黒博物館シリーズ原画展トークショー(10/25第2部)
黒博物館シリーズ原画展トークショー(10/25第2部)行ってきました!写真撮影OK、SNS投稿OKということで備忘録として書いておきたいと思います。メモも無く記憶だけを頼りにしているため、不十分な点や間違った点が多々あると思います。あらかじめご了承ください。(補足、訂正頂けると嬉しいです)
※レポ禁止とは言われて無いのですが、もし問題があったら削除します。
到着順に整理券を頂き、入口前で列になって入場待ちをしていたら藤田先生が出て来ました。ッヒョッ…!と息を飲むオタク達を前に先生は「おお!また後でね!」と気さくな感じで去っていかれました。
待機している時にスタッフさんから「先生への手紙や差入は今預かります」と言われて「差入出来たんだ?!」と初めて知ったので、これから行かれる方はご検討ください。
スリッパに履き替えて支払い(※現金不可)記念のカードを頂いて2階へ。感想ノートがあるので自由に書き込めます。入室後スタッフさんから説明。先生がいらっしゃるまで二部屋ある展示室の物は好きに見ることができました。
先生が入場。「自分が使えないインターネットを駆使して来てくれてありがとう。20人という少ない人数ですが、建物が古いのであんまり多いと床が抜けるそうで、それなのに人数増やせとは言えなかった。トークショーと言っても俺だけが話すのもなんなので、俺は皆と話したいので自由に質問してください。黒博物館以外の質問もどうぞ」(ここで喜びにどよめくお客たち。最初は一人一つの質問でしたが、質問が無くなると2回目解禁になりました)
事前に先生はこの位置に立ちますよ~というアナウンスがあったんですけど、最初の質問が隣の部屋に展示されている絵についてだったので「先生が確認のため移動→みんな付いて行く」という状態になり、隣室でテーブル挟んで先生を囲む配置になりました。
<以下先生とのQ&Aなるべく出た順にしたつもりですが自信無いです>
Q月光条例はなんでアニメ化しないんですか?
Aなんでだろうな~~~!願ってくれてありがとうね!
Q健康法、好きな食べ物
肩腰の痛みは筋肉が無いからといわれたのでたま〜にジム行ってる。あと鍼灸。鍼灸の先生を仕事場に呼んでアシさんにも鍼灸してもらったら独立した元アシ達が羨ましがったので呼んで鍼灸大会になった。眠気覚ましにコーヒーはよく飲んでる。夜中のカップラーメンはやめろ!
Q黒博物館シリーズは1巻→2巻→6巻と増えてますが、今後出るとしたら増えますか?
A俺は減らそうとしてる!巻数少ないと舞台化してくれるしね!?少年誌の方はちょっとずつ巻数減ってる。「双亡亭壊すべし」は最初からずっとブレーキ踏んで描いてた。身内には毎回「今回は10巻で終わる!」と宣言している。三日月は長くなったな~バトル描くのが好きだから!
Qコラボ眼鏡買いました。またこういうコラボしてください。
Aコラボ企画は俺から提案するわけじゃないからな~。眼鏡の時も「絵を描けばいいのかな」と思ったら俺が使いたい眼鏡ってことだった。アニメ化の件もだけど、色んな話が来て実現したりしなかったりする。まぁもし今後コラボ商品が出たらそれは俺も愛用する一品です。
Q劇団四季の舞台とても良かったです。オリジナルキャラクターは先生の中に落とし込まれてますか?
A高橋先生と何度も話し合って納得してる。自分の絵として描けるかっていうと……。あ、でもアレックスは描いたことがある。観劇の後、前からアレックス役のペさんが歩いて来て「先生のイメージのアレックスを描いて頂けませんか?」って言われて描いた。だからアレックスは自分のキャラとして描ける。あのくるくるした髪の毛ともみあげの感じ。
俺の中で譲れないことの究極は「面白い」ことなんだよな。じゃあ何が面白いのかというと「納得する」こと。このキャラクターはこういう奴だからこういうことをして物語としてこう動く、という感じ。
Q双亡亭壊すべしに「やはり観世喜正の土蜘蛛だよ」という台詞がありますが、能がお好きなんですか?
A実は観たことなくて。としま能の会で絵を描かせて貰う機会があって。俺の絵で良かったのかなぁ……。受け取って貰えたからいいのかな。恐縮した。
Q(申し訳無いのですが質問内容を失念しました。この質問で先生は突然フローのパネルを裏返しマッキーで絵を描き始めます。オーディエンスは沸いた)
A(シュワルツさんが来訪された時に?描いたフローの絵)コレSNSに上がってるの見てなんか気に入らなかったんだよね。フローは髪のふわっと広がったところを描くのが好き(と言ってフローの修正を始める)。あと目の下のクマも大事。(ここで隣の部屋からグレイのパネルを持ってくる)とらも髪の毛(1部で描いたとらに書き足し)のかくっとしたところ。眉毛でわかる潮(と言って潮を眉毛から描き出す)鳴海は(といって鳴海を目から描く)頬(顎)のカクッとしたとこ。こうやって俺は各キャラに好きなところがあるわけですよ。
Q子供のころから藤田先生の作品と劇団四季が好きでした。有り難うございます!
