見出し画像

メロディックマイナーコンバージョン


まえがき

アドリブは難しいです。コードを追っかけても、スケールをなぞっても、イマイチ垢抜けないです。どうしたらよいでしょうか。

★今回、私が用意した答えは、「メロディックマイナーコンバージョン(MMC)」です。アドリブの解説記事は数多ありますが、MMCについて記した記事は多くないです。なので、一筆書かせていただきます。

普通のマイナーコンバージョンは、パット・マルティーノ御大の功績により世間一般に広く知れ渡っている概念です。この記事ではその亜流である”メロディック”マイナーコンバージョンについて記します。

なお、学術的な正当性はありません。素人のメモだと思ってください。参考文献は記事の最後に示しました。

本文


★メロディックマイナーコンバージョン(MMC)は、初心者でも、簡単に怪しいフレーズを作り出すことができます。エキゾチックで浮遊感のあるフレーズで、聴衆を困惑させることができます。
アウト感はかなり強いです。たまにスパイスとして使用すればオシャレです。濫用すればアバンギャルドです。

MMCの理屈は簡単です。全てのコードを、メロディックマイナー(メロマイ)からの派生スケールで処理します。ドミナント7コードで、メロマイの第7スケール(オルタードスケール)を使うのは、常識ですが、MMCは、この考えを拡張し、すべてのコードにメロマイ派生スケールを適応しちまおう。という発想です。
全てのコードに於いてメロマイを多用することで、メロマイ特有のオトナの雰囲気がアドリブ全体に漂います。

具体的に書きます。
メロディックマイナー:Ⅱm7、Ⅰm7にベストマッチです。maj7が非常にセクシーです。
ドリアンb2:あまり使いませんが、Ⅴ7に使用できます。また、m7b9コードにおいて、フリジアンの代わりに使用できるようです。
リディアン#5:Ⅰmaj7で使うと、トニックなのにアウトしたフレーズが弾けます。オーギュメントの強烈な違和感がクセになります。リディアンオーギュメントという名前だけで興奮します。
リディアンb7:ドミナントではない7コードに使用可能です。ミクソリディアンではダサすぎるし、オルタードでは不安定すぎる、という場合にベストマッチです。7thコードのヤンチャっぽさを残しつつ、#11が知的です。リディアンb7は、(ドミナント的な進行感が無いので)、ドミナント7には適さない、というのが定説のようです。
ミクソリディアンb6:あまり使いませんが、Ⅴ7に使用できます。4thがアボイドなので使いにくい。ドミナントに使うにはオルタード感が弱い。
ロクリアン♮2:m7b5のコードで使えます。♮2が、かなり異質に響きますが、かっこいいです。ロクリアン#2と呼ぶ流派もあるようです。
オルタードスケール:王道のドミナンントスケールです。メジャーⅡⅤでも、マイナーⅡⅤでも、とりあえずこれを弾いておけば大丈夫です。

つまり、大事なのは、メロディックマイナー、リディアン#5、リディアンb7、ロクリアン♮2、オルタードスケール、です。(あまり大事でないのは、ドリアンb2、ミクソリディアンb6です)。

MMCの利点は多いです。

①スケールライクに処理できる。
アドリブはコードトーンが大事。と言われます。その通りです。
ですが、我々素人が、コードトーンを意識して演奏するのは難しいです。どうしてもギクシャクします。歌うようなフレーズが作れません。
可能なら、スケールで処理したいなあ。と言うのが本音だと思います。MMCは、スケールをなぞるだけで、十分に難解なフレーズをつくることができます。

②常にスケールが変わり続けるので楽しい。
ダイアトニックコード、ダイアトニックスケール主体で演奏すると、どうしても同じスケールをずっと弾き続けることになります。いろいろ工夫しますが、結局、ずっとCメジャースケールやんけ!ということになりがちです。MMCでは、コードごとにスケールが変わるので、まるでジェットコースターからジェットコースターに飛び移るようなスリリングな刺激があります。また、コードごとに平行移動フレーズを弾くことができますので、メカニカルな雰囲気を出せます。

③メロディックマイナー(メロマイ)を満喫できる。
メロマイは、通常はminor maj7コードで使用しますが、実際には、minor maj7コードは滅多に遭遇しません。なので、メロマイは、あまり活用する機会がありません。MMCでは、メロマイばかり使用することになります。苦労して覚えたメロマイを大いに活用してください。

④アボイドノートが(ほとんど)ない
MMCにおいて頻用されるメロディックマイナー、リディアン#5、リディアンb7、ロクリアン♮2、オルタードスケール、にはアボイドがありません。つまり、コードとスケールがあっていれば、細かいことを気にせず好き勝手に弾ける、と言うことです。これは非常にありがたいです。
たとえば、Ⅰmajの時に、4度の音を強調してしまうと、かなり外れます。
ですが、MMCにおいては、Ⅰmajでリディアン#5を使うので、4度の音を弾く恐れはないです。
つまり、MMCでは、アボイドを気にする必要が無いので、スケール内の好きな音を弾くことができます。初心者でも、かなり自由にフレーズを作れます。
(なお、ミクソリディアンb6は4度がアボイドになりますので注意です)。

MMCの練習方法
まずはメロディックマイナースケールの練習です。慣れるだけではダメです。骨の髄までメロマイになる必要があります。メロマイのスケール練習を鬼のようにやりましょう。ドレミファソラシドを弾こうとして、間違ってドレミ♭ファソラシドとか、ドレミファ#ソ#ラシドを弾くレベルまでやり込めば、第一段階はクリアです。
あとは、とにかく実践です。検討を祈る。

以上、私の書きたいことは終わりです。
素人ですので、間違ったことを書いてるかもしれませんので、ご注意ください。間違いがあれば指摘してください。

ちゃんとした解説が欲しい方は、


”メロディックマイナーコンバージョン”でyoutube検索して下さい。プロの方が説明した動画があります。ただし、数は少ないです。
マークレヴィン著 「 ザ・ジャズ・セオリー」のメロディックマイナスケールハーモニーの章を読んでください。だいたいこの本に全部書いてあります。
ギター無窮動(むきゅうどう)トレーニング2 効果絶大のノンストップ練習道下 和彦(著) のPart3 マイナー・コンバージョンの無窮動エクササイズ に、メロディックマイナーコンバージョンの解説があります。


いいなと思ったら応援しよう!