川瀬あやめさんとすごす最後の3ヶ月 その②
10/29 スタプラアイドルフェスティバル~秋の新曲収穫祭~
前回(2023年1月14日)から年をまたがずに開催された4回目のスタプラフェス。会場は前回と同じ横浜アリーナ。あやめちゃんにとっては人生最後の大箱でのライブとなる。
とはいえこれはあくまでスタプラ全体のイベントだから、あやめちゃんの卒業ということがことさらクローズアップされることは無いと思っていた。12月の卒業ライブや来年1月の新体制初披露ライブの告知に絡めてさらっと触れられるぐらいだろう、と。あやめちゃんにはこの日を目一杯楽しんでほしい、あわよくばももクロさんたちにukkaのライブを見てもらえるといいね、ぐらいに思っていた。しかしその予想は、いい意味で裏切られることになる。
この日私の席は幸運にもセンターブロック(通常のアリーナやスタジアムで言うところの「アリーナ席」)だった。しかも会場に着いて自席を探してみたらびっくり、センターステージから5mと離れていない、限りなく最前に近い席。人生でおそらく2度と当たらないレベルの神席だが、ここがただの神席ではないことを後に知ることになる。
さて、今回のスタプラフェスは、1つのグループがパフォーマンスした直後にくじ引きで次の出番のアイドルを決めていくという、「アイドルたちにとってもスタッフにとっても負担の大きい」(MCのゴボウこと吉田尚記アナ談)試み。初手でいきなりももクロが引かれたのもミラクルなら、前回のスタプラフェス(事前にくじ引きで全グループの出番が決められた)でトップバッターになったエビ中が今回はトリというのもまた出来すぎていた。やはりアイドルとして長く続けている人たちというのは、こういうところで「持っている」ものなんだな、と思わされた。
ukkaはトリ前の9番手だった。8番手のAMEFURASSHIが終わり、愛来さんが次の出番を決めるクジを引くときには、ここまで来たならukkaにトリを飾ってほしいという思いと、でもやっぱり大部分の観客の期待はエビ中がトリを飾ることなんだろうなという思いとが交錯して複雑な気持ちになったが、結果として引かれたのはukka。かつて妹と姉という関係だった2グループがこうしてトリ前とトリを飾るというのも、今思えばアイドルの神様(そんなものいるのか?)がシナリオを書いたかのようだ。
ともあれ、いよいよ始まったukkaのライブに一気に気持ちが高まる。「新曲収穫祭」の名の通り、各グループが1曲ずつ初披露曲をパフォーマンスするということになっていた今回のスタプラフェス、ukkaは1曲目に初披露曲『Rising dream』を披露した。爽快で疾走感のあるロックチューンというのが第一印象で、りじゅちゃんの〈Wake up!〉の力強い一声から始る歌い出しや、もあちゃんのフェイクが印象的だった。
2曲目は必殺の沸き曲『エビ・バディ・ワナ・ビー』。この日自分のまわりのお客さんたちはどのグループに対しても比較的大人しかったのでちょっと気後れもあったものの、ここで騒がずしていつ騒ぐのかと思ってやらせてもらいました。〈We go!〉を合図に大サビでメンバーがメインステージから目の前のセンターステージに移動してきて、3曲目『AM0805の交差点』は、全編がこのセンターステージでパフォーマンスされた。
この席はただの神席ではなかったと書いたが、その理由は「0805」の大サビ、あやめちゃんの最大の聴かせどころである〈君のママのカレーのレシピを覚えたい〉のときの立ち位置が、まさに私の超至近距離だったことにある。
5m先で歌うあやめちゃんの声が、PAを通じて広い横アリ一杯に響き、1万人からの観客のもとに届いている。それを目の当たりにした瞬間、一気に涙腺が崩壊してしまった。この日私をこの席に導いてくれたのもアイドルの神様だとしたら、それを信奉する宗教団体に私は今すぐ入りたい。
