【Patrick Mojii】 夜を乗り越える
私は「夏影テールライト」が大大大好きです。
どれくらい好きかというと、2020年9月30日にアルバム『Patrick Vegee』が発売・配信され、約3ヶ月にも関わらず、その年のiTunes再生回数ランキングで悠に100回再生超えのぶっちぎりの1位。
その他同アルバムの曲もランキング上位に軒並みランクイン。
ちなみに2位は「世界はファンシー」です。
よく聴いたアルバムの再生ランキングでもぶっちぎりの1位。
またその次の年でも「夏影テールライト」は3位にランクインしてました。
今年もめっちゃ聴いてます。
(いっぱい聴いているからなんだねと思うが。)
そんな感じでいついつでも踊って聴いていたい
「夏影テールライト」を記事にすることになりました、ななしです。
よろしくお願いします。
さて文字書き達による大変面白くて素晴らしい祭り『Patrick Mojii』も6曲目、半分まで来てしまいました。
私はこの企画に参加する為、7月からこのnoteを開設し、文を編んできましたが、なんとも自分の力不足を痛感する日々。
ですが、文字を書くということは、とても心地の良いもので、そして他の人達の文を読むということもそれはそれは楽しいことです。
しかも今回のお祭りは、自分の中で1番に近いくらい好きな事について、様々な人たちが各々自由に書いている。
なんて幸せなことだろうか!
こんなにも沢山の物好きがいたんだなと感じています。
企画主催のナツさん(@unfinisheddaisy)ありがとうございます!
さて私の「夏影テールライト」への思い。
というか2人?を温かい目で見てやってください。
それでは、歌って、読んで、旅をして。
「夏影テールライト」について
まあ『夏影テールライト』についてのざっくりとした説明はいらないかもしれません。
皆大好きな曲 笑
ここで、この歌の好きなとこや、御三方のインタビューや記事からの好きな話をすると、冗長になってしまう(なってしまった)ので一旦置いといて。
大事な部分だけに絞っていく。
今回「夏影テールライト」を選んだ理由として、このアルバムの中でこの曲が、一番愛しいと思ってしまったからです。
何が愛しいのか、まずはこの曲を聴いて私が想像(妄想)したことを書いていきます。
ユニゾンの曲は想像を掻き立てる楽曲が多いと思っていて、7枚目のアルバム『MODE MOOD MODE』に収録されている「フリークフィクションクライシス」を聴いて、頭の中で2クールくらいのアニメを妄想していたくらい、ユニゾンの曲は想像力を刺激されます。
(誰か本当に、本当にアニメか漫画にしてくれないかな…。)
そして「夏影テールライト」もわかりやすく物語が想像できる曲です。
主人公はこんな2人
少し内気で物静かな「僕」と
明るく元気で、突っ走ってしまう「彼女」
書いていて似ていると思ったのは、小説『君の膵臓をたべたい』の主人公「僕」とヒロインの「桜良」の2人ですね。
実写映画やアニメでは「桜良」はショートカットやセミロングでしたが、この曲の「彼女」はポニーテールだと思います。
(Miss.テールライト)
ちなみにこの内気な「僕」と明るい「彼女」の、2人の定義は、他の曲でも登場しています。
例えば「ワールドワイドスーパーガール」
まあこれはどちらかというと森見登美彦さんの小説に出てくる少しヘンテコなヒロインかもしれません。
あとは「クロスハート1号線(Adovantage In a Long Time)」の「暗い話をいつの間にか笑い話に変えてくれる君」だったり、同じアルバムに入ってる
「Miss.サンディ」
他には「フライデイノベルス」など…。
田淵智也が考えるボーイミーツガールの定番のイメージなのかもしれません。
これは2人の夏の恋の物語
「君」はいつもいつも僕の前やみんなの先頭を走っていて、明るくて、光のようで。
そんな彼女に憧れているし、危なっかしいなと心配の目を向けてもいる。
それが恋なのかよくわかっていないけど、
君が好きなことを知っていきたいし、いつまでも好きでいて欲しい。
君が嫌なことは推測をして、なるべく押し込んで、君の目に映らないで欲しい。
そんなあまり器用な付き合い方じゃないけど、君の目に映す景色の中、いついつでも踊っていたい。
近づきたい。
そうやって少しずつ物語を足していくように、2人は夏を過ごしていたのでしょう。
彼女の放つ眩しい光から生まれた影を追っかけたり、先回りしている過程で「僕」はその影は「恋」なんだと気づいたのかもしれません。
ですが、この歌からはどうにも逃げられない切なさがあって、恋の終わりを想起させます。
なので、淡い夏の恋の歌。
これが私が思う『夏影テールライト』という物語です。
さてこの切ない恋の歌を
UNISON SQUARE GARDEN、田淵智也が意図していたかは分かりませんが、自分的には救われたポイントが2つありまして、次はそれを話していきたいと思います。
「夏影テールライト」は救われたのか
1.アルバムの並びから
まず一つ目の救われ?ポイントですが、それは『Patrick Vegee』における曲の並びですね。
「夏影テールライト」は6曲目に位置していて、
前の曲は「摂食ビジランテ」
次の曲は「Phantom Joke」
(こんなゴリゴリのカオスな2曲に挟まれているのに、違和感が無く食べられるのって凄くないですか??)