Aそれは劇団四季に言いなよ!舞台、本当に良かったよね〜!俺も感謝したい人がいっぱいだ。
Q先生が「滅ぶべし」と思っている漫画家はいますか?島本先生以外で。
A島本って島本和彦か~!?いやでも、あだち充先生?高橋留美子先生?青山剛昌先生とかもちろん島本和彦も!面白い漫画描いてる人ってさ、結局ファンになっちゃうんだよ~だから滅べとは思ってない。……ひょっとして俺と島本はライバルなのか?!
Q久米田康治先生は?
A実は新人の時、武者さんっていう同じ担当だった。だから俺達ふたりそろって武者さんからチェック貰ったりした。サンデーって昔は(今は不明)新人が集まってネーム描く部屋があってそこでポロッと面白いこと言うんだよ!俺全然違う原稿描いてるのに興味惹かれて大変だった。ちょっと前も一緒に飲んだりしてた。あいつは大分俺に気を使ってくれてると思う。(不二田勝日郎)毛がふさふさだし。
Q藤田作品は人殺しは必ず死んでる。エルシィは人を殺したのに生きてるのはなぜ?
Aエルシィは最初に死んでる。生まれ変わったってこと。彼女には幸せになって欲しかった。悪いことしたヤツは報いは受けるべきだと思ってるけど「必ず死ぬ」って俺から言ったことあったかな?まぁ漫画家なんてルールを作ってしまうと窮屈になってしまうので。いい質問だった!有り難う!
Q黒博物館シリーズは青年誌ですが、少年漫画と違ってここは気合い入れるぞ!というところはありましたか?
A毎回緊張してた。子供は上を向いてるけど高校生くらいから斜めに構えだして大人は負けてる人が多い。そういう人達を取りこぼさないようにしたかった。あまり熱血だと負けてる人達に届かない。ウォルターの台詞ももっと熱血だったけどあそこにいる優秀な編集さんが「大人は恥ずかしがってしまいますよ」と言って「そっかあ…大人って恥ずかしがるんだ…」ってなった。
邪眼は月輪に飛ぶの時に「大人はあんまり詰め込むと疲れて読めません」と言われて「詰め込めば詰め込むだけいいもんじゃないの!?」ってびっくりした。だから余白は多めにしてる。
Q藤田先生の描かれる女性は強くて素敵でどこか母的なものを感じます。
A女の人の「受け入れる幅の広さ」に男は敵わないなと思う。三日月の時にもシスターフッドだなんだと言われたけど、俺は男だ女だより「いいヤツかどうか」だね。このいいヤツっていうのはどんなにみっともなくても一生懸命かってこと。
少年漫画家だからマッチョ思考だけど、女だから守るじゃなくて、子供も年寄りも守るヒーローであってほしい。
<以下は「どの質問の回答かは忘れたけど記憶に残っている藤田先生のお言葉です>
集中力なんて無くて当たり前。
漫画を描く時にメディア化目指して描いてない。可愛いキャラ達だから注目して貰えるのは嬉しい。でも俺は結局漫画描いてるのが一番楽しい。
なんで売れないんだ、はダメ。黒いものが育って白面になっちゃう。俺だって退治漫画描いてるのになんで鬼滅みたいに注目されないんだ!?ってのと同じ。
スプリンガルドなんて装丁が恰好良かったから売れたんじゃない?
からくりサーカスは伏線回収に4年かかった。「勝!」ってなってからその勝が1年出てこないとか。編集さんもやりにくかったと思う。このキャラ人気あるから出番増やしましょうなんていうのが出来ないし。
「俺みたいな人間になれ」だと子供の俺は納得しない。「我を讃えよ」というキャラより丸太の舟を必死になって漕いでる人間の方がかっこいい。
あの星綺麗だよな!みんなもそう思うだろ?!という気持ちで漫画を描いてる。自分がかっこ悪い奴だからいい奴に憧れる。憧れが原動力。男女関係なく「いい奴」に憧れる。
<トークショー後>
藤田先生を囲んで写真撮影。藤田先生が廊下に出て一人一人に握手をして見送ってくれました。
<感想>
藤田先生…本当に藤田先生だった。こう、各メディアや漫画家のネタにされてる姿のまま。少年漫画的な熱さを人間力で覆って楽しい適温にしてくれて我々と接してくれてる感じ。私は事前に藤田先生の著書「読者ハ読ムナ(笑)」を拝読していたので、ちょいちょい「進研ゼミで習ったところだ!」という気持ちになりました。ムクチキンシの漫画家しゃべりが上手い。
質問した相手の目をしっかり見てくれて答えてくれるし、握手の時に質問した内容に触れてくれたりとか、私は舞台のゴースト&レディのTシャツを着ていたのでそれを見つけてくれて「嬉し~!」って仰ってくれて…めちゃくちゃ嬉しかったです。先生の人間力が凄い……。なるほど漫画家に好かれる漫画家……。
作者と作品は別物として考えてるけど、大好きな数々の作品の作者が藤田先生でめちゃくちゃ良かったなと思います。感謝。
編集さんを拝見して「この人がゴーストアンドレディの舞台化に尽力してくれた、私が菓子折りを贈るべき人達の一人なんだな…!」と思いました。