4曲目、ukkaとしてのトリは初披露曲ではないが出来たてほやほやの新曲『ティーンスピリット』。この曲と、冒頭で初披露した『Rising dream』、どちらも爽やかでノリがよく、ストレートに盛り上がることができる曲たちだ。他にもこれから発表されるであろう新曲たちと紡ぐukkaのストーリーがますます待ち遠しくなる、そんなステージだった。
トリをエビ中が貫禄のパフォーマンスで〆ると、スタプラ全グループ・全アイドルで歌いつなぐスペシャルメドレーコーナーへと突入した。グループ間混成のシャッフルユニットによるパフォーマンス、グループ編成はそのままで他グループの楽曲を披露するカバーパフォーマンス、それらが入れ替わり立ち代わりノンストップで展開される様子を味わうには、ゴボウ氏も言う通り完全に「目が足りな」かった。
ukkaは、AMEFURASSHIの『Tongue Twister』を披露した。これもセンターステージでのパフォーマンスとなり、あやめちゃんのバチバチにかっこいいダンスを至近距離で見られたことは幸運そのものだった。沖縄でfishbowlの『熱波』をカバーしたときもそうだったが、歌にしてもダンスにしてもukkaのレパートリーには全く無いタイプの曲であるにもかかわらず、その完成度の高さに驚かされた。まあるりちゃんは早口言葉に失敗してたけど(笑)、そういうことあるのもまたこの曲の楽しみというやつだろう。
ちなみにukka曲は『恋、いちばんめ』(ばってん少女隊によるパフォーマンス)、『それは月曜日の9時のように』(あやめちゃんを含むシャッフルユニットによるパフォーマンス)が披露された。
そしてここからがこの日の私的クライマックスだった。
エビ中の『オーマイゴースト?~わたしが悪霊になっても~』に続き、スペシャルメドレーのフィナーレを飾るべくももクロの『行くぜっ!怪盗少女』のイントロが流れる。メインステージに目をやるとそこに立っているのは当然ももクロの4人…と、その中心に立つあやめちゃん!!その姿を私の目が捉えた瞬間、あまりのことに思わず天を仰いだ。しかも曲冒頭の、普段なら「Yes! Yes! We're the ももいろクローバー れに かなこ しおり ささきあやか」と叫ぶところが「Yes! Yes! You are the ももいろクローバー れに かなこ しおり ささき あやめ」にアレンジされ、それに続く落ちサビ〈無限に広がる 星空よりも〉をあやめちゃんがソロで歌い、その間会場中に散らばった全てのスタプラアイドルたちからのケチャを一身に受けるという破格の演出つき。
あやめちゃんがももクロになっている。ももクロのセンターに、全スタプラアイドルのセンターに立っている。夏菜子ちゃんを始めももクロの一人ひとりと、この時間をゆっくりと味わうように顔を見合わせながら歌っている。そんな風景を見せられたら、もう緑のペンライトをステージに向けて掲げたまま涙する以外のことは何もできなかった。この怪盗少女で感動しすぎて、大トリのWe Are ”STAR”のことをほとんど覚えていない始末。
今回のスタプラフェスでは、これまでのようにシンデレラを決める趣向は無かったが、参加したオタク一人ひとりの中に、それぞれのシンデレラが生まれたことだろう。私にとってのこの日のシンデレラは、間違いなくあやめちゃんだった。
ももクロに憧れ、ももクロになるためにアイドルになり、ももクロのいるスターダスト以外で芸能活動をするつもりは一切無いと言い切るあやめちゃん。そんな彼女にスタプラが用意してくれた粋な計らいに最大の感謝を捧げたい。そして、必ずしも川瀬あやめやukkaのファンばかりが集まったわけではないこの場所で、一夜限りのももクロセンター・川瀬あやめがあのように暖かい拍手と歓声でもって受け入れられたこと。それこそがあやめちゃんが8年以上頑張って手に入れた栄誉そのものであるような気がした。
ももクロになれたね、あやめちゃん。