大事なのは「Phantom Joke」との繋がりですね。
この2曲の並びが本当に素敵で
「夏影テールライト」側から見ると、次曲にある
「まだ愛していたい」
「まだずっと愛していたい」
っていう歌詞が切ない恋の歌の後にくる。
まだ「君」のことが好きなんだという未練の言葉などではなく、個人的には「僕」があの夏の恋の思い出をずっと胸の中で大切にしているんじゃないかという風に捉えられる。
というよりそう願いたい。
また「Phantom Joke」側から見ても、ゴリゴリのロックだったこの曲が、前曲の淡い恋の物語によって、急にラブソングの要素が出るのも、魔法みたいな仕掛けだなと感じました。
またこの曲のイメージとして、タイアップしてるアニメと相まって「旅」や「何かを見つ出す」というのがあって、そこにラブソング的な要素が加わると、「愛(恋)を見つけ出す旅」の歌に印象が変わっていきます。
2.アルバムツアーにおいて
さて次は『TOUR 2021-2022 Patrick Vegee』からですが、
なんといってもこのアルバムは強力なシングル3曲をどうやって自然に落とし込むかということで、他の曲達との「繋がり」を意識された構成が多くあり、「夏影テールライト」→「Phantom Joke」のように、この曲の次にはコレ!っていうのが強く表れているアルバムになっています。
しかしそこはセットリストの天才・田淵智也という男がいるのでまったく心配はしていなかったのですが、その構成があまりにも素敵なもので
11.夏影テールライト
12.オーケストラを観にいこう
13.Phantom Joke
アルバムでの2曲の間に、7枚目『MODO MOOD MODO』から「オーケストラを観にいこう」が挟まっています。
どうしてもアルバムの並びだと、「Phantom Joke」へ繋げるために
という少し自虐的な感じがあり、幻に消えちゃうなんて、ジョークにしちゃうなんて…切なすぎる。
と思っていたところに、あのオーケストラの音色が聴こえた瞬間、
(ああ…救われたんだな…)と号泣したのを覚えています。
「夏影テールライト」はどうしても逃げられない切なさを含んだ、恋が静かに終わっていく曲だと思っていたのに、次に「オーケストラを観にいこう」という甘酸っぱい日々の歌が来てくれたことによって、「僕」と「君」の2人はもしかしたら終わっていなかったのではないか?と急に結末が明るくなります。
ああ、よかったハッピーエンドなんだ。
と終わることも出来ますが、ライブが終わった後、改めてセットリストを確認した時に気づいてしまったことがありまして…。
今のところずっと妄想をつらつらと書いているだけなんですが、もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです。
「夏影テールライト」は救われたのか…??
