【旅日記】関西・人形劇旅行④〜なにわ人形芝居フェスティバルその1〜
こんにちは。おおかみの人です。
今回のトップ画像は、よろず劇場とんがらしさんの【てぶくろを買いに】のいち場面。
写真撮影の許可、SNS掲載は許可済です。
今回の記事は、第1回目から続く旅行記のつづきになっております。前回の記事はこちら。
⚠今回の記事は、人形劇のネタバレを含みます⚠
4/4追記
人形劇団ココンの山田俊彦様のご指摘を頂きまして、観劇レビューのあり方を再検討致しました。その結果、「公開を許可されたり、予め公開されている作品の情報以外の内容は、なるべく含まないレビューを書く」ということを決定いたしました。
ネタバレを書き綴り、それが製作者様の意に反する形となって傷つけてしまったり、それを読まれた読者や観客の皆様の楽しみを奪ってしまうのを防ぐためです。
今後は一層、皆様に人形劇を楽しんでいただき、人形劇を観る喜びを感じていただけるような記事作りに励みます。
さて。関西旅行も最終日を迎えた。
最終日の今日、4月2日日曜日には、この旅行最大のビッグイベントが待ち構えていたのだ!!それが…
【なにわ人形芝居フェスティバル】
である。
御堂筋線に乗って動物園前駅で降り、左手の大きくてちいさい通天閣に見守られながら、歩くこと15分。通天閣とあべのハルカスに挟まれたここは、一心寺界隈。近くには天王寺公園や茶臼山、てんしばがある。
1996年に始まった【なにわ人形芝居フェスティバル】は今年で27回目。各地から集まった劇団が、プロ・アマ問わず一心寺界隈に様々あるお寺や境内、シアター、公園、路上などでパフォーマンスを行う、大阪の人形劇の一大イベントだ。
わたしは学生時代に何度かこのフェスに来ている(観劇のみ)。普段は観られない劇団の人形劇を観られる絶好のチャンスということで、このフェスで今までたくさんの劇団の人形劇を観てきた。そしてそのどれもが、とても個性的なものだった。
今回のなにわフェスは、せっかく久しぶりに行けることだから、と欲張って、全部で6つの演目を観る予定を立てて臨んだ。のだが…。
なにわフェスは、1日だけのお祭りである。
その1日限りのお祭りに、たくさんの劇団が集まって、界隈のお寺で上演を行う。
パンフレットには地図も載っているのだが、「界隈のお寺だから、少し歩けば移動できるだろう」とたかをくくっていた自分が恥ずかしい。
昨日寝る前にどのくらいの距離を歩くのか確認するため、Google Mapを開いて愕然。
1番離れている演目の会場同士の距離を調べると、徒歩で20分もかかる!!
嘘だろ…待ってくれ。わたしのスケジュール的には、演目と演目の間の空き時間は30分。少しでも遅れたら、次に控えた公演が観られなくなってしまう!!