11/3 スタプラ研究生リリースイベント@ららぽーと立川立飛
ukkaへの加入が発表された宮沢友ちゃんと坂井小春ちゃんが現時点で所属するのがスタプラ研究生。そのスタプラ研究生が初めてリリースするオリジナル楽曲集(Mカード)のリリースイベントがあるということで、行ってきた。
「ukkaに入るという2人の実力はどんなもんじゃい」という偵察の下心が無かったとは言わないが、それを露骨に出すのはいい大人のオタクがすることじゃない、というわけであくまで「スタプラフェスでパフォーマンスを見て気になった一人のスタダオタク」を装って(笑)、会場であるららぽーと立川立飛へと向かった。
3B juniorの初期曲『ダイビング』、いぎなり東北産のスマッシュヒット『わざとあざとエキスパート』など、スタプラ楽曲のカバーが見られるのは研究生ならでは。研究生初のオリジナル楽曲で、私にとってはスタプラフェスで初めて聴いた『追い風とストーリー』は本当にいい曲。
パフォーマンスではやはりどうしてもukkaに加わる2人に注目してしまうが、小春ちゃんの歌い方は私の好みにめちゃくちゃ合っているし、友ちゃんのダンスと表情を大胆に使った表現は本当に中学生?と思ってしまうぐらい強かった。
特典会では4つのグループに分かれてのお話会があって、そのうち1グループが友ちゃんと小春ちゃんという組み合わせだったので、「はいはいそういうことね」と運営の配慮を察しつつも、ukkaのオタクだということはおくびにも出さずに「スタプラフェスとっても良かったので来ちゃいました、今日もすごく楽しかった!」というテンプレセリフを伝えるにとどめた。こちらが新規だと知ると2人とも元気よく自己紹介をしてくれた。微笑ましい気持ちになりつつも、つい「教育が行き届いてるなぁ」なんてことを思ってしまったのは、もう歳の差を考えたら仕方ないことかもしれない(笑)。
11/4 村星りじゅ生誕ソロライブ~Blue Star~、川瀬あやめ生誕ソロライブ ayamaison 2023 LAST
10月19日に21歳になったりじゅちゃんと、10月25日に22歳を迎えたあやめちゃんの生誕ソロライブが、11月4日に代官山UNITで行われた。昼の第1部がりじゅちゃん、夜の第2部があやめちゃん。
りじゅちゃんの生誕ライブは、持ち前のひたむきさ、まっすぐさに加え、これからは臆せず自信を持って表現をしていくんだという決意のようなものが伺えるライブだった。「これまではまだ自信が無くて歌えなかったこの曲を、今年は歌うことにした」と力強く宣言して『私は最強』(Ado)を見事に歌い切ったりじゅちゃん。その他にも、『BiSH-星が瞬く夜に』(BiSH)や『ジャンプ』(私立恵比寿中学)といった難曲たちに果敢に挑むそのパフォーマンスは、「これからのukkaを引っ張っていくのはりじゅちゃんなんだ」と自然と思わせてくれる頼もしさに満ち溢れていた。
そういえば、りじゅちゃんがMCで語ったところによると、セトリ候補となっていたが最終的に選外となったという楽曲にタイトル未定の『鼓動』があったとのことだが、いつかこの曲をりじゅちゃんの歌声で聴ける日が来るのを待ってます。その時には精一杯のシンガロングで応えるつもり。
そしていよいよ2部、あやめちゃん最後の生誕ソロライブ。
ぶっちゃけ、ukka6人の生誕ライブの中で「知ってる曲率」が一番低いのがあやめちゃんだ。今回のセトリで、ukka曲以外でちゃんと知ってた曲と言ったら『MajiでKoiする5秒前』(広末涼子)ぐらい。まあこれは私がももクロやハロプロをほとんど聴かないのが悪いのであるが(ちなみに「知ってる曲率」が最も高いのはぶっちぎりでるりちゃん)。それでも全く楽しさが減じたとは感じないのは、推し補正も多少はあるかもしれないが、やはりあやめちゃんが本物のエンターテイナーだということだろう。
