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写真展 T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2024 備忘録

2024年10月27日に見た展示の備忘録。
東京日本橋周辺で開催されていた「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2024」というアートイベント?を覗いてきました。期間中にいくつかの企画展示やトークショーを街のあちこちの会場で行う、という形式のやつ。
以下、備忘録。


『くにをあるく』

この企画展示がいちばん好きだった。


特に、下道基行という人の「torii」と題された作品群がよかった。写真展をスマホで撮ってこんなところに貼るのは若干はばかられるが、台湾の公園で憩いのベンチとなっている鳥居(だったもの)の写真が一番印象的だったので見てほしい。

下道基行 キャプション(一部)
(ポストカードのようなものがあれば買いたかった)


姜美善  キャプション(一部)
姜美善作品
姜美善作品


上原作品
上原作品


「作品としての写真」というものは鑑賞のしかたがよくわからないなといつもうっすら思っているけれど、この展示の3人の作品はいずれもテーマが明確だった。
歴史を含んだ景色を切り取った作品は、ジャーナリズムに近い。というか当たり前にジャーナリズムそのものなのかもしれない。一見穏やかな風景の中に存在する強い文脈を写した写真を見ると、その場に立っていた撮影者の目線を追体験し、その景色が持つ歴史を見せられたような感覚になる。なるほど写真とはそういうことができるのか、と思った。


『その「男らしさ」はどこからきたの?』

元々目的にしていたのは、小林美香の『その「男らしさ」はどこからきたの?』という展示だった。
こちらは正直、うーん、という感じだったのだけどせっかくなので備忘録。(長くなっちゃった)

展示の半分は『「男らしさ」の広告観察』をテーマにしたもので、以前このアーティストが書いた同じテーマの文章を読んだことがあったので、そういう意味では新鮮さはなかったが、紹介されている広告の中に私の"推し"がいたのでちょっとおもしろかった。彼は中性的な雰囲気を売りにしている男性韓国アイドルで、もちろん化粧をして広告写真に写っている。
ちなみに私は「女らしさ」があまり好きではない女なのだが、メイクをしたり爪を塗ったりするような従来女性的だとされているファッションが男性にも浸透して、それらが必ずしも「女らしさ」の象徴でなくなることをとても歓迎している。おかげで、私は爪を塗ることへの抵抗感が薄らいだ。最終成果物である広告写真だけではなく、そもそもそれが生み出されるに至る文脈も含めて観察対象になるだろうと思うし、「男らしさ」の視点から切り取ることにあまり意味を感じなかった。


もう片方の展示は、映像を並べたもの。ひとつは日本各地の祭りの記録映像(褌一丁の男達が汗まみれでもみくちゃになっている様子がひたすら流れている)で、もう片方はスーツを着た5〜6人の男性たちがお互いのスーツをハサミでどんどん切って最後にはほぼパンツ一丁になる、という映像だった。それなりにおもしろかった。

最後には『資料編』として、ちょっと昔の(昭和あたりの)雑誌などが展示されていた。男性俳優がふんどし姿で写っているグラビアだとか、雑誌「薔薇族」だとか。
特にその展示の周りに女性表象の人たちが集まって、何人か(小林美香さんと展示を見に来た人たち)で喋っていた。あまり近くにいなかったので会話の内容はあまりわからなかったが、昔はあんな雑誌やこんな雑誌もありましたよね、とやけに楽しげに盛り上がっていたので気になった。どちらかというと、コンテンツの消費者に見えた。どういう人たちがどういう動機で展示を見に来ていたのか気になった。




ちなみに、貰ったパンフレットを改めて見たら、戸田建設(会場一帯は戸田のお膝元だった)と文化庁のなんたら振興基金と、あれやこれやが協賛で入っているイベントだった。会場で問われたアンケートの内容から想像するに、まちおこしというか、街のブランディングを目的に掲げているようだった。
色々金がありそうなわりに、展示のチケットが2,000円、トークイベントは別料金、という感じで結構金を取る。一方でギャラリーで案内に立っていた人はあまりイベントの全体像を把握していなかったりして、ちぐはぐな印象。
どうせなら、いいなと思った作家にお金を落としたいと思ったが、ポストカード等の販売はなかった。唯一あったのは写真をプリントしたアクリルキーホルダー。モノは良かったんだけど、5種類からランダムのガチャ方式だった。なんでガチャなのよ。

釈然としない部分もあったけれど、最初の展示を見られたのは私にとって収穫だった。写真、おもしろいね。
ちなみにこの展示の少しあとに姜美善さんの個展があったのでそちらにも行った。また備忘を書きたいと思う。

おわり

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