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真理子のリアル人生劇場 波瀾万丈〜第2話〜恋愛。〜

第1話〜初めに。〜の続きです。


リアルのあたしを知ってる人が聞いたら驚くに違いないが、あたしは人嫌いだ。

大人になってわかったけど、あたしの両親は児童虐待者だ。

あたしにとって人間として軽蔑さえしたそんな父と継母は地元の名士とその夫人で、その家を出て行った私は不良娘とみなされる、それが一般的な人の見る目であり、多くの人は物事の表面的な事しか見えないのだと子どもの頃から感じてきた。


私もわずかながらも誠実な人も知ってる。
でもその誠実さが悪意の人に踏みにじられるのも見てきた。

わずかながらの信頼できる人に出逢ったなら、あたしも誠意で応えよう・・・でもそんな宝探しのような事は、有れば幸運と思うだけで敢えて求める気力はもうなくなってしまった。

人間に期待は持てなくなってしまっていた。
自然の美しさや無垢な動物の赤ちゃん・・・人間以外の美しいものがあたしを癒す。

でも・・・Mに出逢ってあたしの人間性は初めて認められて、評価されて、子供の頃から大きくなっていったあたしの心の穴は「目には見えない真実」というもので静かに塞いで貰ったと思う。

M・・・あたしの人生で最も大きな出逢い。
あーでも何から語ろう。


〜Mに会う前〜

18才の時に家を出た理由は前回語ったけど、実際の理由はあれだけではなく、あそこには語り尽くせない出来事の積み重ねが積もり積もっての家出だった。

家を出ようとは常々考えていたけど社会性の低いあたしは計画性がなく、実際衝動的に出て行った形だ。

でもあたしは、もしも我慢がならなくて唐突に家を出てしまった時にはここで働かせて貰おうとひとり考えていたところがあった。

友人がアルバイトしていたジャズクラブで生バンドで曲を演奏して歌手が歌ったりする上級飲み屋さん的な所だ。

そして結局そこに押しかけて「雇ってください」と頼み込んだんだ。

でもそんな家出未成年雇ってくれる訳もなく、「帰りなさい」と言われたけど、「帰る場所は無いです、どうかお願いします」とねばったんだ、もちろん身元を明かして。

そうしたら、そのまま変なところに行ったら危険だと思ってくれたらしく(後日談でそう聞いた)、又、直ぐに家に戻るだろうと、事務所の横の物置倉庫に泊まらせてくれた。

壊れたソファーとかガラクタが色々詰め込まれた倉庫の床に寝泊まりしてどれ程暮らしたろうか、、正直はっきりとした日数は覚えていない、、ひと月位だったのかな、、。

粘って、家の事情や家出の理由とかもざっくり話したとと思う、結局古〜いアパートを借りるお金も貸してくれて仕事もさせてくれて、その借金を返しながら3年位そこで働いた。

そこの社長がMだ。


でも家出してそこにたどり着いた時あたしはひとりじゃなかった。


世間的に言えば「彼氏」がいた
でも彼には悪かったけど友達以上彼氏未満だった、あたしにとって。

だってあたしは誰も本気で好きになれなかった。

もちろんあたしもお年頃だったから異性にひかれるものはあったけど、本気の恋など出来なかった、心が寒くて。

18才のあたしはきれいだった、と思う。
高校時代から何人もに告られたのも事実だから。
そして何度か付き合いはじめてもそれ以上にはなれなかった・・・人と何かを築くとかできなかった。

私の心には誰も居なかった、親も友人も恋人も。

誰より愛に飢えて育ち本当の愛を求める気持ちは強かったけど、心の芯はシンシンと冷えていた。


そんなあたしだから当時の、”付き合いだしていた彼”ともいつでも別れられた、彼にはホント悪かったと思うけど。

あたしこの街にはもう居たくないし、東京に出ていくから。
あなたにはここに仕事もあるし、あたしひとりで生きていくから。って彼にさよならした、と記憶してるけど・・・

でも、駅に見送りに来た彼は、じゃあねと手を振るあたしの前で電車のドアが閉まる寸前に、スッと乗ってきたのだ。

何で?どおするの?とあたし。
送るよ、と彼。

でも彼は結局そのまま1年弱戻らずにあたしと一緒に居た、美容師の仕事も捨てて。


〜弟みたいな彼〜

あたしが家出する日に見送りに来たままついてきた彼とは1年弱位暮らしたけど、恋人というよりお姉ちゃんと弟みたいだった、、実際彼は1才下だったし。

あたし正直よく腹立ってたと記憶してる。
そしてもう無理だなって思ったし、折角美容師だったのにあたしについてきて同じ所に働いたりして美容師職捨てちゃってそんなのお互いよくないって言って、家に帰って欲しいって言った。