ユニゾンのライブは4〜6曲を1ブロックとして、大体そのブロックが4つくらいあるのが本編みたいな構成になっていると思っていて、この曲があるブロックを見た時に少しドキッとして
9.摂食ビジランテ
10.夜が揺れている
11.夏影テールライト
12.オーケストラを観にいこう
13.Phantom Joke
という曲順になっているのですが、注目して欲しいのは前の曲「夜が揺れている」です。
ライブでは「摂食ビジランテ」との相性が抜群で、「ああ、夜が揺れた!最高!!」くらいにしか思ってなかったのですが、そもそも「夜が揺れている」を初めて聴いた時の印象は「終わった恋・別れを乗り越える歌」なんですね。
そんな歌が「夏影テールライト」の前にある。
さらには「夏影テールライト」を「恋が終わった歌」とすると、その後に「甘酸っぱい恋の日々の歌」が来るのは違和感があるのではと段々不安になってきて、結果、導き出したことは、
「この並び逆なんじゃない??」
というものです。
つまり時間が遡っている。
現在から過去に向かっているのではないかということです。
では時系列で並び変えると
Phantom Joke
↓
オーケストラを観にいこう
↓
夏影テールライト
↓
夜が揺れている
「摂食ビジランテ」はどうした?と思われるかもしれませんが、それは…置いといてください。
それぞれの歌を次のように位置付けると
Phantom Joke
・愛(恋)を見つけ出す
↓
オーケストラを観にいこう
・2人で過ごした夏の日々
↓
夏影テールライト
・夏の終わり 恋の終わり
↓
夜が揺れている
・その恋を乗り越える
うん、こっちの順番のほうがしっくりきてしまった。
こうなった場合、救われたのかと問われれば、これは救われてるとは言えないのかもしれません。
恋が終わってしまった後「夜が揺れている」で彼は
秋の落ち葉と冬の澄んだ空気なんて
春の桜なんて
夏の花火なんて
そして…君なんて、全部嫌いだよ。
と「彼女」と過ごしたであろう世界が嫌いになってしまった。
いや、なろうとしたけど
でも最後には
「ありがとう」「バイバイ」
と別れを告げて、しっかりと思い出にした。
彼は夜を乗り越えられたのではないでしょうか。
おわりに
はたして恋って終わったらバッサリ忘れられるものかしら。
想いが強い恋ほど忘れられないのではないか。
これは恋だけではなく、自分が精一杯頑張ったあの時の記憶や、親友と過ごした楽しい日々など、大事な思い出達は、忘れることなく、たとえ忘れても心と身体の中で巡って、人を支えてくれるのではないだろうか。
彼らが過ごした夏の日々は紛れもなく「恋」と呼べるもので、それは絶対に間違ってはいない。
どこにいるかわからないし、いないかもしれないが、あの夏の日々が、2人を支えていたらいいなと願うばかりです。
さて皆さんはこの曲を聴いたときにすでに似たような2人はいましたか?
そもそもそんな風に聴いてなかった人もいるかもしれません。
ですがおそらく皆さんの頭の中には2人が生まれてしまった(?)と思うので、今度この曲を聴いたときに彼らの日々を愛しんだり、彼の未来に想いを馳せたりしてくれたら幸いです。
(創作者みたいなことを言っていますが、私は一体何者なのか…。)
以上が【Patrick Mojii】-「夏影テールライト」になります。
企画主催してくださったナツさん(@unfinisheddaisy )改めてありがとうございます。
他の参加者の皆様、尊敬の念と、愛に溢れてる文章を書いてくださってありがとうございます。
素敵なジャケットを描いてくださった珉さん(@CR_tazuna)、ありがとうございます。
そして拙い文章をここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
何よりUNISON SQUARE GARDENという最高にカッコいいロックバンドに愛と感謝を!
次は『Phantom Joke』
ここからもっとグチャッとなる予感。
余談
これは完全に記事と関係ない余談なので、読まなくてもいいです。
『Patrick Vegee』というアルバムは上で書きましたが、曲と曲の「繋がり」が強く意識されていて、曲間が0秒というのが多くあります。
なので自分でプレイリストを作る遊びのときに大変楽しいんですよね。
ユニゾンのこのアルバム外の他の曲と繋げていいし、他のアーティストの曲を繋げても楽しい。
そこで今回記事になった「夏影テールライト」に続けたら個人的に合う曲を紹介します。
「夏影テールライト」の後に
ASIAN KUNG-FU GENERATION
「マイワールド(2016 Ver)」
を並べるとめちゃくちゃ良い。
一応2016年の『ソルファ』の方ですね。
再レコーディングされたこのアルバムは、当時のアルバムよりも繋ぎを意識していて、非常にユニゾンの曲と相性がいいです。
夏の夜、花火の音と夏の終わりを感じて切なくなるのでオススメです。