太陽の照る昼下がり
コーヒーの気分じゃないから握りしめた100円の使い道は甘いジュースにした。
タバコに火をつけて閑静な公園のベンチへと腰掛ける。タバコを吸い終わって脱力感が私を抱き,左手に余した500ml缶が傾くのを制御出来ない。80円分程が無意味に地面へ零された

何が起こったか認知は出来た
だけど脳が理解するまでのタイムラグに
小さな蟻たちが群がってきた。

靴のソールも浸りきらない水溜まりに
首を延ばし器用に運搬作業を続けている
暫くすると一人二人と際から足を滑らせて
ぷかぷか六本の足をバタつかせている。

彼らにとっては大きな池や沼の類いだった
どれ程天に手を伸べても報われない彼らの頭上に重く私の足が伸し掛る

稚拙な3歳児の私が今に重なり
純粋で無垢であるが故に残虐で非道
それは承知の上で衝動が抑えられなかった

コレからの一生苦しみや悲しみに喘ぎ踠いて
無慈悲な条理に苛まれ続けるくらいなら
幸せを知ってしまって,離脱症状によるコレ以上の地獄を味わう前に殺して欲しい

蟻たちの訴えが自分の欲望の様に幻聴として聞こえてくる。

だから蟻たちの骸を私は力の限り踏捻じって
彼らは公園の一角にある砂場の風景と同化した。

私はここに何時間居たか忘れてしまう程
淡々と時間は流れて明日を迎える。
そして変わらぬ日常が続く

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