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肉じゃがの世界

玄関のドアを開くと
そこは、肉じゃがの世界だった。
リビング、階段、寝室にいたるまで
この家は肉じゃがに満たされている。
興奮した黄色い雄叫びが
そこらを駆けまわる。
キッチンで彼女が奏でる音楽は
心地よいリズムだ。
さあ、子供たちよ。これから、
それを胸いっぱいにいただくのだ。
君たちは知っているか
この味が、体にしみわたることを。


詩集「この上なく美しきもの」(2008)
初公開作品
©︎2024九竜なな也

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