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自作語り・軍師イレフェスの最後のあやまち

最新作の自作語りをさせた頂こうかと思います。

あまり、自作語りするのは好きではないのですが、たまにはします。後書きみたいなものだと思って頂ければと思います。

だいたい、私は、お話しのネタをメモして居るのですが、この時のメモが『特攻に行く前日夜に抱かせてくれと言われました』というものでした。

これ、男女だったら完全に悲恋モノでベタですよね。
うっすらと好き合っている二人。
特攻する兵隊さんが訓練している基地と、そこで働いているか、出入りして居るお嬢さん。
明日作戦に選ばれた青年が、一晩だけ、思い出が欲しいと彼女に申し出る……。
彼女と過ごした夜の余韻を振り切るように特攻して帰らぬ人となる。

ベタです。
ただ、100人いたら89人くらいは好きそうなお話しですね。
そして、私はそのお話が嫌いな11人の方の人間なのです。

それで、考えました。
男女ではなく、男性同士ではどうかと。
そうしたら、上記の筋書きは、そんなに変わらなかったですね。もうちょっと、『お国のために行ってくる』系のお話しにはなりましたが、あんまり好きじゃない。
それにさすがに、太平洋戦争の時の特攻隊を使うのは、あまりにも配慮がないし、さて、ネタ自体を諦めるか……と思った時、不意に思いました。

「これ、抱かせて欲しいと言われたのが、その作戦を立案した参謀とかならどうだろう」
多少の罪悪感は抱くだろうか。

そこから着想して、さすがに舞台はファンタジーに変えました。
ただ、世の中には、特攻隊以外にも、自爆系の作戦というのはありますので、軍師としては禁じ手だけど、にっちもさっちもいかなくなって作戦を上申したということにしました。
そう言うことをする若手の軍師であるならば、野心があるはず。
なぜ野心があるか。
身分制度がある世界で、上を目指すには、戦功で成り上がるしかない。
だから、功績が欲しかった。
その為にならば、多少、犠牲が出ても良かった。

そうすると、この軍師は『顔が見えない相手』にだから、好き勝手『死んでこい!』と言えたわけです。
ところが、相手の顔を知ってしまったら、どう、するだろう。
そして、この軍師は戦後をどう生きていこうとするだろう。

というわけで、プロットを立てていきまして、今のお話しになりました。
当初予定、30枚くらいのお話しになるかと思いましたが、蓋を開けてみたら、120枚くらいのお話しになりました。

地味なお話しですが、個人的には、とても気に入っています。
よろしかったら、読んでやってください。


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