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床屋をゆく

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日本で、そして台湾で。 昔ながらの床屋に通った記録。
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#床屋

「波士頓理髮廳」を訪ねて

「波士頓理髮廳」を訪ねて

語学学校の通学路、たまに気分転換したい時に通る永康街で、とある床屋が気になっていた。
頭の中の方位磁石をたよりに入り組んだ巷子をうねうね歩くといつの間にか目の前に現れる、ひっそりとしかし立派に佇む建物。
「波士頓理髮廳」
その看板の文字の存在感と重厚感のある扉に、通りかかるたびに惹かれていた。

12月のある日、突然InstagramでDMを頂いた。
東京を中心に活動する[Tokyo Barber

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かくして床屋通いは続く

かくして床屋通いは続く

なんということだ、この記事を書いてから早3年半が経とうとしている。
連載として書こうと意気込んでいたものの、当時の私は文章を書く気になれず、あっという間に月日が流れてしまった。(他のことは書いていたものの……)

あの記事のその後はというと、福岡では本当に床屋に通い詰めていた。
「真心込めたカットの店 ドリー夢」にも実際に何回か足を運んだ。

最初は“女性のショートカットヘアー”の容貌で床屋の戸を

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かくして私は床屋へ足を踏み入れる

かくして私は床屋へ足を踏み入れる

今まで私は、おしゃれな美容室に縁のない人生を送ってきた。

私は佐賀県伊万里市という田舎に生まれ育った。
幼少期は家の真向かいにあった、「前田のおばちゃん」の美容室に連れて行かれていた。赤いベルベッドのソファ、フランス人形、折り紙で作ったモビール、色褪せた柄の床、パーマ液のにおい、くるくるパーマの前田のおばちゃん。そんな場所だった。
小学校に入ってからは、母の知り合いの美容室に親子で通っていた。か

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