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【旅行記】関西・人形劇旅行⑥〜なにわ人形芝居フェスティバルその3〜

こんにちは。おおかみの人です。

今回のトップ画像は、くまさん本舗さんの【鬼のゴンちゃん一人旅】ののぼり旗とおおかみくん。




この記事は、なにわ人形芝居フェスティバルについて綴った観劇レビューの3つ目、そして関西人形劇旅行について綴った記事の6つ目となっております。
前回の記事はこちら。


人形劇団ココンさんの演目が終わり、わずかの時間で上演チームの皆さんとお話しをして、そのまま急ぎ足で浄國寺を後にする。

さっき来た道をひたすら引き返して、今度は一心寺の境内に戻る。
歩くこと約20分。横断歩道を渡り、坂を上ると、そこは一心寺の境内だ。

一心寺の桜は既に散り始めていて、
桜吹雪になっていた

境内には特設のテントが立てられていた。

上演の開始は12:15、境内になんとかたどり着いたのは12:10だった。
テント前には既に多くの子どもたちが群がっていた。この日はよく晴れて日が差し、じりじりと肌を焼かれるような暑さだった。確か、最高気温が23度くらいあったと思う。
結構歩いて脚が棒になっていて、暑さは正直こたえたが、それでもなんとか観劇することができた。


ここからは、くまさん本舗さんの【鬼のゴンちゃん一人旅】について振り返る。

写真がないので、まずくまさん本舗のホームページをちょっと見てほしい。

サイトの至る所に、黒衣姿でひげもじゃのおじさんと、赤鬼の人形が写っている。
このおじさんが、くまさんで、そのくまさんの相棒が、赤鬼のゴンちゃんだ。

サイト内の写真を見るとおわかりいただけると思うが、ゴンちゃんはとても、とても大きい赤鬼だ。くまさんの等身大ほどの身長があり、なかなかに迫力がある。
くまさんの右手がゴンちゃんの右手に、くまさんの両足はゴンちゃんの両足になっていて、まさにくまさんとゴンちゃんは一心同体。もはや、操るというより、変身だ。

ゴンちゃんには根強いファンが多いらしい。
アイドルのライブなんかでよく目にする黒いうちわを持って、応援しに来ている方がちらほらいらっしゃった。
つまり、それほどくまさんとゴンちゃんの人柄が素敵だ、ということだろう。いったいどんな方で、どんな鬼なんだろう?と、わくわくしながら上演を待った。

ゴンちゃんがやってきた!!

出てきて早々、観客席にいたお散歩中の犬に吠えられるゴンちゃん。
「こわくないのよ〜。でも、ワンちゃんがこわいって言うてる」
思わず笑いがこぼれる。

人形を介した、目の前の観客とのやり取りはやっぱり面白い。せせくらせにいた頃、わたしはいろんな人形劇の脚本を作ったが、特に学祭のまちかね祭での公演用に作った人形劇は、舞台を飛び出して観客の皆さまとの交流を楽しむものも多かった。
人形に近づかれて、怖くて泣き出してしまうお子さんもいたし、逆にノリノリの親御さんがいたり、話しかけられて恥ずかしそうにするお客さんなど…黒衣越しにいろんなお客さんを見た。
たくさんのお客さんが観に来てくださったが、皆さん人形劇を楽しんでいるのが伝わってきた。
…と、そんなことを思い出しながら、目の前のゴンちゃんを観ていた。

先程ご紹介したウェブサイトをご覧になったらお分かりいただけるのだが、赤鬼のゴンちゃんはとてもやさしい顔つきをしていて、普通イメージする鬼とはかけ離れている。
いつも笑っているからか、目は細い。それでもちゃんと見えているらしい。
ピンクのほっぺに太い眉、ちょこんと飛び出た一本角がチャームポイントだ。

ゴンちゃんは、岡山の鬼ヶ島からやってきた、陽気で明るい赤鬼だ。
なんと、こう見えて御年986歳だと言う。あと14年で1,000歳だ。
その昔、鬼ヶ島に鬼退治にやってきた桃太郎(桃ちゃん)に救われて、1,000年の命を授かったのだとか。

約1,000年の鬼生(おにせい)を生きてきたゴンちゃんにとって、桃ちゃんとのエピソードもまるで昨日のことのよう。そして、ゴンちゃんが今まで見聞きした出来事を「昔話」として語ってくれる。

今回ゴンちゃんが語ってくれたのは、ゴンちゃんが実際にこの目で見た【わらしべ長者】のお話。
ゴンちゃんの軽快な語り口で、わらしべ長者はどんどんすごいものを手に入れていく…。

ゴンちゃんの一人芝居は、まるで落語を見ているかのような楽しさがあった。テント会場をあちこち動き回りながら、時には大きな動きも交えたりしながら、楽しく愉快に物語が進んでいった。
暑いことも、歩き疲れてくたくたなことも忘れて、ゴンちゃんの語りを楽しんだ。

終演後は写真撮影の時間が設けられ、たくさんの親子連れがゴンちゃんの周りに集まっていた。
お邪魔してはいけないと思ったので、写真は少し離れたところから遠巻きに撮っていた。
掲載していいか許可が取れなかったのでここには今のところ写真は掲載できないのだが、写真撮影の時間の間もゴンちゃんはノリノリで、ポーズを決めたり、手を振ったり、お客さんと喋ってケラケラ笑ったりしていた。

やっぱりわたしは懐かしくなった。
せせくらせの人形劇では、基本的に終演後に人形とのふれ合いタイムが設けられていた。
わたしはオオカミの役をやっていて、口が大きく開く人形だったので、大きな口を怖がって泣き出す子もいれば、「こわくないもん!おりゃ!!」と、あんぐり開いた口をめがけてパンチを繰り出す勇敢な子もいた。
人形を目の前にした子どもたちの反応は様々で、それを見るのがまた楽しかったものだ。

ゴンちゃんの一人芝居を観て、なんだか懐かしい気持ちになったと同時に、たったひとりだけでもこんなに楽しい人形劇ができるんだ、と感じて、これからますます頑張ろう、という気持ちになった。
自分の人形劇はまだまだこれから作っていくところだが、たったひとりで演じても、観ている人が楽しんでくれるような劇を作りたいと思った。


くまさん本舗さんの【鬼のゴンちゃん一人旅】の観劇レビューはここまで。
読んで頂きありがとうございます。

次回は、シアター☆パペッテリアさんの、マリオネットのお散歩の様子、そしてその後に訪れた三千佛堂の【現代人形劇の100年】展について振り返りたいと思います。

次回もお楽しみに。それでは。

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