途中に12分ものMCコーナーを設け、その時間をほぼ台本無しでファンとのコミュニケーションに費やすという大胆な試みを難なくこなしてしまうのもまた、あやめちゃんならでは。
「本編と同じぐらいボリュームがある」と予告されたアンコールでは、『みかん』(モーニング娘。)に続いて『みしてかしてさわらして』『タリルリラ』『エビ・バディ・ワナ・ビー』とukka屈指の沸き曲を畳み掛けてくれた。『タリルリラ』では一世一代の「お前が一番 あやめ!」に加えアウトロのガチ恋口上にも初めて参加した(笑)。
そして本当のラストとなる一曲の前には「みんな知ってる、私の大好きな曲を一緒に歌ってほしい」との口上があり、反射的に「もしや大阪LOVERか!?」と思ってしまった。同じことを思った前方のお客さんがあやめちゃんに「大阪LOVER?」と問いかけたらしく、「大阪LOVERじゃないよ!」と一喝(笑)するあやめちゃん。
ラストナンバー、全編があやめちゃんの声で歌われる『ラブパレード』は、ただ聴くだけでも至福。そこにオタクたちの、そして自分自身の声が重なって、この日この時に奏でられている全世界の音楽の中で、ここにあるのが間違いなく最も幸福な音楽だ、そう思えた。
11/12 HERE presents ハイテンションフェス2023、11/18 10周年だよ!ガワラまつり
エビ中++で共演した尾形回帰さんのHERE、『それは月曜日の9時のように』『ウノ-ウノ』をukkaに提供してくれたONIGAWARA。このタイミングでそれぞれの主催するフェスにukkaが出演したことは、まるであやめちゃんがお世話になった人たちに最後の挨拶回りをしているかのように感じられた。
ハイテンションフェスは、HEREをはじめ出演各バンドが「テンション上げてけ!」と煽りに煽った結果、ukkaの出番は普段のフェスや対バンと比べて決してお客さんの数が多くはなかったにも関わらず開幕から異様なテンションとなり、『リンドバーグ』のイントロにまでMIXが入るという思わず笑ってしまうような展開となった。この「少数精鋭」による高純度な熱狂はそう、あの真夏の沖縄ライブを彷彿とさせるものだった。あの瞬間のBLAZEの治安は、真上にあるトー横広場よりきっと悪かった(笑)。
その翌週はONIGAWARAの10周年イヤーを記念するガワラまつりの第1部「アイドルまつり」に参加。夢にまで見た『それは月曜日の9時のように』のONIGAWARAとのコラボをついに見ることができて、またひとつあやめちゃん卒業に向けた「積み残し」を消化することができた思い。
最後方からだったので、サティフォさんの隣で楽しそうに歌うあやめちゃんの姿は人の頭の隙間から覗き見る程度だったけど、その歌声からこの時間を最高に楽しんでいるってことは十分に伝わってきた。
11/23 『青春小節~音楽紀行~』リリースイベント@カメイドクロック
ここカメイドクロックのような音量規制がある会場において、音量計測と調整を担当しているスタッフさん、通称「デシベルさん」から、今回があやめちゃんとの最後の仕事ということで贈られた花束のプレゼントが、あやめちゃんのインスタストーリーに掲載された。
また、この日はレコーディングディレクターのオーノカズナリさん、STARDUST RECORDSの古市さんも現地を訪れていたとのこと。明には言及されていないが、おそらくこれもあやめちゃんへの最後の挨拶を兼ねていたのだろう。
こうして一つ一つ、積荷が降ろされていくようにあやめちゃんの身が「軽く」なっていくのを見るのは寂しくもあるが、その過程をこうして間近に知ることができるのは一ファンとして幸せなことだ。
11月24日、宮沢友ちゃんと若菜こはる(旧芸名:坂井小春)ちゃんの2人が新たにukkaに加わった。2人がukkaで過ごす日々が、楽しく充実したものとなることを願っています。
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