色々すったもんだして、彼は別の部屋に移り住み職場は同じ系列の会社に居たけどいつしか消えちゃった。
後になって電話があって台湾で暮らしてるって言ってた。

彼の事、その後何度も思い出したりした。

子犬同士が戯れあうような暮らし、、でも子犬同士じゃ生きていけないよ、、。

だってあたしは違う何かを探していたから。

結局18才のあたしは(彼も居たけど)恋というものはした事なかった、ごめん、彼。


〜“あたし”の始まり〜

18才で家出して押しかけ就職した先の社長のMはその時29才だった。
初めてMを見た時、惹かれるものがあった。
イケメンでもなく、背も低く厚みのある体型のMにあたしは不思議なオーラを感じた。

でもその時あたしには弟のような彼氏が居て
Mにも彼女が居たと思う。

それでも1年後にはあたしは弟のような彼とは別れてMを好きになっていた、初めて人を激しく。

でもMには同居する彼女がいるという噂だった、よくわからなかったけど。

それでもあたし達は一線を超えてしまった。

Mは毎日あたしの仕事の送り迎えをしてくれた、あたしが仕事を辞める迄。

そしてそのまま毎日あたしの部屋に来てMは部屋では仕事ばかりしてた。

あたしはそれを見ながら、この人と人生をずっとに歩みたいなって思いだしていた。

ある時Mが俺が養うからもう仕事行かなくていいからって言った。

その日からMが来るのを待つ暮らしになった。

Mは日曜日以外毎日来た。
ただ今って来て、夕食食べて仕事か仮眠して朝方出かけた(帰った?)

あたしはMがどこから来てどこへ行くのか聞いた事もなかった。
あたしは都合の良い女だったのかな。

でも幸せを感じてもいた。
あるがままのあたしでぶつかった、それをかわす事なく受け止めて安心させてくれた。

でも夜中から朝方、行ってくるねと部屋を出て行くMの戻る先には別の人がいる・・・

Mは元々その人といつか結婚するつもりだったんだろうと思う、今思えば。
そこにあたしが現れてまさかの深入りになってしまったんだろう。
でもあたしにとっては運命の人だったんだ。

あたしの話す事する事、全て理解してくれたM。

あたしが辛い時はどんなに大変な時でも駆けつけてくれた。

この世にこんなに波長の合う人がいるなんて。

この人は恋人であり、親友であり、父親のようであり・・・やっと出会えたソウルメイトだと、あたしは思っていたが、Mも又、あたしを恋人であり娘のようであり生涯共に居たいと言っていた。


それでもいつかMはどちらかを選ぶんだろう、とあたしは漠然と思ってただけで決断はM任せだった。


〜Mとの日々〜

毎日Mを待つのみの暮らし。
日課は夜食の食材や生活用品とか買いに行くだけ。

幼馴染の友達と電話するのも日課だったな。
その他は誰にも会わないで部屋の中に居た。

全然退屈ではなかった。

広くはない部屋でも、愛する人が必ず来てくれる安心感に包まれて・・あっという間に月日が経って・・・付き合ってから4年位経った頃だったかな・・・Mに子供が産まれるってそして結婚したって風の噂に聞いた・・

そうなんだね・・結婚したの・・でも何にも話してくれなかったね・・・あたしは愛人になっちゃうんだね・・・。

別れなきゃいけないんだ・・・だって不倫はいけないんだよね・・・知ってるよ誰より。

だってあたしの家は父の不倫が原因で離婚したんだもの。
母は耐えられなくなってある日出て行ってしまったんだから。

そしてあたしは父の元で、愛人だった人をお母さんと呼ばされて・・・小さな頃から働かされて愛された記憶もなく・夜・布団の中で泣くのを堪えながら母を思ってたあたしだもの・・・。

Mに初めて訊いたよ、結婚したの?子供が産まれるの?

うつむいて、うん。てMが言った・・・。

別れようって思ったよもちろん。
でもこの人の居ない人生は生きられない・・・さようならはするよ・・・

でもこの世で初めて安心できた人だったのに・・・。
この世から消えたいよ・・・。

Mの結婚相手の事考えたら、あたしの存在こそ迷惑だよね・・・。
分かってる、でもMがいないなんて生きられない、生きられない。
そんな事が頭の中をグルグル回って、何日経ったかな、ある日無意識に手首を切ってしまっていた・・・ちっとも痛くなくてヌルッとした血が流れるままに、眠くなって。
誰かから電話があった気がするけどボーッとしてきたし頭は真っ白だった。

Mの背中におぶられて、死ぬな、死ぬな、って言われながら病院に連れて行かれて、手首を何針も縫ったけど痛みも感じなかった、麻酔とかした記憶もないのに。

Mが言った。
俺が家を出ればいいのか?って。

確かにMと2人で家庭を築きたかったよ、でも子供が産まれて来るんでしょ?
その子にあたしのような思いさせたくないよ、それは本当だよ。
分かってる、あたしが居なくなれば、それで解決だよ・・・。

でも・・・その時あたしのお腹の中にもひとつの命が宿っていた・・・それから暫くの事は頭が混乱して記憶がはっきりしてないけど、あたしは産めなかった。そして、Mと別れて私は18才の時出たはずの街でひとり暮らし始めていた。

続く

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真実子の語り
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