由があるので舞台版ではこうなのね、って納得できる。
◆ホール
残念な歌上手おじさんになってしまった。いや、もともと残念なおじさんだったけど、ラストバトルはもっと……こう……欲しかったな。彼なりに足掻いて生きてる的な描写は原作とは別にご用意されていたのでそこを次観る時に噛みしめたいと思います。何故原作と違って人間を殺せないデオンと一緒にいるのか、という理由も一応説明されててよかった。
カテコで両腕広げたグレイに抱きつくフローも、フローの指ハートに付き合わされるグレイもめちゃくちゃ可愛かったです。
次の観劇も楽しみだな!!!
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