なので、今日はお祭りが始まる1時間も前に現地入りし、実際に1番離れた会場の間を歩いて、道順と時間を確認した。きっちり20分。界隈のお寺は道沿いの同じ側に固まっているので、迷わなかったのがよかった。
前置きはこのくらいにしよう。
今回の記事では、観に行った6つの劇団・演目のうち、最初に観に行ったよろず劇場とんがらしさんの【てぶくろを買いに】を取り上げる。
会場は、なにわフェス本拠地・一心寺境内にあるお堂【開山堂】。
決して広くはない会場で、キャパは16人、チケットは完売。間に合ってよかった。
わたしは10:15〜の回を観た。
とんがらしのなりたりょうじさん(りょうちゃん)は、愛知県半田市在住。半田市はミツカン酢の本社があるらしい。そしてこの半田市は、今回の演目にもなっている『てぶくろを買いに』の原作者、新美南吉さんの故郷だと伺った。
今回観た6演目のうち、ほとんどが一人芝居の人形劇で、とんがらしさんも一人芝居。
ちょっと変わった、ギターをそのまま人形劇の舞台にした劇だった。
人形劇の舞台となるギターには、さまざまな仕掛けが施されている。
冬山が舞台ということで、ギターに雪化粧が施されていたり、遠い街の灯りを、ギターのボディから離れたヘッドで表現したり。
ギターの表面に穴が空いていて、そこから小ぎつねが鼻先を覗かせたりするのがとても可愛らしかった。
他にもいくつか仕掛けがあるのだが…それは観てのお楽しみだ。
ギターの仕掛けの話はこれくらいにしておこう。
冬のある朝、小ぎつねは外を見て、目に何かが刺さったと訴える。母ぎつねは、それは外の光がまぶしかっただけ、と、小ぎつねを安心させる。ここから物語が始まる。
ギターの上に現れるのは、身長10cmほどしかないちいさなきつねの人形だ。愛らしいその姿に、思わず顔がほころぶ。
好奇心旺盛で、ちょっとせっかちな小ぎつねと、それを優しく見守る母ぎつね。
わんぱくな子どもの声から、深く包み込むような母の声まで、りょうちゃんの声は癒しだ。
ギターの丸みや形が、ちゃんと物語の中に生かされているシーンがいくつかあって、ほんとうに使い方次第でモノは生きるんだなあということを痛感した。
母ぎつねに、右手を人間の手に変えてもらって、白銅貨を2枚もらって街に出かける小ぎつね。
「シャッポの看板のお店…ない!」
ギターの雪道をあちこちを駆け回り、シャッポのお店を探す小ぎつね。なかなかお目当てのお店は見つからない。
そして、りょうちゃんが、とあることをすると…
「あった!」
お店の扉の隙間から差し出された小ぎつねの手は、左手。きつねの手だ。
母ぎつねに「人間は恐ろしい生き物だから、絶対にきつねの手を出してはだめよ」と言われていたのに、眩しさに目がくらんで…。
シャッポのお店のおじいさんは、白銅貨が本物だと確認すると、毛糸でできた赤い手袋をちゃんと渡してくれた。
帰り道、人間の母親が子どもに歌う子守唄を聴いて、急ぎ足で母ぎつねの元に帰る小ぎつね。
「人間はちっとも怖くなんてなかったよ」
という小ぎつねに、
「ほんとうに、そうかしら」
と、考える母ぎつね…。
ギターの弾き語りが素敵な本作は、最後も弾き語りで締めくくられる。
終演したけれど、あれ?10分ほど時間が余ってる!!
「もうひとつ人形劇を用意してまーす」
とりょうちゃん。
人形を連れてくる、と言って、連れてきたのは目と鼻と口があるゴミ箱。中には…
ん?メジャー?たわし??せんたくばさみ…??
いったいこの道具たちがどんな人形になるのか、是非実際の劇でご覧いただきたい。
そして一番最後に出てきたのは…折尺と目玉クリップのヘビ。
わがままなヘビは、神様にお願いして他の動物に姿を変えてもらうようお願いするのだが、果たしてなんの動物に姿を変えるのか??
くねくねと曲がる折尺一本が、さまざまに形を変えるのが面白いこの劇。まるでパントマイムかピタゴラスイッチでも見ているような気分で楽しめた。
ホームセンターで売っている折尺は、7節しかなくて、そこに2節付け足してこの演目をやっているんだそう。劇の終わりには、この折尺を作れるキットに脚本までついたもののプレゼント企画まであった。
りょうちゃんとのじゃんけんに負けて、折尺キットはゲットできなかったが、折尺ヘビを作って楽しんでいる子どもたちの姿を想像すると楽しい。
とっても愉快で楽しい人形劇だった。
時間に余裕があれば、なりたさんとお話してみたかったなあ、と思ったが、次の演目が始まるのは25分後、そして移動時間に20分かかることを考えて断念した。
とんがらしさんのレパートリーの中には赤ずきんもあるらしく、オオカミ好きとしてはいちど観てみたいな、と思った。愛知も遠いなあ…(涙目)
というわけで、よろず劇場とんがらしさんの【てぶくろを買いに】のレビューはここまで。
読んで頂きありがとうございます。
次回は、このあと観に行った人形劇団ココンさんの演目を振り返ります。
次回もお楽しみに。それでは。
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